無用の時(7)(脚本)
〇古民家の居間
ヒロポンのお爺ちゃん「ヒロシや」
ヒロポンのお爺ちゃん「これは、 お爺ちゃんが生まれた朝にやってきた時計だよ」
ヒロポンのお爺ちゃん「これをお前にあげよう」
まだ可愛かったころのヒロポン「どうして?大事なものなんでしょ?」
ヒロポンのお爺ちゃん「おじいちゃんはいつかいなくなる」
ヒロポンのお爺ちゃん「だがヒロシが大切に扱ってくれれば 時計はいつまでも生き続けられる」
ヒロポンのお爺ちゃん「大事なものだからこそ、 未来を生きるお前に渡したいんだ」
ヒロポンのお爺ちゃん「お爺ちゃんの想いを引き継いでくれるかい?」
まだ可愛かったころのヒロポン「うん!いつまでも大事にするよ!」
〇女の子の部屋(グッズ無し)
ハルコ「あっそ」
ハルコ「じゃあその聞き分けのいい新しい彼女と 田舎に帰ればいいじゃん」
ヒロポン「僕だって本当は 君と一緒に未来を紡ぎたかったんだ」
ハルコ「飾り立てた台詞ばっか言わないで! 気持ち悪いのよ!」
ハルコ「まあ、もう聞くこともないって思うと 清々するけどね」
ハルコ「そうそう。 あの時計も持って帰ってよね」
ハルコ「チクタクチクタクうるさいの」
ヒロポン「それが・・・」
ハルコ「ヤオヨロズのデジタル時計じゃん」
ハルコ「餞別のつもり?」
ヒロポン「いや、結婚する彼女も君と一緒で 新しいもの好きで」
ヒロポン「こっちのほうがコンパクトだし静かだし」
ハルコ「はあ?あんたまさか・・・」
ヒロポン「とにかくあの時計、 いらないなら捨てちゃって構わないから 処分よろしくね」
ヒロポン「それじゃあ元気で」
ハルコ「ちょ、ちょっと!」
ハルコ「・・・」
ハルコ「アンタも私と一緒か」
〇女の子の部屋(グッズ無し)
時代の先端を行く系ボーイ「あ~もう。うっせーな」
ハルコ「そう?」
時代の先端を行く系ボーイ「新しいの買おうぜ。 ヤオヨロズのデジタルのヤツ」
ハルコ「まだ使えるよ。 大事に扱えば一生モノみたいだし」
時代の先端を行く系ボーイ「この部屋に・・・ いや、 お前に似合わないって言ってんだよ」
ハルコ「そ、そうかな?」
時代の先端を行く系ボーイ「俺達は時代の先端を行くんだろ? とっとと捨てちまおうぜ」
時代の先端を行く系ボーイ「過去なんてさ」
ハルコ「う、うん・・・」
時代の先端を行く系ガール「そうだね」
『貪狼』
『巨門』『禄存』
〇女の子の部屋(グッズ無し)
『文曲』『廉貞』
『武曲』『破軍』
九十九「目低帝 屠蘇吒 阿若蜜吒 烏都吒 具耆吒 波頼帝吒 耶彌若吒 烏都吒 拘羅帝吒 耆摩吒」
九十九「莎呵!」
〇おしゃれな食堂
禍異物・刻「ガ・・・ガガ・・・ガ・・・」
禍異物・刻「ガ・・・ッ」
九十九「除霊、完了」
ハルコ「・・・」
九十九「さてと。この時計、どうします?」
九十九「直せばまた使えると思うけど」
九十九「もっとも、 なかなかの骨董品のようなので それなりの修理費はかかるだろうがね」
ハルコ「・・・」
ハルコ「いりません」
九十九「そういうと思った」
九十九「見たところ君、 時代の先端を行く系ガールみたいだし」
時代の先端を行く系ガール「何ソレ?」
時代の先端を行く系ガール「それじゃあ。サンキューでした~」
九十九「・・・」
〇可愛い結婚式場
九十九「おいおいおいおいおい!」
九十九「僕はね、 今日かなり頑張った方だと思うんだよね」
九十九「このまま直帰させようという 心配りはないのかね?」
九十九「さあ後は我々に任せて 九十九先生はお休み下さい!」
九十九「そういう心づかいはないのかね?」
菅原「先輩、何を言ってるんですか?この人」
藤原「ゆとり過ぎて怖いよ、俺」
和泉「まだお昼です。九十九先生」
和泉「これから書類整理だの訓練だの行いつつ 次の出動に備えるのが我らの仕事です」
九十九「な、何いいいッ!」
九十九「フルタイムで働かされた挙句、 プライベートタイムも 緊急出動とやらで駆り出される」
九十九「な、なんという地獄だ」
和泉「約束された終身雇用。 完璧な福利厚生。 その上高給と来てるんです」
和泉「学のない田舎者には、 むしろ天国といっていい職場ですよ」
九十九「一緒にしないでくれたまえ! 僕はエリートなんだよ!」
和泉「文句なら、 対魔部の部長さんに言って下さい。 確か土御門さんでしたっけ?」
九十九「嫌いなんだよアイツ。デブだし」
和泉「デブ関係ないでしょう」
杜屋副隊長「和泉!何をボサッとしておるか!」
杜屋副隊長「総員、撤収!」
和泉「チッ、うるせーな。ハゲ」
九十九「ハゲ関係ないだろ」
「・・・」
「フン!」
和泉「あ、あとそれ。何ですか?」
和泉「署内にわけのわかんないガラクタ 持ち込まないで下さいよね」
九十九「・・・」
九十九「稼ぐか・・・修理代」
〇埋立地
K「ふるべゆらゆらとふるべ」
K「ふるべゆらゆらとふるべ」
K「楽力(らくりき)召来! 急急如律令!」
Catherine「・・・」
K「おっはよ~♪ カトリーヌちゅわん♪」
K「あらん?」
Catherine「行かないと・・・」
Catherine「あの娘のところに・・・」
Catherine「帰らないと・・・」
Catherine「私の家に・・・」
K「・・・」
K「ガンバ!」
つづく。