アニメと現実 あいside(1)(脚本)
〇女の子の一人部屋
平 あい「はぁ。推しに会いたいな」
私は平あいだ。
私は「僕らの日常は青く染まる」というアニメの主人公、露崎令(つゆざきりょう)が好きだ。
平 あい「相談してみよーっと」
私は掲示板を開いた。
こんにちは。私は本気で2次元に行きたいです。2次元に行く方法を教えてください。
ないよ
自分で考えろ
平 あい「そうだよね」
数日後──
これやって
別の人から回答が届き、言葉と共にリンクが貼られていた。
私はおそるおそる入ってみた。
平 あい「もしかしたら推しと私、入れ替わりできるんじゃない・・・・・・?」
私はクリックしてみた。
平 あい「決定っと」
平 あい「え、何で分かるの?!」
さらに下へスクロールすると
令くんのまであった。
平 あい「怖。だけど・・・・・・やるしかない!」
私はまた決定ボタンを押した。
私は“はい”を押した。
これで完了かと思ったらまだ続いていた。
相当危険なんだろう。
平 あい「どうなるのかな?」
だけど私はノリで決定ボタンをを押してしまった。
〇男の子の一人部屋
翌朝──
目を開けると知らない部屋にいた。
(あ、この部屋は・・・・・・)
その部屋はアニメで観たことがあった。
私の推し、令くんの部屋だった。
(てことは──)
手持ち鏡を見ると、そこには令くんの顔が映っていた。
露崎 令「あー。あー」
試しに声を出してみた。
それは私の声では無く、令くんの声だった。
露崎 令「ええーっ⁈」
「令ー?」
令くんの母親の声がする。
露崎 令「何?」
「ご飯ー」
露崎 令「あ、はーい」
〇ダイニング
露崎 美穂「おかわりは?」
令くんはおかわりするのだろうか。
だけど私はお腹がいっぱいだった。
露崎 令「いや、大丈夫」
私は普通に断った。
だけど母親は不思議そうにこちらを見る。
露崎 令「え?どうかした?」
露崎 美穂「うんん。何でもない」
〇シックな玄関
露崎 令「いってきます」
私は元気よく扉を開けた。
〇教室
藤田 早紀「令くんおはよ!」
露崎 令「おはよう」
この子、よくアニメに出てきたなー。
と思いながら会話をした。
休み時間──
露崎 令「あー眠」
私は腕を伸ばしながら呟いた。
すると、朝の時に会話した人が話しかけてきた。
藤田 早紀「珍しいね」
露崎 令「そう?」
藤田 早紀「だってあまりそんなこと言わないじゃん」
露崎 令「そうだっけ?」
藤田 早紀「ってかさ、いつも何時ぐらいに寝るの?」
露崎 令「んー。“私”は10時ぐらいかな」
藤田 早紀「え、私⁈」
あ、癖で言ってしまった。
これじゃ入れ替わったのがバレてしまう。
露崎 令「えっと、その、最近、作文書いてるからつい、言っちゃって・・・・・・」
藤田 早紀「そういうことか!」
取り敢えず分かってくれたからいいとしよう。
いつかバレる日が来るのだろうか。
いつか戻れる日が来るのだろうか。
私は不安になった。