20 隼人の決意(脚本)
〇兵舎
数時間後。
飯塚隼人「皆、ただいま・・・」
陣内香織「隼人!やっと戻って来てくれた!」
飯塚隼人「ごめん、心配掛けたよね?」
武藤和樹「いや、本当良かったよ・・・このまま戻らなかったらどうしようかと思ってたし・・・」
飯塚隼人「ありがとう・・・1人で暫くぼーっとしてたら、何か気分がスッキリしてさ・・・」
遠藤かな恵「本当に大丈夫?あなたも何かしらのトラウマがあったんでしょ?」
飯塚隼人「まぁ、そうだね・・・」
受付屋「でも良かったじゃねぇか!ここに来たって事は仕事に挑もうって感じだろ?」
飯塚隼人「あれ?依頼屋のおじさん?ここで一体何を?」
遠藤かな恵「あぁ、あたし達、さっきまでこの世界の歴史に付いて聞かせて貰ってたのよ・・・」
飯塚隼人「歴史?もしかして、おじさんが言ってた戦とかの?」
受付屋「察しが良いな坊主!ここいらで知らないのは流れ者位だからな!」
飯塚隼人「そんなに有名なんですか?」
受付屋「まぁな・・・」
受付屋「今から500年位前の話だ・・・500年前のこの世界は今と違って治安が酷くてな・・・殺戮や略奪なんて日常茶飯事・・・」
受付屋「政治家もいたけど、当時の状況に対しては何もしようとしなかった・・・誰でも自分が大事だったからな・・・」
受付屋「そんなある日、強大な魔力を持った軍勢が人類に対して牙を剥いた・・・その頭領の名前は大魔王プルート・・・」
受付屋「プルートは人間がその時まで見た事の無かった魔物達を目の前に放ち、人類を蹂躙して来た・・・初めて見た得体の知れない」
受付屋「魔物達に人々は只逃げ惑い、怯える事しか出来なかった・・・」
受付屋「けどそんな時!大魔王プルートの侵略から人類を守る為にたったの5人の若者達で構成された戦士団が現れた・・・」
受付屋「そいつらの名前はココロノ戦士団!そいつらは魔物に対抗出来るだけの魔力や武器を駆使してプルートの軍勢に挑んだんだ!」
飯塚隼人「ココロノ戦士団?たったの5人でそんなに強かったんですか?」
受付屋「おうよ!その戦いぶりは正に向かう所敵無しと言うに相応しい活躍でな!最終的には大魔王プルートでさえも倒して見せたんだ!」
飯塚隼人「そんな事が・・・」
受付屋「けどな、ココロノ戦士団はプルートを殺すどころか、封印する事すらしなかったんだ・・・」
飯塚隼人「え?止め刺さなかったの?」
受付屋「あぁ、何でも、プルートが世界征服を目論んだのは、一度人類を懲らしめて、自分が世界の中心になって世界を寄り良い」
受付屋「方向に向かわせて、最終的には皆を幸せにするのが目的だったんだよ・・・でもプルートはココロノ戦士団の戦いぶりを見て、」
受付屋「手を取り合う事の大切さとかを再認識して、自分の軍勢を解散させて、自身も侵略者から足を洗って、今もどこかで」
受付屋「ひっそりと暮らしてるって話よ・・・」
飯塚隼人「え?おじさん500年前って言ってましたよね?そのプルートって魔王は今でも生きてるんですか??」
受付屋「あぁ、生きてるって話だ・・・そもそもプルートは俺ら人間とは全く違う種族だし、世界征服を目論む程の力を」
受付屋「備えてた訳だし、その力があれば不老不死もありえなく無い話だからな・・・」
飯塚隼人「ま、マジかよ・・・年寄りってレベルじゃ無い・・・」
受付屋「で持ってな、今回街を襲ったあいつは500年前にプルートの傘下に入ってた奴の1人で、またプルートが動き出したとか、」
受付屋「結構な大騒ぎになってるんだよ・・・強さは500年前に暴れてた時から全く衰えて無い・・・」
飯塚隼人「へぇ、あいつ魔王の手下やってたんだ・・・」
武藤和樹「それで今回、僕達も奴を止める為にあいつと戦おうと思ってるんだけど、隼人君はどうしたい?」
飯塚隼人「あ、実はその事で皆に相談したい事があって・・・」
武藤和樹「あ、そうなんだね・・・君はどうしたいの?」
