〇英国風の部屋
　　俺がクリムゾンを倒してから数日後。俺達はその後も幾らかの依頼を受けて、装備の強化も大分充実して来た。
　　そんなある日。
飯塚隼人「あ〜！今日も頑張った頑張った！」
武藤和樹「皆お疲れ様！」
遠藤かな恵「あたし達、最初来た時よりも大分出来る様になったよね！」
陣内香織「それはあたしも感じるな・・・最初の頃よりも武器の扱い上手くなってるし・・・」
飯塚隼人「これならもっと難しい依頼も熟せそうだな・・・」
陣内香織「・・・それは良いのだけど、」
ウェヌス「ハーイ皆！」
飯塚隼人「うぇ！ウェヌス!?何だよいきなり!?」
ウェヌス「皆その後の調子はどう？隼人君、この前の戦いは最高だったわ！あの乱暴者のクリムゾンを倒しちゃうんだもの！」
陣内香織「あぁ！ウェヌス！丁度良かった！」
ウェヌス「あら？香織ちゃんどうしたの？」
陣内香織「・・・前から聞きたかったんだけど、あたし達元いた世界に帰りたいと思う事あったんだけど、帰り方とか分からないかなって・・・」
飯塚隼人「え？あ、そう言えば・・・」
ウェヌス「えぇ、帰れるわよ・・・」
陣内香織「・・・！本当なの!?」
ウェヌス「えぇ、あなた達がそれを望むのなら、私はいつでもあなた達を帰してあげられるわ・・・」
武藤和樹「そ、そうだったんだ・・・」
ウェヌス「でも私からも聞くけど、あなた達は帰りたいの？」
飯塚隼人「・・・どうだろうな・・・けど、何か最近帰りたい気はしてたかも・・・」
武藤和樹「・・・確かに、何と無く帰りたいと思う自分がいる気がするよ・・・」
遠藤かな恵「そ、そうだよね・・・家の人とか心配してるかもだし・・・」
陣内香織「だそうよ・・・」
ウェヌス「なるほど、あなた達の気持ちは分かった・・・でも、最後に一つ、依頼を受けて欲しいのよ・・・」
陣内香織「依頼？誰から？」
ウェヌス「それは言えないけど、行けば直ぐに分かるわ！ゲートを開けて待ってるから、準備怠らないでね！」
飯塚隼人「ま、マジか・・・でも仮に帰っても、俺ら行方不明扱いとかになって無いかな？」
陣内香織「問題はそこね・・・」
遠藤かな恵「無理無いよ・・・あたし達この世界に夢中になり過ぎてた・・・」
ウェヌス「あら？心配要らないわよ？」
陣内香織「え？どうしてそう言えるの？」
ウェヌス「私の力があれば、あなた達が回廊に足を踏み入れた１秒後の世界にあなた達を戻して上げられるわ・・・」
武藤和樹「えぇ!?そんな事出来るの!?」
ウェヌス「朝飯前よ！そんな事より、早く準備して！依頼者が待ってるから！」
武藤和樹「は、はぁ・・・」
　　何だか胡散臭い話題が出て来たりもしたが、俺達は最後の依頼を受ける為にゲートを潜るのだった。

〇闇の闘技場
ウェヌス「はい！とうちゃーく！」
飯塚隼人「え？ここって・・・前に俺があのクリムゾンとか言う奴を倒した場所じゃ・・・」
武藤和樹「もしかして、依頼の内容って・・・」
ウェヌス「えぇ、決闘よ・・・」
武藤和樹「マジか・・・そう言えば、前に僕ら宛に届いた手紙ってもしかして・・・」
ウェヌス「あ、気付いてた？あれを送ったのは私よ・・・勿論、これまでのあなた達向けの依頼を出したのも私だから・・・」
武藤和樹「あぁ、やっぱり・・・てか、これまでの依頼、全部ウェヌスが手を回してたのか・・・」
飯塚隼人「ウェヌス、あなたはどうして俺達をこの世界に・・・」
ウェヌス「もう、何でこう、同じ事ばかり聞くのかしらね・・・」
ウェヌス「生きる事を楽しむ為よ・・・」
陣内香織「たったのそれだけ・・・」
ウェヌス「そう言う事！」
ウェヌス「それはそうと、彼が来るわ！」
飯塚隼人「え？依頼者さん!?」
プルート「おぉ、待ち侘びたぞお前達・・・」
陣内香織「んな！こ、こいつは!?」
飯塚隼人「こ、これは一体・・・」
プルート「さて、早速お前達の力を見せて貰おうか・・・」
飯塚隼人「え？」
「うわぁぁ!!」
プルート「何だこんな物か？」
飯塚隼人「あ、あぁ・・・」
陣内香織「ちょっとこれ、一体どう言う事なの!?」
プルート「何だウェヌスから聞いて無いのか？お前達の最後の依頼主は、この私だ・・・」
飯塚隼人「え？プルートが俺達に依頼を??」
プルート「そうだ、そしてお前達に依頼したい事、それは私と戦って貰う事だ・・・」
陣内香織「んな！それならいきなり不意打ちするとか！」
プルート「戦う世界に置いて、いつ誰が襲ってくるとも限らんだろう？その位の察しは付くと思ってたのだがな・・・」
陣内香織「くぅ！」
プルート「どうやら私と戦うにはまだ早かった様だが、」
プルート「楽しませてくれよ!!」
陣内香織「うわぁ!!」
飯塚隼人「か、香織!!」
陣内香織「し、信じられない・・・物凄く早くて、動きを捉えられなかった・・・」
遠藤かな恵「か、香織ちゃん大丈夫!?」
陣内香織「・・・全然大丈夫じゃ無いわ・・・もうあたし立つ事すら叶わないし・・・」
遠藤かな恵「そ、そんな・・・」
武藤和樹「・・・悔しいけど、あいつは今の僕達が束になって勝てる様な相手じゃ無い・・・」
陣内香織「そ、そんな！隼人！逃げて！」
飯塚隼人「うおぉぉぉ!!」
プルート「ふむ・・・」
プルート「どうした？その程度か少年？」
飯塚隼人「そ、そんな・・・攻撃が当たらないだなんて・・・」
プルート「貴様も気付いている様だな・・・そうだ、今の貴様達では、私の拳一発を喰らっただけで戦闘不能にまで追い込める・・・」
プルート「何より、今の貴様達では私は倒せん・・・」
飯塚隼人「おい、冗談になって無いぞ・・・」
プルート「攻撃を躱すだけでもそれ相応の体力を消費する・・・仮に避ける事が出来ても、それがいつまで持つかな？」
飯塚隼人「く、くぅ・・・」
プルート「さぁ行くぞ小僧！伊達に私も、世界征服を狙って等いなかったのでなぁ!!」
飯塚隼人「（このままじゃ確実にやられる・・・けど、攻めて一回位は・・・）」
飯塚隼人「（落ち着け・・・あいつの動きを良く見るんだ！）」
プルート「終わりだ!!」
飯塚隼人「かはぁ！かすっただけでこんなに痛い!!」
プルート「ぐっ！」
飯塚隼人「・・・一振りだけなら決まった・・・だけど・・・」
プルート「・・・見事だ・・・」
飯塚隼人「何？」
プルート「私の負けだ、降参する・・・」
飯塚隼人「・・・はぁ!!??」