9 屋敷の秘密(脚本)
〇闘技場
仕事の説明を受けた俺達は、早速屋敷の掃除をするのだが、俺だけはローナさんに誘われて剣術指南を受ける事に。
ローナ・ベイカー「なるほど、大体の動きは分かりました・・・一度基礎から始めるのが良いですね・・・」
飯塚隼人「分かりました・・・しかしまぁ、闘技場なんて所有してるなんて凄いですね・・・」
ローナ・ベイカー「はい、元々はレオナルド様が娯楽の為に買った物ですが、戦闘訓練に最適だったので有効活用しております・・・」
飯塚隼人「お金持ち、ここまで見せて貰うと何か怖いな・・・」
ローナ・ベイカー「まぁ、そこはさて置き、訓練を始めましょう・・・次は私の動きを見て貰います・・・」
飯塚隼人「あ、はい!是非!」
ローナ・ベイカー「うふふ、それでは、少し離れて下さい!」
飯塚隼人「ええぇ・・・凄く早くて、無駄が無い・・・」
ローナ・ベイカー「お褒めに預かり光栄です・・・無駄の無い連続斬りは大群戦に置いてとても有効です・・・囲まれた際も撹乱にも使えます・・・」
飯塚隼人「お、おう・・・俺にも出来るのかな、今の・・・」
ローナ・ベイカー「勿論です!千里の道も一歩からって言いますからね!」
飯塚隼人「は、ははは・・・はい、お願いします・・・」
ローナ・ベイカー「はい、では行きましょうか!」
〇洋館の廊下
一方。
陣内香織「全く、隼人は1人で剣の特訓・・・あたしらは黙って掃除・・・あいつ後で掃除嫌だとか言わなきゃ良いけど・・・」
遠藤かな恵「まぁまぁ、後で約束事取り付けたら良いと思うよ?」
陣内香織「まぁ、確かにそれは理に叶ってるけど・・・」
陣内香織「てか何なのこの依頼?只の他所様の私生活の調査なんて傭兵のやる事じゃ無いでしょ・・・」
陣内香織「これのどこがあたし達向けなのよ・・・馬鹿にしてるの?」
武藤和樹「う、うん・・・確かにこれだと只のお手伝いさんだよね・・・でもやって損は無いと思うからさ!」
武藤和樹「僕はあっちをやってくるから!」
陣内香織「もう、武藤さんもお人好しなんだから・・・」
遠藤かな恵「ま、まぁまぁ!掃除って何だかんだ大事だからさ!」
陣内香織「それは分かるんだけど、何か納得出来なくて・・・」
遠藤かな恵「言いたい事は分かるよ・・・でも、これも大事な事だし・・・」
陣内香織「え?今の音は?」
遠藤かな恵「武藤さんが行った方向からだね・・・行って見よう・・・」
〇地下に続く階段
陣内香織「武藤さん!いますか!?」
武藤和樹「あぁ、君達か!」
遠藤かな恵「何か凄い音が聞こえたから来たんですが何かありましたか?てかこの階段は?」
武藤和樹「う、うん・・・廊下の壁に寄り掛かって壁に手を付けたら、何か触った壁がいきなり引っ込んでこうなって・・・」
陣内香織「え?それってカラクリ扉って奴じゃ無いですか!どうしてそんな物が!?」
武藤和樹「それは分からないし、正直この下がどうなってるのか気になってるんだ・・・僕はこの下に行こうと思うけど、」
武藤和樹「君達はどうする?」
遠藤かな恵「このお屋敷、何か秘密がありそうですね・・・」
遠藤かな恵「武藤さん、あたしも行きます!」
武藤和樹「分かった・・・香織ちゃんはどうする?」
陣内香織「・・・こうなった以上見て見ぬ振りは出来ませんね・・・あたしも行きます・・・」
武藤和樹「決まりだね、行こう・・・」
〇洞窟の深部
陣内香織「ここは一体・・・」
遠藤かな恵「何かの洞窟かしら・・・態々隠してたって事は何かあると思うけど・・・」
武藤和樹「ん?この音は?皆行こう・・・」
三人は秘密の通路から謎の洞窟に辿り着き、さらにその奥へと向かう。
武藤和樹「こ、これは!?皆隠れて!」
モブ「ぜぇ、ぜぇ、やっと掘り出せた・・・」
