Xヒーロー

語り部

第67話 不落の城(脚本)

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〇秘密基地のモニタールーム
  2021年 イリノイ州 ウィネベーゴ郡 ロックフォード 商業組合ビル最上階フロア
  鸞達が州兵達を追い払ってる数時間前
凪園無頼「ちっ···!斎王っ!キング戻ってくるとかマジなの!?信じらんねーんだけど!!」
斎王幽羅「絶対に戻ってくる!俺は···キングを信じている!だから凪園もキングを信じてくれ!!」
  激しい戦いの中、凪園と斎王はアナザーとの攻防が繰り広げられていた
  斎王と凪園は『無銘の盾』を呼ぶ。しかし盾は答えない。
  アナザーが隙を見て盾を破壊しようとするも、凪園と斎王がそれを阻止。そして事は起こる
凪園無頼「がぁぁぁ···!この音···!」
ピーター・オルセン「動くな!それ以上動けばガキ共を殺す!」
  指鳴りによって発生した強力な音波、男はそれを縛っている数十名の子供たちに発生させようと指を向ける
  斎王が阻止しようと空気と一体化を始めようとした時、男は容赦なく指を鳴らし子供たちの近くにある機材を破壊して見せた
ピーター・オルセン「斎王幽羅···!空気と一体化してみろ?次はこのガキ共を殺す···!」
  その言葉を聞き斎王は硬直した。するとある子供が男の前に立ちはだかる
アレックス「や···やってみろ!アナザー?っていうのを作るのに僕達が必要なんだろ?ここで減らしたら···どうなるかな!」
  アレックスは震える体を、震える声を、必死に抑えながら男に言葉を放つ
  男はそんなアレックスを見て逆上し、指を鳴らそうとした瞬間体は止まる
  男が斎王を見ると、斎王の両腕は空気と一体化しており
  ここで男の能力を封じたかのように思えた。
ピーター・オルセン「音波を操る能力は『指からのみ』だと思ってるな!?音さえだせれば」
ピーター・オルセン「『体のどこからでも』出せんだよ!エコー・ノイズ!!」
  発せられた音波はアレックスを襲う。斎王の一体化は間に合わず、凪園もアナザーに行動を阻止された
  だが男の目の前にあったのはアレックスの死体ではなく
  『盾を持った男』であった
斎王幽羅「遅かったね···おかえり、キング」
キング「おう、今戻ったぞ斎王」
  皆が驚愕している中、キングはアレックスの頭に手を乗せ『よくやった、すごいぞボウズ』と撫でながら褒める
  アレックスはその場で腰を抜かし、涙を流す。そんな中アナザー達が『錆発生剤入りの水鉄砲』をキングに構える
斎王幽羅「キング···どうする?あれ浴びたらまた錆びるよ?」
  キングの隣に立った斎王はキングに問いかける。しかしキングはその問いには答えず『一つの杯』を掲げる
キング「欲望よ集え。いざこの黄金の聖杯を持って『罪を図ろう』」
  するとアナザー達はなぜか『金の杯』に錆発生剤を撃ち、撃ったアナザー達は瞬時に発火する
斎王幽羅「皆見ないで!目を閉じてて!」
ピーター・オルセン「ヴラド三世の『金の杯』···!?それの再現か!!?」
  今から数世紀前、ワラキア公国という現ルーマニアでは疫病や治安の維持の為に広場に黄金の杯を置き
  それを盗んだ者を問答無用で焼き殺し、治安の維持を図ったとされている
斎王幽羅「そんなこと出来るようになったの!?すごいね、キング!」
ピーター・オルセン「アナザー!目標変更、まずはその黒髪の男を殺害しろ!」
  アナザー達は一斉に凪園に体を向け攻撃を加えようと襲いかかるも、キングは盾を投げ
  自身の体消し、投げられた盾から『体を出現』させアナザー達の攻撃を防ぐ。
キング「斎王!アレックス達を解放してやってくれ!」
キング「俺と凪園でアナザー共を食い止める!」
  それを聞いた斎王は自身の姿を消し、空気と完全に一体化。男の体を操り子供達の拘束を解くと
  洞窟の出入り口を指差し、逃げるよう促した
キング「アレックス!皆を誘導してくれ・・・お前しかいない!」
アレックス「わ・・・わかった!皆、こっち!頭を低くして!」
  アレックス達はアナザー達とキング、凪園の戦闘を掻い潜りながら扉まで向かう。
  しかし、扉の先には数体のアナザーがおり万事休すかと思われたが
キング「いかなる時も相手に敬意を。『fii mereu politicos(常に礼儀正しく)』」
  キングはその場で足を止め、アナザー達に一礼をする。礼を向けられたアナザー達は意に返さず一歩歩みだした瞬間
  皆見ないで!うわぁ~・・・これは・・・
  礼を向けられたアナザー達は瞬時に出現槍に貫かれ、その場で倒れこむ。子供達は斎王の警告を聞き入れ、アナザー達から
  目をそらしながら、洞窟の奥へ走り抜けていった
斎王幽羅「子供たちの避難はできたね・・・で?どうする?」
凪園無頼「アナザー硬ぇけど後7体っしょ?あの金髪も含めて皆殺しでよくね?」
斎王幽羅「俺はキャプテンや変化武器達を埋葬してあげたい。だから・・・『逃げたい』けど、キングはどう?」
キング「逃げるのは賛成だ。だが・・・どうせなら『ゆったり』逃げようや」
  そう言うとキングは口から『紅い煙』を吐きながら二人の前に立つ
キング「我が道はかの敵に荒らされ、我が庭はかの敵に汚され、我が城門はかの敵に脅かされた」
キング「それでも尚落ちぬ、我が城は未だ不落ッ!幾百の暁を迎え尚我が城は不滅なりッ!」
キング「いざ顕現せよ、真紅の領土!『castel îmbibat de sânge!(血濡れの魔城)』」
  キング盾はその場で形を変容させ、やがて一つの『城壁』をその場に作りだした
  アナザー達はその城壁を破壊しようと攻撃するも、攻撃する度城壁から『紅い煙』が噴出し
  やがてその場は紅い煙に覆われる中、その煙の中からラッパの音が鳴り響き
  アナザー達が周囲を警戒していると、一体のアナザーが『何か』に刺されその場に倒れる
  男が振り返り指鳴らしをしようち指を向けると、男は固まってしまった
ワラキアの兵士「やった···やったぞ!俺が手柄を立てました、陛下!」
ピーター・オルセン「なんだあれは···『人の形をした煙』がアナザーを殺したのか···?」
  すると声が聞こえた。声の居所は掴めないがその声は『羨んでいた』
  ずるいぞ!俺も手柄を立てて陛下に税を軽くして欲しいんだぞ!
  私だって陛下に税を軽くして欲しいわよ!
  ええい、黙れ!ここは貴族である俺に譲れ平民共!
ワラキアの兵士「手柄は早い者勝ちだ!男も女も、貴族も平民も関係ない!」
ワラキアの兵士「悔しかったらもっと素早く動くんだな!」
ピーター・オルセン「トゥルゴビシュテの夜襲···ワラキアの夜···!ふざけるな···こんなところで死んでたまるか!」
  男は完全に恐怖心に心を支配され、隠し通路の扉を開けようとする。
  だが煙にそれを阻止され、男はその場に倒されると煙達に囲まれる
ピーター・オルセン「アナザー!俺を助けろ!せっかく『浮力を操る能力』を抽出したのに、こんな所で死んでたまるか!」
ワラキアの兵士「お、その瓶もついでに奪えば陛下に喜んでもらえるかもな!」
ワラキアの兵士「お前はこいつを殺せ、その瓶はワラキア公軍が預かる。いいかお前達!戦利品にかまけるな、ゲリラ兵は『殺害』だけを考えろ!」
ピーター・オルセン「ふざけるな···俺はWoOSの研究員だぞ!お前らみたいなのとは違うんだよ···!」
ピーター・オルセン「デス・シャウト!」
  次々に奇襲攻撃を受け倒れるアナザーは減る中、男は大きく息を吸い
  ロックバンドのシャウトのような声を発し煙をかき消すと、隠し通路を素早く開けその場から脱出した

