2 ストーカー(脚本)
〇テーブル席
屋上で星宮まどかと話した後、再び彼女と話す機会は掴めず、俺は学校が終わった後に近所の喫茶店でバイトに励んでいた。
鳥海宏斗「お待たせ致しました。ご注文の、チーズケーキとブレンドコーヒーに成ります」
モブ女子1「有難う御座います!」
鳥海宏斗「それでは、ごゆっくり・・・」
モブ女子2「ねぇ、最近あの噂聞いた?」
モブ女子1「え?あの噂って?」
モブ女子2「最近この辺で、女子高生や女子中学生狙ったストーカーが居るって」
モブ女子1「え!?それ本当!?警察とかは?」
モブ女子2「何と言うか、情報が足りないからまだ捕まえるのは難しいって」
モブ女子1「マジか・・・早く捕まって欲しいね・・・」
鳥海宏斗「(へぇ、この辺にストーカーか。何だか物騒だな。)」
草壁真由美「鳥海君!次の注文出来上がったから持って行って!」
鳥海宏斗「あぁ!分かりました草壁先輩!これは・・・2番テーブルか。直ぐ行きます!」
来ていた人からストーカーの話が聞こえたのが少し気に成ったが、今はバイトに専念する方が大事だったので、この話は
頭の隅に置いとくのだった。
〇テーブル席
鳥海宏斗「良し、片付いた」
草壁真由美「鳥海君、掃除終わった?」
鳥海宏斗「先輩、たった今終わった所です」
草壁真由美「そっかそっか!今日もお疲れ様!そろそろ次のステップ踏んでも良いかもね」
鳥海宏斗「え?新しい事やらせて頂けるんですか!?」
草壁真由美「私はそろそろ良いかなって思うけど、一度店長に相談しないとだから」
鳥海宏斗「・・・楽しみです」
草壁真由美「私の方から店長に話して見るから少し待っててね。外暗く成ってるから、帰り道気を付けてよ?」
鳥海宏斗「分かりました」
草壁真由美「それじゃ、明日も頑張ってね」
鳥海宏斗「・・・他にやり残しは無いな・・・俺も帰るか・・・ん?」
何か残った仕事が無いか確認し、帰ろうとした時、外で何か見覚えの有る物が見えた。
鳥海宏斗「もしかして・・・ヤバいだろ・・・あれ・・・!!」
後片付けを終わらせて、俺は慌てて荷物を持って外へと駆け出した。
〇通学路
星宮まどか「はぁ・・・はぁ・・・」
ストーカー「ぐへへ!あの可愛い子、何処まで逃げるのかな?」
星宮まどか「あぁ、まだ付いて来る・・・お母さん、何で電話出てくれないの・・・!?」
ストーカー「人気も無いし、やっちゃっても良いよね?」
鳥海宏斗「お巡りさん、こいつです。さっき喫茶店から女の子を尾行してるのを見つけて」
ストーカー「えぇ!?何で警察が此処に!?」
男性警官「通報有難う御座います。後は我々に任せて下さい」
ストーカー「いや、これは・・・その・・・!!」
男性警官「女の子を尾行してたんですよね?詳しい事は署でお聞きしますので、ご同行願います」
ストーカー「あぁ!待って下さい!これは、違うんです!!」
幸い追い掛ける時に近くに交番が有ったのでそこに居たお巡りさんに頼んでストーカーを捕まえて貰う事にし、手を出される前に
追い付く事が出来た。
鳥海宏斗「後一歩遅かったら危なかったな・・・」
星宮まどか「えっと・・・鳥海君・・・だったよね?此処で何してるの?」
鳥海宏斗「何って、バイトしてる喫茶店の窓から君が変な奴に追い掛けられてたからお巡りさん呼んで此処に来た訳で」
星宮まどか「え?助けてくれたって事?どうして?」
鳥海宏斗「どうしても何も、追われてる子を放って置ける程俺も馬鹿じゃ無いよ。君が何してたか知らないけど、帰るなら早めに」
鳥海宏斗「帰った方が良い。今日は家まで送るから、次は何かしら対策した方が良いよ」
星宮まどか「あ、有難う・・・」
何と追われて居たのは星宮まどかだった。さっきお客さんの話を盗み聞きした時、まさかとは思ったが本当にストーカーが居るとは
思わなかった。もし見つけて知らん顔してたらどう成ってたかと考えると正直怖いとしか言えず、何がともあれ、
俺は彼女を家に送り、自分も家に帰る事にした。
星宮まどか「まどか・・・」
鳥海宏斗「え?何?」
星宮まどか「星宮まどか・・・お母さんと二人暮らししてるの・・・さっきは・・・その・・・有難う・・・」
鳥海宏斗「星宮さんか・・・まぁ、大した事無いよ。早く帰ろう」
ストーカーから助けて、その後の見返りの事は一切考えず、星宮さんを送り届けた後、俺は真っ直ぐ家に帰るのだった。