4 押し掛け(脚本)
〇アパートの台所
宮下裕二「あぁ・・・う・・・今日が休みで良かったが、流石に飲み過ぎた・・・」
宮下裕二「てか、良く俺戻って来れたな・・・」
宮下裕二「ん?この音、俺の部屋から?」
白川美穂「あ、お早うございます宮下さん・・・もう少しで朝ご飯できますから・・・」
宮下裕二「あ、うん、待ってる・・・って・・・」
宮下裕二「え?何で白川さんがここに!?まだ酔ってるの!?」
白川美穂「夢じゃ無いです・・・先ず私が料理やってるの見えますよね?」
宮下裕二「え?マジでどうなってるの?」
白川美穂「覚えて無いんですか?昨日・・・」
〇アパートの玄関前
昨日。
白川美穂「う〜ん、取り合えず部長さんから宮下さんの住所聞いて見たけど、宮下さん帰って無いなぁ・・・」
白川美穂「本当は良く無い事だけど・・・」
白川美穂「あ、もしかして宮下さん・・・って・・・」
宮下裕二「かぁ!やっぱビール美味ぇ!まだまだ飲み足りねぇ!」
白川美穂「え?宮下さん?何か凄く顔が赤いと言うか・・・」
宮下裕二「もう仕事なんて酒の為にやってるって言うか何と言うか・・・」
白川美穂「ちょっとちょっと!宮下さん!?」
宮下裕二「あん?どちら様で?」
白川美穂「いやいや!あの、大丈夫ですか!?凄くフラフラしてるんですけど!」
宮下裕二「なぁに!まだまだ行け・・・る・・・よ・・・」
白川美穂「え?ちょま!宮下さん!?宮下さんってばぁ!!」
〇アパートの台所
宮下裕二「えぇ!?俺そんなに酷かったの!?」
白川美穂「えぇ、もう見るに耐えられませんでしたよ・・・お酒臭いし宮下さんのお部屋2階だから運ぶの大変で・・・」
宮下裕二「ま、マジか・・・部屋に入ったのってもしかして・・・」
白川美穂「まぁ、宮下さんのポケットから拝借しました・・・」
宮下裕二「だよね・・・てか、良く俺の家が分かったね・・・」
白川美穂「あぁ、その事ですが、本当は良く無いんですが、宮下さんがいる部署の部長さんから聞いて・・・」
宮下裕二「うん、それは確かに感心しないな・・・」
白川美穂「まぁ、ごめんなさい・・・どうしてもやりたい事があって・・・」
宮下裕二「やりたい事?」
白川美穂「あ、はい!今日明日休みでしたよね?宮下さんさえ良ければ私に宮下さんの家事を、私に手伝わせてくれませんか?」
宮下裕二「え?本気なの?俺一人暮らしだし、ご家族心配しない?」
白川美穂「大丈夫です!私も一人暮らしですから!」
宮下裕二「いやいや、俺ら異性同士だし・・・」
白川美穂「心配要らないですよ!宮下さんが優しい人だってのは知ってますし、私がやりたくてやってますから!」
宮下裕二「お、おう・・・良いのかな・・・」
仕事の無い日に白川さんが俺の家に押し掛けて来た。白川さんは宣言通りに家事を手伝ってくれて俺は大助かりだが、
どこか申し訳無さも感じたのは本当だった。
〇おしゃれな受付
それからまた暫くして、また仕事に行く日となった。白川さんは泊まり込みで俺の家で家事を手伝ったり、
一緒に遊びに行ったりと、お陰で充実した休みになった。
宮下裕二「休み時は本当ありがとう!何か久々に楽しめたよ!」
白川美穂「私もそう言ってもらえると思い切った甲斐があります!またやりに行って大丈夫ですか?」
宮下裕二「ありがとう!その時は俺も協力するから!」
白川美穂「(婚姻届はやっぱ出せなかったけど、まだ早いから良いよね?)」
赤羽サヤカ「おっはよ〜裕二君!この前は本当楽しかったわ!」
宮下裕二「あ、先輩!あの後ちゃんと帰れましたか?」
赤羽サヤカ「何とかね・・・道中の記憶が曖昧だから何がどうなったかはサッパリだけど、こうしてここにいる訳だから・・・」
赤羽サヤカ「所で、何で高卒風情があたしの裕二君に近寄ってる訳?」
白川美穂「お早うございます赤羽さん・・・昨日一昨日に宮下さんのご自宅の家事手伝いさせて頂きました・・・」
赤羽サヤカ「な、何ですって!?あたしの知らない所で何してたの!?」
宮下裕二「何って、彼女泊まり込みで俺の家の家事手伝ってくれて・・・」
赤羽サヤカ「と、泊まり込みですって!?高卒の分際で・・・」
白川美穂「そうやってマウント取るの止めてもらえませんか?欲しい物に学歴とか関係無いって前にも言いましたよね?」
白川美穂「私は好きな人に対して妥協する気は一切ありません・・・私こそが宮下さんの隣に立てるって証明して見せますから・・・」
赤羽サヤカ「ぐ、ぐぬぬ・・・泊まり込みとはやってくれたわね・・・だったらあたしも・・・」
宮下裕二「ま、まぁまぁ!2人共一旦落ち着いて!先輩!もう直ぐ仕事始まりますから!行きましょう!ね?」
赤羽サヤカ「まぁ、裕二君が言うなら・・・覚えてなさいよ高卒!」
白川美穂「・・・本当あの人は・・・」
〇オフィスのフロア
赤羽サヤカ「ぐぬぬ・・・このあたしが高卒風情に遅れを取るだなんて・・・泊まり込み、何で思い付かなかったのかしら・・・」
宮下裕二「う〜ん、先輩に押し掛けられるのはちょっと・・・」
赤羽サヤカ「何か言った?」
宮下裕二「い、いえ!俺も自分の事はちゃんとやれますから!余り気にしないで・・・」
赤羽サヤカ「あのガキがやったなら次はあたしの番ね!裕二君、今度の休みあたしの女子力見せてあげるからね!」
宮下裕二「う〜ん、遠慮したい・・・」
部長「君達、お早う!」
赤羽サヤカ「あ!お早うございます部長!」
部長「あぁ、宮下君丁度良かった・・・君に朗報があるんだ・・・」
宮下裕二「ん?何です?」
部長「前から君が希望してた部署への転勤が正式に決まったんだ・・・移動日は1週間後になる・・・」
赤羽サヤカ「は・・・!?」