18 かな恵の真実(脚本)
〇黒
遠藤かな恵「げほっ!ごほっ!げほっ!ごほっ!」
遠藤かな恵「・・・凄く苦しい・・・もう何日経ったのかな・・・あたし、いつ死ぬのかな・・・」
遠藤かな恵「げほっ!ごほっ!げほっ!ごほっ!」
「かな恵さん、かな恵さん!!」
〇英国風の部屋
陣内香織「かな恵さん!かな恵さんってば!!」
遠藤かな恵「え?香織ちゃん!?ここは・・・って、」
遠藤かな恵「げほっ!ごほっ!げほっ!ごほっ!」
陣内香織「ちょっと冗談でしょ・・・これどっからどう見てもヤバいって!」
陣内香織「待ってて!今男連中叩き起こすから!」
遠藤かな恵「ま、待って!あたしは大丈夫だから!」
陣内香織「これのどこが大丈夫なの!あなたが何言おうともう無視しないからね!!」
遠藤かな恵「・・・待って、待ってよ・・・」
香織がかな恵さんの異変に気付き、俺達は起こされて緊急招集される事に。
〇英国風の部屋
武藤和樹「えぇ、そんなに酷かったの?」
飯塚隼人「かな恵さん、大丈夫なの?」
陣内香織「ハッキリ言って大丈夫には見えないわ・・・あの人もしかすると、何か病気に掛かってるんじゃ無いかって思うの・・・」
陣内香織「皆覚えてる?あたしらが自殺した理由言い合った時、かな恵さんだけ理由が曖昧に終わってるの・・・」
飯塚隼人「あ、そう言えば!」
武藤和樹「確かに彼女だけちゃんと理由が明記されて無かったな・・・生きてるのが嫌って言ってたけど・・・」
飯塚隼人「・・・・・・」
遠藤かな恵「み、皆・・・あたしは・・・」
飯塚隼人「ねぇかな恵さん、やっぱり俺らに何か隠してるよね?正直に話してくれないかい?」
遠藤かな恵「だから、あたしは・・・」
武藤和樹「かな恵ちゃん、僕達はもう仲間なんだ・・・これから皆で上手くやって行くなら、隠し事をしてた方が良く無い・・・」
武藤和樹「僕からもお願いだ・・・本当の事を教えて・・・何で自殺しようとしたの?」
遠藤かな恵「無理だよ!!」
飯塚隼人「え?かな恵さん?」
遠藤かな恵「誰に話して、どうやって解決出来るのよ!!治療法だって無いのに!!」
飯塚隼人「え?かな恵さん・・・もしかして・・・」
遠藤かな恵「・・・出来ないのよ・・・身体が弱いのは本当だけどあたし、不治の病で、もう先が長く無いの・・・」
遠藤かな恵「一番最後に入院してた病院の先生に言われて、あたしは後半年しか生きれなくて・・・」
飯塚隼人「えぇえ!もしかして、俺らが初めて会った時から・・・」
遠藤かな恵「えぇ、その時点で余命半年なの・・・」
武藤和樹「そんな・・・僕らここに来て何日経った?」
陣内香織「問題はそこなのよ・・・あたし達、この世界に来てから日数なんて数えて無い・・・」
飯塚隼人「ね、ねぇ!魔法で何とかなったりしないの!?回復系の魔法があるなら、病気を治す魔法だって!」
ウェヌス「ハーイ!ごきけんよう!」
飯塚隼人「うぇ、ウェヌス!?」
ウェヌス「皆久し振りね!この世界エンジョイしてる?」
飯塚隼人「な、何しに来たんだよ!俺達は今それどころじゃ・・・」
ウェヌス「何だか皆落ち着かない感じだから来ちゃったわ・・・」
飯塚隼人「え?」
ウェヌス「あなた達、病気を治す魔法が無いか話してたんでしょ?」
飯塚隼人「そうだけど・・・って、」
飯塚隼人「そ、そうだ!ウェヌスならそう言う魔法あるか知ってるだろ?だから!」
ウェヌス「無いわよ?」
飯塚隼人「え?」
ウェヌス「だから無いわよ・・・そもそもあるなら最初から言ってるし・・・」
飯塚隼人「う、嘘だろ・・・魔法なんだぜ?だから・・・」
ウェヌス「あはは!随分子供らしい考えね!魔法で何でも解決出来たらもうとっくに世界征服出来てるわよ!」
飯塚隼人「な、何だよそれ、何だよそれ!なら、何しにここに来たんだよ!」
ウェヌス「私はちょっと様子見に来ただけよ・・・あなた達、これまで私がいなくても困難を乗り越えてたじゃ無いの!」
武藤和樹「ま、待ってウェヌス!そんな楽観的に!」
ウェヌス「何をそんな悲観的になってるの?残り僅かな人生、楽しまなきゃ損でしょ?」
遠藤かな恵「うぇ、ウェヌス!あたしは先が長く無いのよ!それなのに!」
ウェヌス「なら心配でもして欲しい訳?」
遠藤かな恵「え?」
ウェヌス「私はあなたの病気を治すだなんて言った覚えは無いわ・・・私はここにいるあなた達が自分の命を捨てたいと願ったから」
ウェヌス「あなた達の前に現れたの・・・形は何であれ、他人のくだらない優越感やエゴイズムの為に命を断つ人なんて山の様にいるわ・・・」
ウェヌス「あなたがこの世界に来たのはあなたが来たいと思ったからよ・・・余命とかは関係無い・・・」
ウェヌス「一度ここに来たなら、その僅かな命で何が出来るかもう一度考えて見なさい・・・この期に及んで只泣き喚いて、」
ウェヌス「私をガッカリさせないでね?」
ウェヌス「ま、そう言う事だから、私はあなた達にして上げられる事は何も無いから!後は自分で決めてね!また近い内に」
ウェヌス「あなた達に依頼を渡しに行くから!じゃあねぇ!」
武藤和樹「あぁちょ!ウェヌス・・・って、行っちゃったか・・・」
陣内香織「ちょっと!何なのよあれ!?人が真剣に困ってるって時に!!」
遠藤かな恵「皆、もう良いよ・・・」
陣内香織「良く無いわよ!かな恵さん悔しく無い訳!?」
遠藤かな恵「悔しいよ!でも!あたしにはもう先が無い!!そんなあたしに何が出来るってのよ!!」
武藤和樹「かな恵ちゃん・・・」
武藤和樹「え?何だ!?爆発!?」
飯塚隼人「皆大変だ!外が燃えてて、凄く近い!」
陣内香織「えぇ、こんな大事な時に・・・仕方無いか、皆行きましょう!」
武藤和樹「わ、分かった!皆急ごう!」
遠藤かな恵「・・・・・・」
陣内香織「かな恵さん何ぼんやりしてるの?あたし達も早く!」
遠藤かな恵「無理だよ・・・」
陣内香織「かな恵さん?」
遠藤かな恵「あたしに何が出来るの?余命僅かなんだよ?結局あたしには、何をやっても無駄だった・・・もうあたしじゃ・・・」
遠藤かな恵「・・・!?」
陣内香織「だから何だっての!?余命僅かだから何も出来ない?笑わせないでよ!そんな事言ったら、あたし達はもっと何も出来ないじゃん!!」
陣内香織「ウェヌスがどうしてあなたにあんな事言ったか少し分かった気がするわ!正直あたしも、あなたの事見損なったわ・・・」
遠藤かな恵「香織ちゃん・・・」
陣内香織「あたしもう行くわ・・・ここでウジウジしても何もならないわ・・・」
遠藤かな恵「・・・・・・」