17 香織の決意(脚本)
〇ヨーロッパの街並み
それから数時間後、香織が疲れて動けなくなった頃に俺達は洞窟を出て、盗賊は自警団へと引き渡し、
アーシャさんにアサドを引き渡すのだった。
アサド「か、かはぁ・・・」
アーシャ「お父さん!何でこんな酷い有様に!?」
武藤和樹「ご、ごめんなさい・・・話すと長くなるんですが・・・」
アーシャ「いえ、今は良いです!父を見つけてくれた事は感謝します・・・私は一度、父を病院へ連れて行きますので、」
アーシャ「話はその後で!」
陣内香織「ヒック・・・ヒック・・・」
飯塚隼人「なぁ、大丈夫か香織?」
陣内香織「・・・隼人・・・」
飯塚隼人「良かった!喋ってくれた!なぁ、腹減ってたりして無いか?どこか具合悪い所とか・・・」
陣内香織「あたし、最初から分かってたんだ・・・」
飯塚隼人「え?」
陣内香織「あんな奴に八つ当たりしても何にもならないって・・・でもあたし、どうしてもあいつの事が許せなかった・・・」
陣内香織「今までずっとお父さんの言う事聞いて、お酒渡して、どんなに否定されても頑張ってた・・・でも、あたしのお父さんに」
陣内香織「瓜二つのあいつが、あたしにはどうしても許せなかった・・・親ならもっと、色々話して欲しかったよ・・・」
飯塚隼人「香織・・・」
アーシャ「あの、香織さんですよね?」
陣内香織「あ、はい、そうですが・・・」
飯塚隼人「アーシャさん、お父さんは?」
アーシャ「先程病院に連れて行きました・・・連絡は時期に来ます・・・それはそうと、私の父の顔面の傷、香織さんが付けたんですよね?」
陣内香織「・・・はい、咎められる覚悟は出来てます・・・」
アーシャ「そんな事は良いです、何故あなたは、そんな事をしたのですか?物凄く憤ってたと聞きましたが・・・」
陣内香織「・・・あたしの父も、彼と同じ呑んだくれなんです・・・」
アーシャ「え?」
陣内香織「あたしはあなたと同じなんです・・・やる事をやりながら父にお酒を渡して、気の向くままにやらせてました・・・」
陣内香織「でもあたし、ある時限界を迎えて、父に隠れて自殺しようとしてました・・・」
アーシャ「そ、そんな事が!?」
陣内香織「ですが、今は自殺を思い留めて仲間と一緒に傭兵になってまして、ある時彼の顔を見た時、あたしは父の事を思い出して・・・」
陣内香織「酒を飲んでる時の傍若無人な態度を見て、もう本当我慢出来なくなってしまって・・・もうどう謝罪して良いか分かりません・・・」
アーシャ「・・・そうですか・・・あなたは優しい人なんですね・・・」
陣内香織「はい?」
アーシャ「私は只、自分のやるべき仕事にばかり目を行かせて、父の事は殆ど放ったらかしでした・・・あなたはとても強い人・・・」
アーシャ「正直私は逃げてました・・・私が仕事さえ出来てれば、お金が稼げればそれで良いと思ってました・・・ですが、自分の家族には、」
アーシャ「心から本音でぶつかる事も大事だって、あなたから教わりました・・・私は、あなたに感謝してますよ・・・」
陣内香織「・・・!?」
陣内香織「アーシャさん、ごめんなさい、あたし、何も考えずにあなたに酷い態度取ったりして!」
アーシャ「もう気にして無いです!後の事は、私達だけで大丈夫です!皆さん、お世話になりました!」
アーシャ「報酬は、確り用意してますね!」
飯塚隼人「・・・香織、良かったじゃんか!」
陣内香織「ううん、あたしは只自分の気持ちに素直になっただけだよ・・・正直言って何かした気がしない・・・」
飯塚隼人「それでもだよ!俺、香織は頑張ったと思ってるよ!」
陣内香織「・・・ありがとう・・・あのね隼人、あたし一つ決めた事があるの・・・」
飯塚隼人「決めた事?」
陣内香織「いつになるか分からないけどさ、あたしいつか、元の世界に戻れたら、あたしお父さんの事、ぶん殴ってやろうと思う・・・」
陣内香織「やっぱあたしの家族だし、本気でぶつかり合って、その先で何が出来るか、考えて見たいと思うから・・・」
飯塚隼人「・・・!そうだな!それが良いよ!絶対やって見せような!」
陣内香織「えぇ!」
〇魔王城の部屋
ウェヌス「ハーイ!また来て上げたわよ!」
ウェヌス「あら?この音は?」
プルート「おぉ、良いタイミングで来たな・・・」
ウェヌス「あらあら!珍しいわね!プルートがティータイムやるなんて!私の分ある?」
プルート「安心しろ、お前が来る事は分かっていた・・・ちゃんと用意してあるぞ・・・」
ウェヌス「あらあら!明日はこの世界に核が降って来るわね!遠慮無く頂くわ!」
プルート「おい、人聞きが悪いぞ・・・こんな事で世界を滅ぼすな・・・」
ウェヌス「あぁ美味しい!どこで買ったの?」
プルート「あぁ、悪いがどこで買ったかまでは覚えておらん・・・たまたま残ってたから飲もうと思ってな・・・」
ウェヌス「ふーん、まぁ良いわ・・・後で勝手に調べて置くから・・・」
プルート「・・・勝手にすれば良い・・・」
ウェヌス「えぇ、それはそうと、私が連れて来た子達、2人目も上手く行った見たいなのよ!」
プルート「あぁ、やっぱりその話題か・・・少しは自分で何とかしたらどうだ?」
ウェヌス「何言ってるの?あなたに頼めば寄り面白いんだもの!」
プルート「全く・・・後残ってるのは誰だったか?」
ウェヌス「そうね、余命僅かの女の子と、学校で虐められてた男の子よ・・・」
プルート「後2人か・・・どうにかならない物か・・・・・・ん・・・」
プルート「待て、私の昔の仲間に適任がいるぞ・・・」
ウェヌス「えぇ!プルート!あなた遂に本気出すのね!?」
プルート「もう勝手に言ってろ・・・連絡が取れるかどうかは分からんが、奴には派手にやって貰おう・・・所で・・・」
ウェヌス「ん?どうしたの?」
プルート「お前が連れて来た例の4人、今度は私にも見せて貰いたい・・・それと、前から聞きそびれたが、そいつらを元の世界に」
プルート「いつになったら帰すのだ?」
ウェヌス「え?今度は一緒に見たいのね?あの子達を元の世界にね・・・その辺のプランは考えてるけど、」
ウェヌス「元の場所に帰りたいかどうかはあの子達次第だから、その時にならないと・・・」
プルート「なるほど、まぁ良い・・・」