22 本当の強さ(脚本)
〇闘技場
それは、俺が屋敷でローナさんと特訓してた時の事だ。
飯塚隼人「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
ローナ・ベイカー「そこっ!」
飯塚隼人「しまっ!」
飯塚隼人「うわっ!」
ローナ・ベイカー「・・・また私の勝ちですね・・・」
飯塚隼人「あ、ははは・・・本当に強いな・・・もう勝てる気がしない・・・」
ローナ・ベイカー「そんな事無いです!どんな武器でも、極めてしまえば私すらも超えられますよ!」
飯塚隼人「お、おう・・・きっと険しい道のりだろうな・・・」
ローナ・ベイカー「ねぇ隼人さん・・・」
飯塚隼人「ん?どうしました?」
ローナ・ベイカー「隼人さんから見て、強いってどんな認識ですか?」
飯塚隼人「強い・・・ですか?そうですね・・・ローナさん見たいに剣が上手くて、後はそうだな・・・強力な魔法を使いこなせたり、」
飯塚隼人「やっぱ何でも出来たり?」
ローナ・ベイカー「まぁ、難しいですよね・・・自分が誰かの強さを見せ付けられたら自信を無くす・・・私もそんな時がありましたから・・・」
飯塚隼人「え?ローナさんも?」
ローナ・ベイカー「あはは!最初から強かったら苦労しませんよ!私もお師匠様に鍛えて貰った身ですから・・・」
飯塚隼人「ローナさんの師匠?どんな人なんです?」
ローナ・ベイカー「とても強い人です・・・日本と言う国の方で、剣道と言う競技をしてたそうなんです・・・」
ローナ・ベイカー「私はその人に剣術を教わり、何度か手合わせをして頂いたのですが、私はその人に一度も勝つ事は出来ませんでした・・・」
飯塚隼人「ローナさんより強い・・・全く想像出来ないな・・・」
ローナ・ベイカー「ある時、彼は国に帰る日に、私と勝負して私を打ち負かした際にこう仰ってました・・・」
ローナ・ベイカー「自分が強いと思われるのは、自分が2つの敵と戦ってるからだ・・・一つは目の前の倒すべき相手・・・もう一つは、」
ローナ・ベイカー「自分自身だと・・・」
飯塚隼人「え?」
ローナ・ベイカー「そう聞いた時、私は初めて自覚しました・・・お師匠様が強いのは、只持ってる力や技が強いのでは無く、」
ローナ・ベイカー「自分と言う超えるべき存在を自覚してたからだったのです・・・だから私は、お師匠様に勝てなかったんだって認識しました・・・」
ローナ・ベイカー「最も、それに気付けたのがお師匠様が帰国なさる日だったのは、私に取って一生の後悔となりましたが・・・」
飯塚隼人「・・・そうだったんですね・・・」
ローナ・ベイカー「ですが私も、私が超えるべき、自分と言う存在を超える為に今日に至りました・・・いつかお師匠様にお会い出来たら、」
ローナ・ベイカー「これまでの成果を見て頂きたいと考えております・・・」
飯塚隼人「・・・!ローナさんならやれますよ!」
ローナ・ベイカー「ありがとうございます!」
ローナ・ベイカー「そうだ、良かったら、隼人さんに私が教えてる秘伝の技を教えしましょうか?」
飯塚隼人「秘伝の技?」
ローナ・ベイカー「はい、大袈裟かも知れませんが、この技は・・・」
〇闇の闘技場
飯塚隼人「(そうか、俺はとんでも無い勘違いをしてたんだな・・・鳥山達はこれっぽっちも強くなかった・・・)」
飯塚隼人「(あいつらは只、自分をデカく見せてるだけの弱くて馬鹿な奴だったんだ・・・)」
飯塚隼人「(だったら?俺が俺に勝てたら?そしたらあいつに勝てるのか?いや・・・)」
