6 宏斗の経緯 前編(脚本)
〇おしゃれなリビングダイニング
鳥海宏斗「へぇ、今の高校だと、寮生活出来る所も有るんだ。でも折角だからアパート暮らしもやって見たいかな」
鳥海桃香「あれ、兄さん帰ってたんだ」
鳥海宏斗「何だよ桃香。無愛想な態度取って・・・」
鳥海桃香「何か色々面倒臭いんだよね・・・お父さんとお母さんならまだしも、何で私には兄妹が居るのかなって・・・」
鳥海宏斗「そんなのたまたまだろ?成っちまった物にケチ付けても仕方無いし」
鳥海桃香「そうね。何かそう言うの考えても時間の無駄よね。取り合えず戻ってるから・・・こっち来ないでよ?」
鳥海宏斗「何だよ・・・昔は仲良かった方だったが、最近あいつ素っ気無いと言うか・・・」
中3の頃、俺は桃香との仲は良く無い方だった。思春期と言う奴だろうか、昔と比べて何処か近寄り難い感じに成り、
俺もどうして良いか分からなかった。そんなある日の事だった。
鳥海宏斗「あれ?父さんと母さん。二人で何話してるんだろ?」
ある日、俺はリビングに入ろうとした時、父さんと母さんが何かを話てる所に出会して、コッソリその様子を伺う。
鳥海父「いよいよ宏斗も高校受験か。これまで以上に忙しく成るかもな」
鳥海母「本当、子供の成長って早いわよね。ちょっと前に小学校に入学したばかりだってのに・・・」
鳥海父「はは!時の流れは非常な物だな!!」
鳥海母「ねぇ、まだあの事先送りにするの?」
鳥海父「何言ってるんだ。姉さん達に約束したじゃ無いか。宏斗は私達が全力で守ると」
鳥海宏斗「え?何の話だ?」
鳥海母「それはそうだけど、何時かは話さないと、それこそ宏斗の為に成らないじゃ無い?宏斗は私達の子供では無くて、」
鳥海母「貴方のお姉さん夫婦の子供だって」
鳥海父「分かってるさ・・・けど、宏斗とは今日までずっと一緒に生活して来た。義理で有っても間違い無く我々の子供だろ?」
鳥海母「そうよ!事実上お姉さん夫婦の子供だけど、間違い無く宏斗は私達の子供よ!!」
鳥海宏斗「・・・・・・!?」
鳥海宏斗「こ、これって・・・どう言う事なんだ!?俺は一体・・・!?」
両親から盗み聞きした俺は、我慢出来ずに二人に問い詰める事とし、ドアを開けた。
鳥海宏斗「父さん!母さん!」
鳥海父「ひ、宏斗!?どうしたんだ?そんな血相変えて!?」
鳥海宏斗「二人共、俺って二人の子供じゃ無いの!?俺に一体何が有ったの!?」
鳥海母「宏斗・・・貴方まさか・・・さっきの話聞いてたの!?」
鳥海宏斗「答えて!家族なら、本当の事話してよ・・・!!」
鳥海父「・・・分かった。良く聞くんだ」
二人の話では、俺は物心が付く前に本当の両親が不慮の事故で亡くなり、俺は今の両親に引き取られたと言う。翌年に成って
義理の妹で在る桃香が生まれて、今日まで至った訳だ。
鳥海宏斗「それじゃあ、この話は全部本当?」
鳥海父「あぁ、この話は本当だ。私達の実の子供は、桃香だけなんだ」
鳥海宏斗「桃香はこの事知ってるの?」
鳥海母「いえ、話して無いわ」
鳥海宏斗「そっか・・・少し時間くれないかな?」
鳥海父「ん?一体何を?」
鳥海宏斗「考えたい事が有るから、纏まったら話すよ」
その後、俺は自室に戻って今後の進路や家族について、自分がどうしたいか考えて、考え抜いた末、皆をリビングに集めた。
