8 飼い猫チャム(脚本)
〇田舎の学校
翌日、女子達に誘われて星宮さんの家に遊びに行く事と成った俺は、約束の時間より少し前の時間に待ち合わせ場所の学校に
来ていた。
大島武「しかしまぁ、まだ時間有るのにこんなに早く来てどうするんだよ」
鳥海宏斗「何でスマホが有ると思うんだ?こう言う時の暇潰しが出来るからだろ?」
大島武「それもそうか!そもそも遅刻したらどんな顔されるか・・・」
女子達が来るまでまだ時間は有るので、俺達はスマホを弄りながら時間を潰していた。
大島武「おい鳥海、決闘しろよ」
鳥海宏斗「悪い大島。俺今決闘やって無い」
大島武「マジかぁ・・・やっぱ忙しいよな?」
鳥海宏斗「あぁ、最近ケーキ作り真剣にやりたくて」
大島武「一人暮らしも楽じゃ無いよな・・・困ったら相談しろよ?」
前川敦子「男共!お待たせ!」
大島武「おう!待ってたぜ!」
鳥海宏斗「でも良いのか?こんなに大勢で遊びに行ったりして」
星宮まどか「あ、大丈夫だよ、今日はお母さん仕事で居ないし、余り騒がなければ問題無いから」
前川敦子「だってさ!」
大島武「良し!それしゃ早く行こうぜ!後、ついでにコンビニで菓子とか買ってさ!」
前川敦子「大島!余りギャアギャア騒がない様にね!」
大島武「分かってるって!そう言えば、目的何だったっけ?」
黒部真由「皆で宿題したり、一番の目的はチャム君に会いに行く事だよ」
大島武「宿題か・・・現実なんてクソだな・・・」
鳥海宏斗「まぁそう言うなよ。これから納得出来ない事が待ってるのは本当だからさ」
大島武「それ聞くと益々元気出ないな・・・」
黒部真由「まぁまぁ!お菓子沢山買って元気出そうよ!」
大島武「・・・そうだよな!世の中悪い事ばっかじゃ無いよな!」
前川敦子「だよね!その元気が有れば宿題も怖く無い!」
大島武「あぁ・・・はい、やります。やるからには全力で・・・」
何がともあれ、俺達はコンビニ経由で星宮の自宅へ遊びに行くのだった。
〇大きいマンション
大島武「お〜!此処が星宮の家かぁ!何階に住んでるの?」
星宮まどか「一応10階」
大島武「マジか。外の風景とか良い感じだろうな」
星宮まどか「別に、あたしは見慣れてるから」
黒部真由「まぁ行って見れば分かるよ。チャム君はお家?」
星宮まどか「あ、はい。多分家で寛いでます」
黒部真由「そっか!皆早く行こう!」
前川敦子「まぁ先ず落ち着きなって!猫ちゃんは逃げたりしないから!」
道中お菓子やジュースを買って俺達は星宮さんの自宅に訪れた。星宮さんの飼い猫のチャムに会いたくて、一部の人は
ウズウズしてた。
〇明るいリビング
大島武「へぇ、良い感じの所に住んでるんだな」
星宮まどか「まぁ、はい」
前川敦子「確か星宮って、お母さんと二人暮らしだったっけ?」
星宮まどか「あ、そうですよ」
前川敦子「あんまり負担掛けない様にね?」
星宮まどか「あ、はい・・・」
チャム「・・・・・・」
星宮まどか「あぁ、チャム只今!今日はお友達連れて来たよ!」
黒部真由「え!この子がチャム君!?凄く可愛いじゃん!!」
星宮まどか「はい。5年前から飼ってるんです。子猫だった時、捨てられてたのが放って置けなくて」
黒部真由「え?マジで?そう言うの許せないなぁ・・・」
星宮まどか「その時はお母さんにも反対されたけど、折れずに頑張ったら許して貰えて」
黒部真由「そうだったんだ!良かったねチャム君!まどかちゃんに拾われて!」
前川敦子「その辺の話も宿題やりながらじっくり聞かせてくれるかい?全部終わらせてゆっくりしよう」
星宮まどか「あ、はい!」
黒部真由「あ、ミルクとか大丈夫?」
星宮まどか「う〜ん、まだ大丈夫ですね。もう少ししたら」
黒部真由「分かった!楽しみにしてるね!」
俺達はテーブルを囲んで座り、持って来た宿題をやり始めた。大島は愚痴りながらも手を止めず、女子達はチャム君の話で
盛り上がっていた。
大島武「なぁ鳥海、此処どうするんだったけ?」
鳥海宏斗「え?どれどれ?あぁ、此処は確か・・・此処をこうして・・・」
大島武「おぉ!思い出して来た!後は大丈夫だ!」
鳥海宏斗「そっか」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海宏斗「・・・あれ?此処どうやってやるんだっけ・・・」
星宮まどか「あぁ!鳥海君!そこはね!」
鳥海宏斗「お、おう!落ち着いてからで大丈夫だからね!」
星宮まどか「あ、有難う。(あれ?此処の奴私も分からない。勢いに任せて声上げちゃったけどどうしたら。)」
前川敦子「鳥海、私に見せてみ?」
鳥海宏斗「あ、あぁ」
前川敦子「・・・あぁ、これのやり方か。ここはね・・・」
星宮まどか「(あ、先を越された。)」
鳥海宏斗「すまねぇ前川!やっと理解出来た!」