飯塚隼人「あの燃え盛ってたあいつと戦うの、俺1人にやらせて貰えないかなって・・・」
受付屋「おう、それマジで言ってるのか?」
武藤和樹「え?待って待って!勝てない相手じゃ無いとは思うけど、流石に皆でやった方が・・・」
飯塚隼人「ごめん・・・あいつはどうしても俺1人で倒したいんだ・・・」
陣内香織「ちょっと隼人!何で1人なの!?あいつ残忍そうだし、下手すりゃ殺されちゃうかもよ!?」
遠藤かな恵「皆の言う通りだよ!隼人君考え直した方が!」
飯塚隼人「まぁ、そうだよね・・・でもこれは俺1人じゃ無いと駄目なんだ・・・」
武藤和樹「隼人君?」
飯塚隼人「これまでの事思い出してよ・・・武藤さんも香織も、2人共自分に取って一番嫌な事と対面して、立ち向かったじゃ無いか・・・」
飯塚隼人「何と無く感じてたけど、それが今度は俺とかな恵さんにも周って来た・・・何より、街を襲ったあいつは俺の事」
飯塚隼人「虐めて来た奴にそっくりだったんだ・・・だからあいつは、俺が倒さないといけないし、かな恵さんも、今自分に何が出来るか、」
飯塚隼人「探さなきゃいけないんだ・・・今回の事は、どうしても俺に譲って欲しい・・・だから・・・」
遠藤かな恵「隼人君・・・」
武藤和樹「・・・確かに、僕も香織ちゃんも、そうだったからね・・・」
武藤和樹「分かった!先ずはやって見ようか!」
飯塚隼人「・・・!本当ですか!ありがとうございます!」
遠藤かな恵「む、武藤さん!本当に良いの!?」
武藤和樹「本当は良くは無いけど、隼人君は心からやりたがってる・・・何より、僕も香織ちゃんも立ち向かったからね・・・」
武藤和樹「もしこれを止めたら、僕らが隼人君に恨まれる・・・」
遠藤かな恵「・・・・・・」
遠藤かな恵「・・・分かったわ・・・でも、危なくなったらあたし達が助けるからね!」
飯塚隼人「ありがとう!俺絶対にやって見せるから!」
受付屋「色々と決まった見たいだな!良し!俺も直ぐに情報収集に取り掛かるぜ!何か分かれば、直ぐお前さん達に伝えるからよ!」
各々の決意を固めて、俺達は打倒クリムゾンに挑むのだった。
〇魔王城の部屋
クリムゾン「おぉ!やっと治った!」
プルート「全く、久し振りに暴れさせては見たが、お前は相変わらずだなクリムゾン・・・」
クリムゾン「何言ってるんだよ旦那ぁ!やっぱ他人の幸せをぶち壊すって最高に楽しいじゃねぇか!旦那もそろそろ本気出そうぜ!」
クリムゾン「皆旦那の事待ってるんだからさぁ!」
プルート「だから、私はもう世界征服に興味は無いと言ってるだろう・・・」
クリムゾン「連れないなぁ・・・」
ウェヌス「ちょっとちょっと!プルートいる!?ビッグニュースよ!」
プルート「ビッグニュースだと?どうせロクな事じゃあるまい・・・」
ウェヌス「まぁ聞いて聞いて!私が連れて来た子の1人がね、クリムゾンとサシで勝負したいって言うのよ!」
クリムゾン「え?俺とサシで?どこのどいつだ?」
ウェヌス「クリムゾン、あなたも一回会ったと思うけど、剣を持った男の子覚えて無い?」
クリムゾン「え?あぁ!何か知らないが蛇に睨まれた蛙見たいに動かなかった奴か!けどよぉ、それ本当なのか?」
ウェヌス「この私が言うんだから間違い無いわ!その子やる気満々なのよ!」
クリムゾン「マジか!この俺様に自分から殺されに行くとは良い度胸じゃねぇか!良いぜ!この喧嘩買った!」
プルート「おいおい・・・」
プルート「・・・しかし、本当に良いのか?」
ウェヌス「え?何が?」
プルート「指名した私が言えた事じゃ無いが、プルートは相手に対するモラルが無い・・・下手をすれば、本当にそいつは」
プルート「殺されてしまうぞ・・・」
ウェヌス「確かに!でもそれさえも乗り越えたらカッコ良く無い?」
プルート「言ってくれるな・・・」
プルート「まぁ良い、今更私がとやかく言っても手遅れだ・・・今度は私も拝見させて貰うとしよう・・・」
ウェヌス「えぇ!皆で楽しみましょうね!」