99クレージー

山本律磨

無用の時(5)(脚本)

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〇おしゃれな食堂
禍異物・刻「トキヲ・・・トメル・・・」
禍異物・刻「・・・」
禍異物・刻「チガウ」
禍異物・刻「トキヲ・・・モドス・・・」
禍異物・刻「アノ、トキ、二、モドス・・・」
時代の先端を行く系ガール「ひいっ・・・」
時代の先端を行く系ガール「近づかないで・・・」
禍異物・刻「ハルコ・・・」
ハルコ「え?」
ハルコ「何で私の名前、知ってるの?」
禍異物・刻「ハルコ・・・パー子・・・」
ハルコ「その呼び方・・・」
ハルコ「あんた・・・ヒロシ?」
ハルコ「ヒロポンなの?」
九十九「アベック二人して なんちゅうあだ名を付け合っとるんだ」
九十九「少しはコンプライアンスとか考えたまえ」
九十九「そもそも これは禍異物(マガイモノ)だ。 君のかつての恋人ではない」
ハルコ「誰?」
九十九「なんで知ってるの?ってかい?」
九十九「分かるんだよね。 僕くらいの対魔師になると。 ひと言ふた言のヒントで 『呪い』のバックボーンってヤツが」
ハルコ「対魔士?ヤオヨロズの?」
九十九「消費者の皆様には、 いつもお世話になっております」
九十九「禍異物どもの大暴れをかいくぐりここまで助けにやって参りましたヤオヨロズ対魔部九十九昭と申しますちなみにエリートです」
ハルコ「今、名刺とかいいから」
九十九「その化け物は、 恐らくヒロポン君なるお人からの プレゼントに魔力が宿ったもの。 ・・・でしょうな」
九十九「いや、むしろ怨念といっていいかも」
九十九「心当たりはないかい? そこの禍異物がブツクサ言ってる 『トキ』という鳴き声に」
禍異物・刻「トキヲトメル。トキヲモドス」
ハルコ「・・・!」

〇女の子の部屋(グッズ無し)
ハルコ「なにこれ?」
ヒロポン「え?知らないの? これは時計といって時間を計測する」
ハルコ「知っとるわ!」
ハルコ「どうして私への誕生日プレゼントが そんなダサい時計なのって聞いてるの」
ヒロポン「これはね。 僕のお爺ちゃんの形見なんだ」
ヒロポン「100年休まずにチクタク動いてる 小さな古時計さ」
ヒロポン「大事に使えばこれからも、 ずっと動き続ける立派な古時計さ」
ヒロポン「つまりは一生物の古時計・・・」
ハルコ「古い物を女子に送るんじゃない!」
ハルコ「大体女の子に身内の形見を渡すな! おっかないのよ!」
ヒロポン「これからはパー子も身内でしょ」
ハルコ「え?」
ハルコ「そりゃまあ、 今後そういう方向に行くとは思うけど」
ヒロポン「だったらお得じゃない。 この時計、ずっと使い続けられるんだから」
ヒロポン「これからずっと、 僕達といっしょに僕達の時間を刻み続けるんだ」
ハルコ「台詞がいちいち顔に似合わないのよ」
ハルコ「ま、ありがたく頂いとくわ。 ただ私と結婚するなら これだけは覚えといて」
ハルコ「私は新しいものが好きなの」
ヒロポン「うん。知ってるよ」
ハルコ「新しい服。 新しい靴。 新しい香水。 新しい口紅。 新しいアクセサリー」
ハルコ「私は新しいニッポンの 新しい女として生きたいの!」
ヒロポン「カッ~コ~いい!」
ハルコ「もう、本当に分かってるの?」
ヒロポン「うん。大好きだよ。パー子」
ハルコ「もう・・・デブ」
ヒロポン「そこは『バカ』でしょ」
ハルコ「さてと。どこに飾ろうかな~」
ヒロポン「あ、わりと気に入ってる?」
ハルコ「まあね~」
ハルコ「この窓側の壁とかいいかも~。 どう思う?」
ヒロポン「君の選ぶところならどこでも最高さ」
ハルコ「もう・・・ブタ」
ヒロポン「だららそこは『バカ』でしょ」
ハルコ「~♪」
ヒロポン「~♪」

〇おしゃれな食堂
禍異物・刻「ドウシテ」
禍異物・刻「ドウシテワカレルノ?」
禍異物・刻「イッショニ、 トキヲキザムンジャナイノ?」
禍異物・刻「イッショニ、 ミライヲツグムンジャナイノ?」
禍異物・刻「・・・パー子」
ハルコ「顔に似合わないことばっかり」
ハルコ「言ったじゃん。 私はこの東京で 新しい時代の新しい女に生まれ変わるんだって」
ハルコ「ヒロポンと一緒に田舎に帰るなんて、 イヤばい!」
九十九(博多っ子だったか)
「ヤマカサガアルケンハカタタイ!」
九十九(何の呪文だ?)
ハルコ「だ、大体ヒロポンはもう、 田舎に帰って 別の人と結婚してるって聞いたわ」
九十九「ゆえに」
九十九「この禍異物は『人』の怨念ではない」
九十九「モノの怨念」
九十九「しかも丁級丙級は、 古の付喪神のように 自然発生的に生まれた怪異ではなく」
九十九「呪術者により作られた、 いわば『人造妖怪』」
九十九「僕はそれを 禍異物(マガイモノ)と呼んでいる」
ハルコ「意味わかんない」
九十九「ま、一般の方は理解しなくてよろしい」
九十九「一般(アマチュア)の方ですから♪」
ハルコ「プロアピールウザいのよ!」
ハルコ「そんなに玄人自慢したいんなら、 きちんとアフターフォローしてよね!」
九十九「やれやれ。 その時計うちの製品じゃないんだけどね~」
禍異物・刻「トキヲトメル。トキヲモドス」
禍異物・刻「トキヲトメル。トキヲモドス」
禍異物・刻「ジグダグジグダグジィグダーーグ!」
ハルコ「いやあああっ! 放して! 放してよ化け物!」
禍異物・刻「トキヲモドストキヲモドス! トキヲモドストキヲモドス!」
九十九「ふむ・・・」
九十九「そろそろ時間だな」
ハルコ「え?」
禍異物・刻「・・・グガッ?」
九十九「いいタイミングじゃないか。 空気読むね~」
九十九「今だ! 奴の力が抜けたぞ! 走れ博多お多福!」
ハルコ「博多美人!」
九十九「うむ、結構。 ではこれより除霊を始める」
九十九「そろそろ主人公っぽい部分、 見せちゃおうかな~」
九十九「と、その前に。 画面の向こうの皆さんには、 時計怪物に何が起こったかをご覧頂こう」
九十九「ジュラク屋上の和泉さ~ん!」

〇開けた景色の屋上
  10分前、ジュラクレストラン屋上
S「くそ、忌々しい。 さっきまで晴れてたのに」
  『それは俺がニッポンいちの雨男だからだ』
S「ああ?」
和泉「ヤオヨロズ警備違士だ! ゴミを撒き散らす呪術師を捕縛する!」
和泉「神妙に縛に就き獄を抱けい!」
S「フッ、お前が来たか。 道理で・・・」
和泉「なに?何と言った?」
S「いや・ 浮かれた頭を冷やすには 丁度いい雨だと思ってな」
S「さあ来い対魔士。 俺の名は『S』」
和泉「エス?」
S「結社、白鬼夜行(びゃっきやこう) コードネームS」
S「ヤオヨロズの暴走を止める者だ!」
和泉「・・・クッ。テロリストめ」
  つづく。

次のエピソード:無用の時(6)

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