前川敦子「大した事無いよ!」
星宮まどか「(勉強。少しは頑張った方が良いかな。)」
何がともあれ、俺達は宿題を黙々と進めて何とか乗り切り、チャム君と触れ合うのだった。
黒部真由「あ〜可愛い!私も何か飼って見ようかなぁ・・・」
星宮まどか「やっぱこう、動物って見てて癒やされますよね」
前川敦子「そうね。只、自分の身勝手でペットを捨てたりすると周りが迷惑するから、責任重いよね」
黒部真由「う〜ん・・・それなら最初から飼うなって言いたいよね。何で飼って捨てるなんてするのかな?」
前川敦子「一言で言えば、大人に成り切れて無いとかかな。社会に出ても自分が正しい、自分が一番って思う奴は沢山居る」
前川敦子「我儘で自分勝手な奴が皆のトップに成ったら、その先に有るのは自滅する未来しか無いからね」
黒部真由「そっか・・・そう考えたら怖いね」
前川敦子「でも真面目な話、星宮は偉いよ。5年もこの子の面倒見てて、良く長続きしたね!」
星宮まどか「う〜ん・・・これって普通な事だと思いますが・・・」
前川敦子「星宮から見ればそうかもだけど、あたしには立派に見えるよ!」
星宮まどか「・・・何か、その、有難う御座います・・・こんな風に言われるの、初めてです」
チャム「・・・・・・」
鳥海宏斗「・・・?」
鳥海宏斗「チャム?俺に何か言いたげだが・・・気の所為か・・・」
チャムが俺に対して何か言いたげな感じだった。一応、雄猫とは聞いていたが、俺には何とも言えなかった。ともあれ、
俺達はチャムと戯れて、夕方に成る頃には解散した。
〇大きいマンション
黒部真由「今日は楽しかった〜!チャム君も可愛かった〜!」
前川敦子「あたしも楽しかったよ!また皆でチャム君に会いたいね!」
星宮まどか「あたしも楽しかったです。こんな風に皆で集まった事無かったんで!」
大島武「あぁ!こうして見ると宿題やるのも悪く無いな!」
鳥海宏斗「なら、一流大学とか頑張れそうか?」
大島武「おい!冗談キツいぞ鳥海!」
鳥海宏斗「はは!流石に冗談だよ!」
大島武「勘弁してくれよ・・・でも先の事考えたら何か重い・・・」
鳥海宏斗「はは!まぁ気持ちは分かるし、悪かったよ」
星宮まどか「・・・・・・」
前川敦子「じゃあ、また明日ね!真由、行くよ!」
黒部真由「うん!星宮さん!またチャム君に会わせてね!」
星宮まどか「あ、はい!あたしも、また皆で集まりたいです」
大島武「んまぁ、何だかんだ俺も楽しかったわ!鳥海、また今度ゆっくり遊ぼうな!」
鳥海宏斗「あぁ・・・」
星宮まどか「・・・・・・」
鳥海宏斗「じゃあ、俺もそろそろ行くよ。明日も早いし」
星宮まどか「あ、あの!鳥海君!」
鳥海宏斗「ん?どうかした?」
星宮まどか「え、えっと・・・その・・・そうだ!」
星宮まどか「桃香さんから聞いたんだけど、鳥海君、その、親が居ないって・・・あたし、何聞いてるんだろ・・・・・・」
鳥海宏斗「え?そうだけど・・・それがどうかした?」
星宮まどか「え・・・あ!御免!!嫌な事聞いたよね!!こんな事聞いたら、嫌だよね・・・!!あたし・・・何でこんな事・・・」
鳥海宏斗「いや、実際そうだけど、俺、本当の親がどんな人か知らないんだよね。何より、俺に取っての親って、桃香の両親だけだから」
星宮まどか「そ・・・そうなんだ・・・」
鳥海宏斗「そりゃ最初は驚いたよ。行き成り過ぎて現実味湧かないし、ずっと一緒に居た人達は、実は他人でしたって言われても、」
鳥海宏斗「そんなの信じられる訳無かったし、てか、桃香から聞いてたのかその話」
星宮まどか「う、うん・・・聞いた・・・」
鳥海宏斗「別に、こう言うの話して誰かに理解して貰おうなんて思わないし、今此処に居るのが俺だから」
星宮まどか「お、俺?」
鳥海宏斗「そもそも、一人暮らししたいって思ったのは俺が誰かに強制された訳じゃ無いし、俺自身本気でやって見たかったから」
鳥海宏斗「義理でもあの家族には感謝してるんだよ?」
星宮まどか「そ、そっか・・・」
鳥海宏斗「まぁ、桃花の結婚話回避するのは苦労したけど、何だかんだ楽しかったかな」
星宮まどか「鳥海君、結婚とか考えてるの?」
鳥海宏斗「どうだろうな・・・流石にそこまでは分からないな・・・」
星宮まどか「だ、だよね!先の事なんて分からないよね!」
鳥海宏斗「成るかどうかの事考えても仕方無いし、今はやれる事やるよ。じゃあ、また明日な」
星宮まどか「う、うん!今日は有難う!何と言うか、楽しかった」
鳥海宏斗「俺も楽しかったよ。またな」
星宮まどか「・・・・・・」
孤独の要素を持つ者が多くなってきましたね・・・
猫も捨てられていたやつですか・・・
勉強会の雰囲気はとても良いですね!
ほのぼの要素がいつもより多い感じで良いですね!