モブ「これなら怒られずに済みそうですね・・・」
モブ「あぁ、でも何で俺達こんな事してるんだろうな・・・」
モブ「ひぃ!!」
見張り「おらぁ!お前ら何をサボってやがる!?」
モブ「そ、そんな!サボってるだなんて滅相もございません!我々は今さっきまた新しい金を!」
見張り「馬鹿か・・・次の奴が見つかったら直ぐ次を掘り出すんだよ!そんな事も分からないのか!?」
モブ「で、ですが!俺らここに来てから一度も休んで無いし!」
見張り「休んで無い?馬鹿かお前は!」
見張り「忘れたのか?お前らはここに来る前から何の職にも就けなかった・・・つまりお前らは社会のゴミなんだよ!」
見張り「外に出て何の役にも立てないお前らをレオナルド様はその慈悲深いお心でお前らを拾ったんだ!」
見張り「お前らは只言われた事をやってれば良いんだよ!それとも何だ?レオナルド様への恩義すらも忘れたのか?」
モブ「い、いえ!そんな事は決して!」
見張り「そうだ!お前らは俺らの、何よりレオナルド様の踏み台になってれば良いんだ!仮にお前らが潰れても代えなんて幾らでも」
見張り「あるからな!レオナルド様の為にももっと働くんだな!役立たず!」
陣内香織「えぇ!ちょっとこれって!」
遠藤かな恵「うん・・・これって強制労働だよ・・・あたし達に調査して欲しい事ってこれの事だったんだ・・・」
武藤和樹「信じられない・・・裏でこんな事してただなんて・・・」
武藤和樹「あ・・・!」
見張り「ん?」
「・・・・・・」
見張り「なんだ、気のせいか・・・」
見張り「お前らぁ!もしサボったりしてたら拷問部屋に連れてくからなぁ!!」
陣内香織「ね、ねぇ、これどうする?」
遠藤かな恵「どうするって言われてもなぁ・・・」
武藤和樹「とにかく、ここは一度引き返して、大勢を立て直そう・・・隼人君にも知らせないと・・・」
〇闘技場
飯塚隼人「ぜぇ・・・ぜぇ・・・で、出来た・・・」
ローナ・ベイカー「お見事です隼人様!中々筋が宜しいですね!」
飯塚隼人「あ、ありがとうございます・・・こうなったらちゃんと身体鍛えないとな・・・」
ローナ・ベイカー「これだけ出来れば、もうお話しても大丈夫そうですね・・・」
飯塚隼人「え?どうしたんです?」
ローナ・ベイカー「隼人様、実は、あなたと、あなた方にどうしても頼みたい事があるのです・・・」
飯塚隼人「俺達に頼みたい事?」
ローナ・ベイカー「はい、今から話す事は全て真実です・・・この屋敷の地下には、金塊を掘り出す事が出来る洞窟があります・・・」
飯塚隼人「え?金塊って、あの金塊!?」
ローナ・ベイカー「そうです・・・ですが、レオナルド様はその金塊の発掘をホームレスや就職難に陥った人達にやらせているんです・・・」
飯塚隼人「え?」
ローナ・ベイカー「レオナルド様は女性にこそ優しく接していますが、弱者に対しては捨て駒としか考えておりません・・・」
ローナ・ベイカー「弱者に金塊を掘り出させて今の地位を確立しており、使えないと判断すれば容赦無く切り捨てる・・・私達は、そんなレオナルド様を」
ローナ・ベイカー「止める事が出来る方を捜していました・・・」
飯塚隼人「ま、待った待った!その話本当なんですか!?ハッキリ言って・・・」
ローナ・ベイカー「信じられないのも無理はありません・・・ですが、これは全て本当なんです・・・私の部屋に来て頂ければ、信じて頂けるかと・・・」
飯塚隼人「は、はぁ・・・なら、見せて下さい・・・」
ローナ・ベイカー「分かりました・・・ではこちらへ・・・」
俺は特訓を終わらせた後にこの屋敷の秘密を聞かされて半身半疑だったが、ローナさんの部屋で証拠を見せられ、
顔を青くしたのだった。