十四話(脚本)
〇炎
ヒノカグツチ
ならびがみ最後の子にして
母神を焼き殺した炎の化身
カグツチ「誰が好きで殺すかよ」
カグツチ「っていうか、誰が産んでくれって頼んだ」
カグツチ「こんな姿にな」
カグツチ「それなのに・・・」
父神は怒り、その剣で火の子の首を刎ねた
カグツチ「結局最初から最後まで、 あのイカレ夫婦は 出来損ないの子を虐げ続けたってわけだ」
カグツチ「俺は最後の子 『火子(ヒノコ)』カグツチ」
カグツチ「そして」
カグツチ「お前が最初の子『日子(ヒルコ)』だろ?」
〇太子妃の御殿
カグツチ「エビス」
ミコ「・・・え?」
シバ「そうきたか~」
ドキ「原初の日輪。光の神」
ヒルコ
エビス「よくも我が名を使って 好き放題暴れ回ってくれたな。 弟よ・・・」
カグツチ「まさか手も足もねえ 出来損ないの長男が、 海の向こうから戻って来るなんて 普通思わねえだろ」
カグツチ「お前もこの島国に復讐に来たのか?」
カグツチ「出来損ないの己を 水に流して忘れ去った、 タカマガハラの神々とアシハラの連中に」
エビス「復讐?」
エビス「随分とねじくれた愚弟よな」
エビス「我は一人でも気ままに生きておる」
エビス「誰彼かまわず構ってほしくて この世に現れては、 駄々をこねて暴れ回る餓鬼と 一緒にするでない」
カグツチ「チッ、出来損ないの蛭野郎が。 五体が生えてきたのをいいことに 調子づきやがって」
カグツチ「手前の日(ヒル)は 蛭(ヒル)なんだよ!」
エビス「左様な言葉遊びなど、どうでもよい」
カグツチ「ああ?」
エビス「我は祈りに答えてやって来た」
エビス「我を必要とする声に応じただけだ」
エビス「神としてな」
ミコ「エビス様・・・」
エビス「左様な顔をするな」
エビス「何かの間違いであったとて、 別に悔やんでなどおらぬ」
エビス「短い間だったが中々興味深い旅でもあった」
エビス「そなたの声が聞こえなければ、 今日もまた海の果てで一人釣りでもして 日がな一日ぼんやり暮らしていただろう」
エビス「会えてよかったぞ、ミコ」
エビス「あと・・・」
エビス「おじいさん」
ドキ「ドキです」
ミコ「・・・」
ミコ「はあっ・・・はあっ・・・」
ドキ「ミコ、しっかりせい!」
エビス「強き女子じゃ。 あれほどの神降ろしを行ってなお その命の輝きは失われておらぬ」
エビス「養生いたせ」
ドキ「ヒルコ様・・・」
エビス「案ずるな。これより禍はこの我が鎮める」
カグツチ「禍だと?」
カグツチ「誰に口きいてんだ?」
カグツチ「俺はヒノカグツチ。復讐の炎」
カグツチ「俺は自由だ」
カグツチ「俺の怒りの炎は誰にも消せねえんだよ!」
カグツチ「ば、馬鹿な。俺の炎が・・・」
エビス「俺が。俺が。俺が」
エビス「それでも神か?」
カグツチ「何だと?」
エビス「それはこちらの台詞」
エビス「何だ今の手慰みは」
エビス「斯様な小火(ぼや)が怒りというものか?」
エビス「この程度の力に貴様は囚われているのか?」
カグツチ「黙れ・・・黙れ・・・黙れ・・・」
カグツチ「黙れええええええええッ!」
カグツチ「俺は負けぬ! 俺は強い! 俺は自由だ!」
〇太子妃の御殿
カグツチ「ギャハハハ!燃えろ燃えろ!」
カグツチ「見たか!俺を葬った神々よ!」
カグツチ「見たか!俺を忘れ去った人間どもよ!」
カグツチ「これが俺の力だああああッ!」
ドキ「に、逃げろ!ミコ!」
シバ「おっと、そう言わずに見ていきなよ」
シバ「なんだったら、ほい」
ミコ「・・・!」
ミコ「・・・」
エビス「・・・!」
ミコ「・・・」
エビス「・・・」
ドキ「ミ、ミコ・・・ミコ!」
ドキ「シバ。おのれは・・・」
ドキ「おのれはあああああッ!」
シバ「どうせもう長生き出来ないって。 だったらこのまま 焼き殺されるよりはマシでしょ」
シバ「ボクなりの気遣いなんだけどな~」
シバ「さてと。 怒りという名の小さな力、 後学の為に味わってみたら如何かしら?」
シバ「エビス様・・・いや」
シバ「光の神、ヒルコ様」
エビス「・・・」
エビス「・・・ミコ」
〇黒
エビス「・・・」
〇白
ヒルコ「ミコ・・・ミコ・・・」
ヒルコ「グアアアアアアーーーーーッ!」
つづく
毒親・虐待・捨て子などは、神代の時代からあったのですね😅
怒りの炎が燃え上がって
画面も迫力があって面白いです!!