99クレージー

山本律磨

無用の時(6)(脚本)

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〇開けた景色の屋上
和泉「いざ、尋常に!」
和泉「ちぇすとおおおおおお!」
S「ぬるい!」
和泉「・・・クッ」
S「ハハッ・・・ その程度の膂力で警備部配属とは、 つくづくヤオヨロズも見る目がない」
和泉「好きでやってるんじゃない!」
和泉「組織の意向は絶対なんだよ! お前達その日暮らしのチンピラには 理解できないだろうけどな!」
S「思想家と呼んでくれよ」
和泉「何だと?」
S「終身雇用という怠惰に溺れて 社会の歯車に甘んじるお前達に、 愚痴をこぼす権利などない」
S「不満があるならば、 その武器は別のところに 振り下ろすべきじゃないのか?」
S「こんな風にな!」
和泉「うわっ!」
S「遅い!」
S「ちぇすと!」
和泉「・・・!?」
和泉「・・・クッ!」
S「うろたえるなよ。 労災も下りない程度の かすり傷じゃないか」
S「一応、殺しはしないよう 気を付けているつもりだ。 思想家の基本理念は対話だからな」
和泉「化け物を作り出して 破壊活動を続ける輩が何をほざく」
S「破壊活動もまた魁にすぎない。 全ては我ら白鬼夜行盟主 『亡空』の意思」
和泉「ナキガラ? それがお前達の首領の名か?」
  『無駄口が多いよ。S』
A「付け焼刃の教養をひけらかすのは、 覚えたての言葉を使いたがる 子供と一緒だ」
A「僕としては、 これ以上品位を落とす幹部を 増やしたくないんだがね」
S「すまない。猛省する」
和泉「仲間か・・・」
A「しかしヒドイ天気だな~ 君、雨男にもほどがあるだろ」
A「今後、戦いの度にこんな調子じゃ 困るんだけどな~」
和泉「すまん。努力する」
S「努力で直るものなのか?」
和泉「むんがあっ!」

〇開けた景色の屋上
A「あ、ちょっと晴れた」
S「これはこれで凄い能力だな」
A「君、就職先間違えてない?」
和泉「九州の片田舎。 貧乏子沢山の倅の人生ってのは、 早く集団就職して 仕送りを送るしかないんだよ」
和泉「東京の、金持ちのインテリさんたちと 一緒にしてくれるな!」
A「だってさ」
S「・・・」
A「さてと。 晴れちゃって冷めちゃったところで、 そろそろ退散するか」
A「これ以上騒ぎが大きくなって 増援でも来られちゃ敵わないし」
S「禍異物は・・・」
A「はあ?」
S「俺が作り出した同志を見捨てる気か?」
A「同志?」
A「道具じゃなくて?」
S「同志だ!」
S「アイツらだって、 このニッポンから用済みにされた 仲間じゃないのか?」
A「・・・ふふ。いいね」
A「実にいい感じで壊れている。 流石、亡空のお気に入りだ」
S「俺は正気だ。 狂ってるのはこの国の連中。 そしてヤオヨロズだ!」
A「とにかく退くよ。 仲間には、 組織の大願成就のために散ってもらう。 それもまた盟主のご意思」
A「新たな時代の人身御供となるのは、 君も僕も同じ。 それが早いか遅いか。違うかい?」
S「・・・分かった」
和泉「ま、待て!」
A「素直に逃がした方がいいよ。 そうすれば、 下で暴れてる禍異物達の力も弱まる」
A「それとも二対一でやり合うかい?」
A「言っておくが僕達、 相当気合い入ってるよ」
和泉「・・・」
A「それではまた次回」
S「お前も目を覚ませ・・・ 本当のゴミになっちまう前にな」
和泉「・・・本当のゴミ?」
  『隊長!禍異物の力が弱まりました!』
  『良し!疾く祓い清めよ!』
和泉「本当の・・・ゴミ・・・」

〇可愛い結婚式場
禍異物「ゴパァーーーーーーッ!」

〇おしゃれな食堂
禍異物・刻「・・・グウゥッ!」
九十九「呪術師から送られていた妖力が消え、 自壊が始まったようだな」
九十九「禍異物なんぞに変えられなければ」
九十九「もっと大事に扱ってもらえれば、 あと100年は生きられただろうに」
禍異物・刻「グガガ・・・グガガ・・・」
ハルコ「・・・」
九十九「せめて成仏させてやろう。 この天才陰陽師九十九昭大先生がね」
九十九「全く、因果な仕事だよ」
  つづく。

次のエピソード:無用の時(7)

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