Xヒーロー

語り部

第66話 幻惑の弾丸(脚本)

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〇オフィスのフロア
  2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード 商業組合ビル最上階フロア
州兵「霧がかかってる···どうしますか?」
州兵「等間隔にフレア(照明弾)を撃て。フレッドとクリスが先導、三人をエレベーター前に残し皆で前進」
  州兵は指示通り等間隔に照明弾を撃ちながら、固まって前進する。
  しかし進めば進むほど霧は深くなり、オフィスの入口に入った頃には『数十cm先が見えない程』の霧が掛かっていた
州兵「『現実測定器』で測れ。数値次第ではここを『爆撃』する」
  すると州兵が一斉に手や首を抑え、全員が周囲に銃口を向ける。
州兵「警戒しろ!敵はどこからくるかわからんぞ!フレッド、現実抵抗値はいくつだ!?」
州兵「現実抵抗値『10』です!」
州兵「エレベーターまで後退!ホットゾーン(危険地帯)を抜けたら空爆要請を行う!」
  州兵達が陣形を維持しながら後退するが、出入口のドアが『消失』していることに気づく。焦る様子が見える中
  前方に1人の兵士が見えた。全員が銃口を向けるも、そこにいたのは···
名も無き幽霊「痛ぇ···痛ぇよぉー···体が···体がねぇんだよー」
州兵「な···なんだこいつ!体が···体の右半分が『無ぇぞ』!?」
州兵「狼狽えるな!変化武器の異能力で幻覚を見ているだけだ!」
  徐々に乱れる統率の中、州兵達が見る『幽霊』は数を増す一方であった。そんな中州兵が発砲するも当然弾はすり抜ける
  そんな姿を見た州兵達は一層混乱し、恐怖の表情を見せ出入口のドアを蹴り始める
州兵「落ち着け!全員落ち着くんだ!変化武器め···」
州兵「た、隊長···あ···あれ!」
  兵士が指を指すと、そこに居たのは顔の穴という穴から血が吹き出ている『ゲライント』であった
ゲライント「痛い···頭が割れるわ···あぁ···『脳でも食べれば治るかしら?』」
州兵「変化武器だ!全員撃ち殺せ!」
  州兵達が一斉にゲライントに発砲するも、ゲライントは銃撃に一切怯まずゆっくり州兵に近づいてきた
州兵「こいつ···銃が効かないのか!?」
州兵「き、きっともう『死んでる』からですよ!だから一斉掃射してもピンピンしてるんだ!」
名も無き幽霊「組合長···そいつら俺達を殺した奴らでしょうか?」
ゲライント「間違いないわ···みんなぁー?仕返ししてあげましょうー?」
  すると『影のような物』が急激増え、全員がゆっくり州兵達に近づく。州兵達は完全に戦意を失い
  1つしかない出入口のドアを乱暴に叩き『助けてくれ!』と大声で連呼し続けた
  隊長はそんな部下を見ながら射撃をしているとゲライントに押し倒される
ゲライント「可愛い顔···♡安心して?耳の穴に舌を入れて脳を優しく舐めてあげるから♡」
  そう言うとゲライントは口を開いて舌を伸ばす。しかしその舌の長さはアリクイと同じレベルの長さで明らかに『異質』であった
  やっと開いた扉に州兵達は我先にと逃げ出し、隊長もゲライントを突き飛ばしエレベーターまで逃げ帰る
  必死の思いでエレベーターに乗り、州兵達が見た光景は
  異様な長さの舌をムチのようにしならせながら、恍惚の表情を浮かべゆっくり近づくゲライントと黒い影の幽霊達であった

〇エレベーターの中
  ロックフォード商業組合ビル エレベーター内
州兵「あんなの···あんなの聞いてない!あそこで死んだ奴らが恨みを持って蘇ったんだ!」
州兵「··· ··· ···司令室、こちらアルファチーム。『死体を確認した』これより帰投する」
  事実と異なる報告に皆が隊長を見つめる中、隊長はその場に座り込み身を震わせた
州兵「現実抵抗値は10だった。あれは『現実に起こる非現実的現象』にあたる数値だ···」
州兵「身近なもので言えば『宝くじ』だ。あれの1等が当たる事柄に相当する···非現実的だが『不可能な事象』ではない」
州兵「つまり···あそこには『強い異能力』がなかったってことになる。幽霊って存在の観測は現実抵抗値『10』に相当する」
州兵「つ···つまり俺達が見たものって···」
州兵「『本物の幽霊』だろう。こんなの···俺達の仕事じゃないってのに···」
  州兵達はそれぞれが恐怖に身を震わせながら、以降言葉を発する事はなかった

〇オフィスのフロア
  ロックフォード商業組合ビル 最上階オフィス
ゲライント「おしおき成功ね。これでしばらくは来ないわね···よいしょっと···」
  そう言ってゲライントは舌を引っこ抜く。長い舌はエンチャントの魔術によって『革のベルト』に姿を変化させた
名も無き幽霊「恐怖心を煽れば正常な判断はできなくなる。古来より万国共通で使われる作戦だが、それを直ぐに実行できるとは流石だ」
ゲライント「ありがとフェーちゃん♪それよりこの黒い影どうやって出してるの···?」
  フェードは自分に覆いかぶさっていた黒い布を取り除き、話し始めた
フェード「よいしょっと···それは『マネキン』だ。ゲート・ディメンションで下の階に行って、発砲スチロールを持ってきて」
フェード「エンチャントがマネキンに作り替えた。動かしたのは鸞で『分身の術』で一体一体動かしてたから」
フェード「リアルに見えただろうな」
鸞「今戻った。ゲライント···銃撃は大丈夫か?かなり受けていたが···」
ゲライント「心配してくれてるの?ふふっ···でも大丈夫よ。その瞬間だけ『幻惑の能力』を使って避けてるわ」
鸞「なるほど···避けてる素振りが無いから心配していたが、そういう原理だったか」
  ゲライントは鸞達に『ありがとう』と言い、鸞とフェードを抱き寄せる
  ゲライントはそこから言葉は発しなかったが、その抱擁には何か『暖かなもの』を鸞とフェードが感じていた
  そして鸞は『次はどうする?』と聞くとゲライントは2人を離し、『斎王クン達を探すわよ、3人も協力して』と言い
  4人は斎王達を探すことになった。
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第67話 不落の城

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