〇暗い洞窟
  隠し通路内部
ピーター・オルセン「クソっ···クソ···!なんで白人である俺がこんな目に!」
ピーター・オルセン「元はと言えばWoOSのトップが『日本人』になったのが原因だ!あいつが来てから俺たち白人の立つ瀬が無くなったんだ!」
ピーター・オルセン「クソクソクソ···!映像記録はどこまで撮れてるかわからんが『死んだはずの変化武器』が蘇生した事実は伝えねば···!」
  男は暗い洞窟を這いながら、携帯を取り電話にでる
ピーター・オルセン「ダニエル、何の用だ?ゲライントの死体を作ってきたか?」
  悪い、失敗した。斎王一派にやられた···州兵も送り付けたがあの様子だと恐らく返り討ちにあっただろうな···
  そっちはどうだ?
ピーター・オルセン「斎王一派にやられたよ···斎王幽羅の奴『潜り込む能力』じゃないし変化武器を錆だらけにしたのに『蘇ったきた』」
ピーター・オルセン「幸い浮力を操る能力のストックを『10個』確保したが、量産型アナザーを30体失った」
ピーター・オルセン「しかも製造用の『子供』の誘拐も失敗した。ロックフォードじゃもう仕事はできない、拠点を移さねばならん」
  ちっ···マズイな···俺達『代表』に消されるかもな···
ピーター・オルセン「そうならないように祈ろうぜ?じゃあな」
  To Be Continued··· ··· ···

次のエピソード:第68話 別れの意味

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