10 反逆(脚本)
〇洋館の廊下
飯塚隼人「あぁ、色々見せて貰ったけど、まさかどれも本当だったなんて・・・」
ローナ・ベイカー「驚くのも無理はありません・・・初見だけでは、相手の本質は分かりませんから・・・」
飯塚隼人「まぁ、そうですよね・・・あの人俺から見ても女尊男卑っぽく見えましたから・・・」
陣内香織「あれ?隼人じゃん・・・」
飯塚隼人「あれ?皆ここで何を?」
武藤和樹「いやさぁ、さっきそこで秘密の道を見つけてさ・・・その先を見に行ったら強制労働されてる人が沢山いて・・・」
飯塚隼人「え?皆ももう見たの?俺もさっきローナさんから聞いてさ・・・」
遠藤かな恵「あ、そうだったんだね・・・あたし達もこれから作戦立てようと思って隼人君の事捜そうとしてたの・・・」
飯塚隼人「そっか・・・」
武藤和樹「まぁ、何がともあれだ・・・お互いこの屋敷の本質が分かったならやる事は一つだ・・・」
武藤和樹「僕達で、強制労働させられてる人達を助けよう・・・」
飯塚隼人「はい!」
ローナ・ベイカー「皆様、ありがとうございます・・・我々も協力は惜しみません・・・」
遠藤かな恵「・・・ローナさん、レオナルドさんやこのお屋敷の事、もっと良く教えてくれませんか?」
ローナ・ベイカー「勿論です・・・皆様、こちらへ・・・」
〇洞窟の深部
数時間後。
レオナルド・カーター「やぁやぁ!皆調子はどうだね?」
見張り「おぉ!これはこれはレオナルド様じゃ無いですか!」
見張り「ご安心下さい!今クソ共が汗水垂らして金を掘り出しております!」
レオナルド・カーター「おぉ!やってくれてるか!流石は私だ!使い道の無いガラクタでさえも、こんな風に使い道を見出すのだからな!」
見張り「ははは!そこに痺れる憧れる〜!とは正にこの事ですね!」
モブ「くそ!何が痺れる憧れるだ!人権を無視しやがって・・・俺達だって生きてるんだぞ!」
モブ「ですが、拾ってくれたのは事実ですし・・・」
モブ「でもよぉ!」
見張り「おらお前らぁ!口動かして無いで手を動かせ手をぉ!レオナルド様が直々に視察に来てるんだからなぁ!」
見張り「怠けてる所見せんじゃねぇぞ!!」
モブ「ひぃ!す、すみません!!」
モブ「・・・やっぱこうしてる事しか出来ないのかよ・・・」
レオナルド・カーター「ほう!中々躾が行き届いてる見たいだな!」
見張り「へへへ!当たり前の事ですよ!」
ローナ・ベイカー「レオナルド様!」
レオナルド・カーター「何だ?何故お前がここにいる?」
ローナ・ベイカー「良く聞いて下さい!私達メイド一同は、本日を持ってレオナルド様のこれまでの悪行を裁判所に提出する事と致します!」
レオナルド・カーター「は、はぁ!?ローナお前!何を勝手な事を!?」
ローナ・ベイカー「私は前からレオナルド様のやり方に疑念がありました!身寄りの無い人達を拉致して強制労働を強いて、望まぬ事を強要したりと、」
ローナ・ベイカー「こんなのは救いではありません!独裁です!レオナルド様の蛮行は法に裁かれるべきです!」
レオナルド・カーター「き、貴様ぁ!!今まで誰が食わせてやったと思ってるんだ・・・その恩を仇で返すとは・・・貴様は今日でクビだ!!」
レオナルド・カーター「おい!今直ぐローナを始末しろ!!」
見張り「へい!レオナルド様に楯突くクソ野郎が!!」
見張り「んな!」
飯塚隼人「させるか!!」
見張り「んな!お前は傭兵のガキか!」
飯塚隼人「お前の相手は俺だ!ローナさんと比べたら弱いけどなぁ!!」
陣内香織「あんた達、覚悟しなさいよ!」
見張り「ぐは!舐めやがって!!」
レオナルド・カーター「んな!こいつらは!?」
武藤和樹「そこまでです!レオナルドさん!今直ぐ自首して下さい!」
レオナルド・カーター「ええい!次から次へと!おい奴隷共!こいつらを差し押さえろ!!」
レオナルド・カーター「え?何だこの音は?」
モブ「おぉ!ありがとうお嬢さん!何だか凄く身体が軽いぜ!」
モブ「ありがとうございます!何とお礼をしたら良いか!!」
遠藤かな恵「当たり前の事をしただけです・・・もう少しで全て片付きますので、今暫く待ってて下さい・・・」
レオナルド・カーター「んな!あいつら!!」
武藤和樹「レオナルドさん、こうなればもう結果は明白です・・・もう一度言います・・・自首して下さい・・・」
レオナルド・カーター「ええい誰がするか!良くも私のパラダイスを滅茶苦茶にしてくれたな!!」
武藤和樹「パラダイス?他人に苦労を掛けさせて、自分は只見てるだけの状況がパラダイスなんですか?」
レオナルド・カーター「あぁそうだ!私は社会に貢献出来ない役立たず共を拾ってやったのだ!何の職にも就けなかった者は何をやっても出来ないからな!」
レオナルド・カーター「そんな役立たず共に出来る事は物を掘り出す事だ!この金の埋まった洞窟を見た時、私はそれをこいつらにやらせれば良いと」
レオナルド・カーター「思い付いたのだ!奴らが金を掘れば掘る程私の生活が潤う!何も出来ない奴は、私に使われて当たり前なのだからな!!」
武藤和樹「・・・!?」
武藤和樹「・・・・・・それ、本気で言ってます?人の気持ちを捻じ曲げてまで手に入れる幸せ、彼らが死んだら、」
武藤和樹「どうするつもりだったんです?」
レオナルド・カーター「何をゴチャゴチャと言っている!あんな奴ら死んでも代わりならまた探せば良い!どうせ何の役にも立たないんだからな!」
武藤和樹「・・・なるほど、僕の所にいた部長も、同じ気持ちだったんだろうな・・・」
レオナルド・カーター「おい、何を言っている?」
武藤和樹「そうか、代わりがあるなら死んで良いんだ・・・それは僕だけだと思ったけど、もう遠慮なんかしない!」
武藤和樹「そうだ!金なんかあるから、自分は偉いとか思ってる奴がいるからいけないんだ!僕も彼らも、そのせいで本当の自分を見失って、」
武藤和樹「本当の自分が何なのか分からなくなるんだ!だったら、こんなあっちゃいけない場所、僕が無くしてやる!!」
武藤和樹「はあぁぁぁ!!」
レオナルド・カーター「おい!何をする?止めろおぉぉ!!!」
レオナルド・カーター「ああぁ!!私の金が!私の洞窟があぁぁ!!!」
その後、俺達が洞窟で暴れてる最中、裁判所の人達が屋敷に来て、レオナルドさんは逮捕されたのだった。