鳥海宏斗「皆聞いて!俺これからどうするか決めたよ!」
鳥海母「そうなの!?何処の高校に行くの!?」
鳥海桃香「え?皆を集めて何かと思ったら、そんな事?私には関係無いじゃん」
鳥海父「桃香!そんな態度は無いだろ!」
鳥海桃香「だって実際関係無いもん」
鳥海宏斗「ま、まぁまぁ!皆落ち着いて!桃香に取っても悪い話じゃ無いから!」
鳥海桃香「あぁそう・・・ならその私の為に成る話って?」
鳥海宏斗「俺、夏目高校に行く。それで受かったら、一人でアパート生活がしたい!」
鳥海母「な、何ですって!?」
鳥海父「宏斗、お前正気か!?」
鳥海宏斗「うん。これから勉強するし、家事も出来る限り教えて貰うから!」
鳥海母「で、でも!受かった後でも家事なら幾らでも教えられるわ!高校生活も此処ですれば良いじゃ無い!?」
鳥海宏斗「皆良く言ってるだろ?若い内から苦労した方が良いって。何より、俺も何時までも義父さん達に甘える訳に行かないだろ?」
鳥海父「た、確かに言いたい事は分かる・・・だけどな!!」
鳥海桃香「二人共落ち着きなよ。私は別に良いと思うけど」
鳥海母「桃香!貴方状況が分かってるの!?」
鳥海桃香「別に、兄さんが居なく成って困る事って有る?私には何も無いわよ。一緒に居るのも面倒臭いし」
鳥海母「桃香!何時からそんな酷い事言える様に成ったの!?」
鳥海桃香「だって本当の事だし」
鳥海宏斗「まぁまぁ、義父さん、義母さん、俺も良く考えたよ。でも、俺は本気で一人暮らしやって見たいんだ。高校生に成ったら」
鳥海宏斗「もう義務教育じゃ無いなら、俺は自分で考えて行動出来る様に成りたいから」
鳥海母「宏斗!何でも一人で抱える事は無いのよ!」
鳥海宏斗「分かってるよ。でも、もう俺決めたから。高校生に成ったらバイトしたいし、今は勉強に専念するよ」
鳥海父「宏斗。考え直す気は無いのか?」
鳥海宏斗「無いよ」
鳥海父「・・・分かった。先ずは自分でやって見る事だな。納得するまでやって見なさい」
鳥海宏斗「良かった!!俺、絶対受かって見せるよ!!」
鳥海桃香「良かった。後一年我慢すれば兄さんとお別れ出来るんだね」
鳥海宏斗「あぁ、安心しろ。そもそも俺達、実の兄妹じゃ無かったし、無理に関わっても仕方無いよね」
鳥海桃香「はぁ!?実の兄妹じゃ無いって・・・そんなドラマ見たいな!!」
鳥海宏斗「はは!そりゃ驚くよね・・・でも俺も義父さん達から聞いたんだ。義父さん達の子供は桃香だけだって」
鳥海桃香「う、嘘でしょ・・・」
鳥海宏斗「まぁ、何がともあれ、俺の気持ちは変わらないから。そろそろ部屋に戻るね」
鳥海母「あぁちょっと!宏斗・・・行っちゃった・・・」
鳥海父「母さん。もう宏斗は誰にも止められない」
鳥海母「そ、そうよね・・・」
鳥海桃香「ねぇ、二人共、私達が兄妹じゃ無いって・・・」
鳥海父「あぁ、宏斗がバラしてしまったからには話さないと行けないか。桃香、この話は本当だ。宏斗はな・・・」
俺達が兄妹では無い事実に驚く桃香は、両親から全てを聞いて言葉を失った。
鳥海桃香「そ・・・そんな・・・」
鳥海母「だから、貴方と宏斗には仲良くして欲しかったの」
鳥海桃香「・・・そ、それじゃあ私がしてた事って・・・・・・」
真実を知った桃香は居ても立っても居られなく成り、その場を走り去った。