99クレージー

山本律磨

人形の家(2)(脚本)

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〇見晴らしのいい公園
和泉「こんばんわーーーー! 99クレージーでーす!」
和泉「本編ではお見せしないような、 激チャラな服装選んでみたら 季節感も消えました・・・」
和泉「で、おなじみの和泉成でございます!」
和泉「連載開始より、 なんやかんやで二度目の年末」
和泉「さて、いよいよその姿を露わにした 敵キャラクター軍団こと 『白鬼夜行』のみなさん」
和泉「なかなか緊張感のない 内輪トークとは裏腹に、 今後はその不穏な野望を、いよいよ 剥き出しにしていくのでしょうか?」
和泉「だとしたら、こちらとしてもいい加減 糸目のイカレオジサンのザレゴトに いちいち付き合ってる暇はありません」
和泉「ツッコミ好青年和泉成は そろそろ終いにして、 これからは二枚目路線。 そう、ニノセンをスローガンに 頑張ってゆく所存!」
和泉「他の若い作家さんの作品を見習って、 ちょっとスカした、でも心根は熱い、 そんなキャラクターを目指したいと」
和泉「早い話がモテたいと!」
和泉「第一話の失恋から、 いい加減立ち直りたいと!」
和泉「ろくでもない主人公(自称)や サイコパシーなヒロイン(自称) とは極力距離を取っていこうと!」
和泉「かように思っている次第でございます」
和泉「それでは『人形の家(2)』」
和泉「スタートでございます!」
九十九「・・・」
令「・・・」
「・・・」
「へっくしょん!」

〇居酒屋の座敷席
九十九「ゴルア!和泉成!」
令「なんだ手前その恰好は!」
和泉「え?」
令「言ったはずよ。 私達は警察関係者、呪術関係者、 そして警備関係者として、お互い 身分がバレない恰好で落ち合おうと」
令「教えたはずよ。 ちょっと自分のキャラにない、 普段身に着けないような、 そんな恰好が望ましいと。 それが変装の鉄則だと」
和泉「はい。ですから、 普段着ないような服を着用して・・・」
令「おいおいおいおい! こいつ、照れちゃってるよ!」
令「ゴリゴリに異性の目意識しちゃってるよ!」
令「赤面したいのはアンタのほうだよなァ~ 九十九さんよォ~」
九十九「だ、だから僕は~ 刑事さんに言われた通りに~ 普段しないような恰好で~」
令「だとさ。 実に真面目じゃないかね、九十九君は」
九十九「必然性があるなら私、脱ぎます!」
令「どうだね?このプロ根性」
令「それに引き換え和泉! 何だそのほんのり冒険お洒落フィットは! 自分だけ守りに入った変装しやがって!」
令「彼の剥き出しの冒険心を見習いたまえ!」
九十九「ボク、ボク、恥ずかしかったんだよ・・・」
九十九「でも、みんなも恥ずかしい恰好で 来るっていうから・・・」
九十九「和泉君だって絶対ブリーフ一丁で、 最低でもブーメランパンツだって、 そう思ってたのに・・・」
九十九「なのに・・・なのに・・・うわああん!」
令「おいおいおい泣いちゃったよ! あんたの同僚泣いちゃったよ!」
令「このオトシマエどうつけてくれんだ? ア゛ア゛ア゛ン?」
九十九「お酒飲みたいよお! とっても高いお酒が飲みたいよお!」
和泉「そろそろ本題に入ってもいいですかね?」
令「・・・じゃあ服着ようか九十九君」
九十九「はい小角警部」

〇雨の歓楽街
  『ふ~む』
  『白鬼夜行・・・ねえ』

〇居酒屋の座敷席
和泉「ご存じありませんか?」
令「学生運動結社。 反政府のセクト。 戦中戦後に暗躍した特務機関」
令「いずれも聞いた事のない名前ね」
九十九「劇団名だったりして。違うか」
和泉「あ、チョコボーイ九十九さんは、 そこでシャワー浴びて スタンバイしてて下さーい」
九十九「オッケー。 いや~最近年のせいか、ダイレクトに 腰にくるようになっちゃって・・・」
九十九「誰が男優じゃい!」
令「君は邪魔にならんよう飲んでいたまえ。 好きなもん頼んでいいから」
九十九「あざ~す!」
令「付喪神を製造し社会騒乱のみを 目的とした単なる愉快犯。 とも考えられるが」
和泉「事件の軽重に関わらず、 何らかの目的意識を持った呪術集団が 結託し組織化していることが問題です」
令「確かに。 禍異物対策課でも調べてみよう」
令「限りなく窓際に近い部署だがな」
令「次にこちらからの質問だ」
令「君は亡くなられた吉備対魔士と、 よく飲みに行ってたそうだな」
令「青龍部隊で一番仲がよかったと聞く」
和泉「まあ、仲が良かったといいますか。 同郷だったんです。 だから懐かしくて」
和泉「たった一年かそこらの付き合いでしたが、 俺と、もう一人佐藤っていう イザナギビルの清掃係とで、 三人会なんて発足して」
令「佐藤?」
和泉「ええ」
和泉「一緒に上京した友達です。 これがビル掃除させとくには勿体ない ってくらいの熱い男でして」
和泉「『東京で一旗上げるぞー!』 つって、今も必死で貯金して」
和泉「だからアイツ・・・」
和泉「本当に、熱血なんですよ~お!」
和泉「何のコネもなかったから、 ヤオヨロズに入社しても雑用ばっか やらされて~!」
和泉「俺なんかより頭いいのに! 俺なんかより運動できるのに! 俺なんかより人間できてるのに!」
和泉「ま、顔は私が圧勝してますが」
和泉「だから俺、頑張って出世して 早くアイツを警備違士に 引き上げてやりたいんですよ~!」
和泉「アイツなら絶対、 最高の戦士になれますよ! 世の為人の為に戦う、 正義のヒーローに!」
和泉「あ、おねいさん。芋焼酎」
和泉「あとメヒカリ」
おねいさん「はいよろこんでー」
和泉「それでですねー」
九十九「情緒、どうなっとんじゃ?」
令「純朴な田舎の若者が 大都会で生きていくのは、 ストレスがかかるってことさ」
令「君はどうなんだい? 出雲出身だろう?」
九十九「余裕っすよ余裕。 順応力込みでエリートですから」
九十九「しかし和泉君はいかんですな~ 警部殿は吉備対魔士のことについて 聞きたかったのに、 自分の話ばっかりで」
九十九「あとで私がガツンと言ってやりましょう」
令「そうでもないさ。 貴重な情報を入手した」
九十九「はあ?」
九十九「ところで私には何か質問ないですかな?」
令「うむ。重要な質問がある」
九十九「まあ、いい男を御紹介したくても、 僕には僕以上にハンサムな友達なんて いませんからね~」
九十九「なんつって!違うか!がはははは!」
令「チッ!使えねーな・・・」
「おねいさーん。お勘定」
九十九「・・・」
九十九「おい起きろ和泉成!飲むぞ!」
  つづく。

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