飯塚隼人「(俺が俺に勝てなきゃ、一生掛けてもこいつには勝てない!)」
クリムゾン「おうおうどうした?まだ立ってられるのか?」
飯塚隼人「来いよ、次で全部終わらせてやる・・・」
クリムゾン「あん?良い度胸だなお前!今度こそ潰れろぉ!!」
クリムゾン「んな!?」
クリムゾン「ば!ばかな!?」
飯塚隼人「ありがとう・・・お前のお陰で、俺は大事な事に気付けたよ・・・」
クリムゾン「大事な事?」
飯塚隼人「本当に強い奴は、自分の事をデカく見せたりなんかしない・・・自分に出来る事をやって、今の自分を超える事・・・」
飯塚隼人「それが俺に取って一番、大事な事なんだって・・・」
クリムゾン「な、何だと!?それじゃあ俺が弱いって言ってる様なもんじゃねぇか!!」
飯塚隼人「あぁ、お前と、俺の良く知ってる奴らはハッキリ言って弱い・・・でも、自分と戦う事の大切さを教えてくれた人がいるから・・・」
飯塚隼人「俺はもう、どこの誰とも戦わない・・・けど、俺はお前の事は許さない・・・だから・・・」
クリムゾン「か、かはぁ!!」
飯塚隼人「俺、勝った・・・勝ったんだな・・・」
陣内香織「隼人!!」
飯塚隼人「あ、皆・・・」
武藤和樹「だ、大丈夫かい!?相手の攻撃凄く激しかったけど・・・」
飯塚隼人「あ、大丈夫、何とか・・・」
陣内香織「よ、良かった・・・」
遠藤かな恵「隼人君じっとしててね!今あたしが治すから!」
飯塚隼人「あ、お願い・・・」
飯塚隼人「ありがとう・・・」
遠藤かな恵「ねぇ、皆に聞いて欲しい事があるの・・・」
飯塚隼人「え?どうしたの?」
遠藤かな恵「今回あたし、隼人君の戦い振りを見て思ったの・・・凄く危なくて、今直ぐ助けなきゃって本気で思った・・・だけど、」
遠藤かな恵「隼人君は諦めなかった・・・最後まで自分の力で乗り越えた・・・」
飯塚隼人「まぁ、そうだね・・・」
遠藤かな恵「だからあたしも、諦めるのを辞めようと思うの・・・後何日生きられるか分からないけど、寿命とか言い訳にしてたら、」
遠藤かな恵「嫌な事と向き合った皆に失礼だって分かったの・・・だからあたしも負けないよ!」
飯塚隼人「かな恵さん・・・」
武藤和樹「良かった、もう大丈夫そうだね!」
遠藤かな恵「・・・武藤さん、香織ちゃん・・・」
陣内香織「・・・・・・」
遠藤かな恵「だから、あたし・・・その・・・うっ!」
遠藤かな恵「ごめんなさい・・・ごめんなさいぃぃぃ!!!」
陣内香織「・・・かな恵さん、やっとあたし達、仲間になれたね・・・」
飯塚隼人「え?俺らもう仲間じゃ無かったの?」
武藤和樹「どうだろう?難しいな・・・でもさ、こうして見ると僕ら、本当の意味で仲間になれたと思うよ・・・」
武藤和樹「それなりに思う所はあると思うけど・・・」
飯塚隼人「そうなんですかね?」
陣内香織「まぁ、今細かい事気にしても仕方無いわ!さ、帰りましょう!帰って美味しい物食べよう!」
飯塚隼人「・・・そうだな、帰ろう!」
〇魔王城の部屋
プルート「・・・・・・」
ウェヌス「あ〜!心からスカッとしたわ!軟弱な男の子が、自分より強い相手に勝っちゃうだなんて!」
ウェヌス「本当何が起こるか分かったもんじゃ無いわ!」
プルート「・・・・・・」
ウェヌス「ちょっとプルート聞いてるの?私今最高に気分良いのよ!?これがどう言う事か分かる!?」
プルート「・・・なぁウェヌス・・・」
ウェヌス「ん?何よ改まっちゃって・・・」
プルート「お前に一つ頼みたい事がある・・・」
ウェヌス「・・・?珍しいわね?何よ?」
プルート「私は・・・」