7 宏斗の経緯 後編(脚本)
〇一人部屋
鳥海宏斗「決めたのは良い物の、受かった後の事考えないとな」
自室に戻った俺は勉強をしながら何処のアパートに契約しようか考えていた。立地とか、通い易さとか、でもそれもこれも
受かってからで無ければ意味は無いが、頭の中に入れて置いても損は無かった。
鳥海宏斗「先ずは受からないとな・・・」
鳥海宏斗「ん?どうぞ?」
鳥海桃香「えっと・・・義兄さん?」
鳥海宏斗「桃香?何だよ?そっちから此処に来るなんて珍しい」
鳥海桃香「お父さん達に聞いたよ。私が実の兄妹じゃ無いって事・・・義兄さんと私が従兄妹だって・・・」
鳥海宏斗「そっか・・・悪かったな。他人なのに兄貴を気取って・・・」
鳥海桃香「そ、そんな事求めて無いよ!私は・・・!!」
鳥海宏斗「でも、俺の事嫌ってたならもう無理しなくて良いよ。もう必要以上に関わったりしないから」
鳥海桃香「い、嫌だよ!!」
鳥海宏斗「え?」
鳥海桃香「私が義兄さんを避けてたのは、私が義兄さんと結婚出来ないからだよ!」
鳥海宏斗「け、結婚!?」
鳥海桃香「私、本当は義兄さんの事好きだったの!でも私達は兄妹だから結婚出来ない。諦めなきゃ、義兄さんの事忘れなきゃって」
鳥海桃香「何時も自分に言い聞かせてた!でも私達は兄妹じゃ無い!なら私達は結婚出来る!それが分かったなら、今までの事全部謝るから、」
鳥海桃香「義兄さん、私と結婚して!私から離れるなんて事しないで!!」
鳥海宏斗「ま、待て待て待て!!桃香が俺を好き!?俺を嫌ってた理由は分かったけど、結婚は大袈裟過ぎないか!?それこそ、何て名前の」
鳥海宏斗「ドラマだよ!?」
鳥海桃香「義兄さん、私は本気だよ!今まで冷たくした事は謝るから、私と結婚して!!」
鳥海宏斗「・・・桃香・・・それは出来ないよ」
鳥海桃香「え?どうして!?」
鳥海宏斗「お前は勘違いをしてる。俺が一人暮らしをしたいと思うのは、俺が心からやりたいからだ。俺が余所の人間だからじゃ無い」
鳥海宏斗「俺はやって見たいからやりたいんだ。何より、俺も何時かは義理でも親に頼れなく成る日が来る。なら、早い内に力付けるのも」
鳥海宏斗「悪く無い話だろ。義理でも、桃香の事は妹だと思ってる。結婚しなくても、俺達は家族だよ」
鳥海桃香「そうだけど、義兄さんと離れて生活するなんて嫌だよ!!」
鳥海宏斗「桃香、俺の気持ちは変わらない。高校に受かったら、俺はアパートを探して出て行くよ」
鳥海桃香「義兄さん・・・義兄さん・・・!!」
〇アパートの台所
鳥海桃香「・・・と、私達は実の兄妹じゃ無いって分かって、私はその後も義兄さんを説得しましたが、義兄さんは考えを変えずに一人暮らしを」
鳥海桃香「して、今に至る訳です」
星宮まどか「し、知らなかった・・・鳥海君・・・本当の親が居ないだなんて・・・」
鳥海桃香「義兄さんは自分に力付けたいと言って一人暮らししてるのは本当です。でも、本当は実の家族でも無い私達に迷惑掛けたく無いと」
鳥海桃香「そんな見方も出来なく無いんですよね。私達は気にしないのに。最近義兄さん、余り家に帰って無くて」
星宮まどか「・・・まぁ、でも鳥海君の言いたい事も分からなく無いかな・・・あたし達まだ学生だけど、何時かは自立しないと行けないし・・・」
鳥海桃香「そうですよね・・・私も高校受験しながら家事教わってます。大人に成って義兄さんを支えたいから。でも義兄さんは私と結婚する気」
鳥海桃香「何処にも無い見たいですが・・・」
星宮まどか「うん・・・一応兄妹だし・・・」
鳥海桃香「貴方はどうですか?貴方が本気で義兄さんの事好きだって言うなら、どんな時でも義兄さんを支えられる程の力を身に着けて」
鳥海桃香「欲しいです。義兄さんがその人を選んでも、良く良く見れば私達が家族で無くなる訳じゃ無いから、ちょっと私も大人気無いって」
鳥海桃香「感じですね・・・」
星宮まどか「ど、どうだろう・・・そう言うの考えた事無かったな・・・・・・あたしはあたしで独りが当たり前だったから・・・」
鳥海桃香「独りで生きてるつもりでも、私達って何かしら支えられてます。コンビニとか、買い物出来る施設とか、私達って有る意味」
鳥海桃香「独りじゃ無いと思いますが・・・」
星宮まどか「う、うん・・・考えてる事超大人なんですけど・・・」
鳥海宏斗「二人共、ケーキ出来たから少しだけ試食してくれないか?まだ全然自信無いけど」
星宮まどか「け、ケーキ!?あたし、見学するつもりだったのにして無かった!!」
鳥海宏斗「まぁ、それはまた今度な。桃香、お前も付き合ってくれるか?」
鳥海桃香「はい!義兄さん!」
星宮さんが桃香と話してる間に俺は黙々とケーキ作りに専念して居た。試食して貰った際に二人から味は微妙との事で、
俺は後でレシピとやり方を見直すのだった。