エピソード4 「緊張マックス、デートの行方はっ!!」(脚本)
〇本棚のある部屋
恋のキューピット クレア「叶真~、着替えた~?」
小山「まだ~」
恋のキューピット クレア「・・・・・・」
恋のキューピット クレア「叶真~、着替えた~?」
小山「ま~だで~すよ~」
恋のキューピット クレア「も~、早く着替えた所、見たいんだけど~」
小山「・・・クレア、あれだね。敬語が無くなってさぁ」
恋のキューピット クレア「うん、なになに?」
小山「敬語が無くなったから、クレアとの距離感も近くなって・・・」
恋のキューピット クレア「うんうん」
小山「前よりも小言がうるさくなった気がする」
恋のキューピット クレア「何それ、ひどっ!! ってか、着替えまだかいっ!!」
小山「余計な会話ばかりして、着替えが全く進んでいない」
恋のキューピット クレア「口を動かしていないで手を動かせっ!!」
小山「よし、おっけー」
小山 叶真(こやま とうま)「どうも」
恋のキューピット クレア「あ、いいじゃーん! 似合ってるよ!」
小山 叶真(こやま とうま)「ありがとう」
恋のキューピット クレア「それにしても、まさかマッチングがとんとん拍子で進んで、その子と会うことになるとはねぇ・・・」
恋のキューピット クレア「叶真がモテないまま孤独死するって心配も、杞憂だったのかな」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・・・・」
恋のキューピット クレア「どうしたの? 表情硬いよ?」
小山 叶真(こやま とうま)「緊張でゲ□吐きそうで・・・」
恋のキューピット クレア「あー、それもそっか」
恋のキューピット クレア「大丈夫、大丈夫。私と普通に喋れているんだし、私も後ろでサポートするから」
恋のキューピット クレア「初デート、楽しんで!」
小山 叶真(こやま とうま)「前に一度、クレアとデートしているけどね」
恋のキューピット クレア「あれは、成り行きだからノーカン」
小山 叶真(こやま とうま)「なるほど、あと・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「クレア、僕が孤独死すると思っていたんだ・・・」
恋のキューピット クレア「ご、ごめん! それは、ごめん!!」
〇ハチ公前
小山 叶真(こやま とうま)「あー・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「うー・・・」
恋のキューピット クレア(叶真、大丈夫かな。デートより、病院に行くべき顔をしているんだけど・・・)
小山 叶真(こやま とうま)「にゅー・・・」
恋のキューピット クレア(すっごい、不安・・・)
?「あ、小山さんですか~?」
恋のキューピット クレア(来たっ・・・!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「小山さん、ですよね!」
小山 叶真(こやま とうま)「は、はぃ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「はじめまして、雪乃香奈です!」
小山 叶真(こやま とうま)「雪乃、さんっ!」
小山 叶真(こやま とうま)「あ、えと、私の名前は小山叶真です」
小山 叶真(こやま とうま)「あなたの名前はなんですか?」
クレア(いや、言った! さっき言ってたっ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「小山さん、面白~い!」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「じゃあ改めて、雪乃香奈です。香奈って呼んでくれたら嬉しいな!」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「私も、叶真君って呼んでいいかな?」
小山 叶真(こやま とうま)「いや、えー・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「いいですけどぉ・・・」
クレア(なんでちょっと嫌そうなのっ!?)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君って、面白いね! ひょっとして、ちょっと緊張してる?」
小山 叶真(こやま とうま)「まぁ、はいぃ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「デート、緊張しちゃうよね。私も、ちょっと緊張気味で・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「でも、せっかく来たんだから、一緒に楽しもうっ!」
小山 叶真(こやま とうま)「あー、えー、わざわざお気遣いいただいて、ありがとうございます」
小山 叶真(こやま とうま)「何が目的かは、わかりませんが」
クレア(失礼っ!! そんな、目的なんて無いよっ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「じゃあ、叶真君、行こっか!」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君のために、叶真君の好きそうな映画、調べてきたんだ!」
クレア(雪乃さん、優しっ!!)
〇映画館のロビー
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君、映画好きって言ってたもんね」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「私も映画が好きだから、気が合うなって思って!!」
クレア(叶真、映画が好きなの? 初耳なんだけど・・・)
小山 叶真(こやま とうま)「あー、そんな事、言いましたっけ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「多分、あれですね。映画デートにしておけば会話が少なくなるから、適当言ったんですね・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「言うなれば、虚言です」
クレア(おい、叶真ぁっ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「あ、そうなんだ。じゃあ、もし楽しくなかったら、ごめんね?」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「でも、デートを盛り下げないように気を遣ってくれたんだよね? ありがとっ!」
クレア(ポジティブっ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「じゃあ、入ろっか!」
小山 叶真(こやま とうま)「あー、えー・・・」
〇映画館の座席
ヒロイン「タクヤ、なんで私の気持ちに気づいてくれないんだろう・・・」
ヒロイン「私、タクヤの事をこんなに好きなのに・・・」
恋のキューピット クレア(なーんか、このミクリってヒロイン、共感出来ないなぁ・・・。良い子ちゃん過ぎるくせに、我は強いっていうか・・・)
恋のキューピット クレア(でも、あれだよねぇ。万人への優しさって想いが分散されるから、届けたい当人には届きづらくなるよねぇ)
恋のキューピット クレア(偏りのない優しさより、一人に向けた我儘な愛・・・)
ヒロイン「タクヤ、タクヤっ!?」
恋のキューピット クレア(あ、タクヤ轢かれた)
恋のキューピット クレア(・・・あ、そうだ。叶真は楽しんでるかな)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「うっ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「zzz」
クレア(寝んなぁっ!!!)
ヒロイン「タクヤ、起きて、起きてよぉっ!!」
〇レトロ喫茶
雪乃 香奈(ゆきの かな)「映画、楽しかったぁ!」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君は、楽しめた?」
小山 叶真(こやま とうま)「まー、よく楽しめたというか、よく寝れたというか・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「結果的には、満足です」
クレア(寝れて満足なだけじゃんっ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「良かった、楽しんでくれたなら!」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「・・・ねぇ、叶真君。叶真君の事をもっと知りたいから、」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「もうちょっと、喋っていかない?」
クレア(なんで、雪乃さんはこんな失言だらけの男に怒らないんだろう・・・)
小山 叶真(こやま とうま)「あー、はい、まぁ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「良かった! じゃあ、まずは叶真君って普段は・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「そっか。普段はフリーランスで働いているんだ。凄いねっ!」
小山 叶真(こやま とうま)「いや、単純に社会が苦手というか・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「凄いなぁ、私なんてまだまだで・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「まだまだ?」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「私ね、ジュエリーショップの販売員で働いているんだけど、全然うまくいかなくて・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「はぁ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「そう、これ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「ほ、宝石っ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「これ、私が作ったんだけど、全く売れなくて・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「最近、どんどん自信が無くなっちゃって。店長からは今月中に売れないなら諦めろって言われてて・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「そ、そうすか・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君、どうしよう。私、まだ諦めたく無いよ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「そ、そうすか・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「も、もし、もしもだけど、良かったら一つだけ、買って、くれない・・・?」
クレア(っ!!)
雪乃 香奈(ゆきの かな)「じゃないと、私・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「そんな金、無いんですけど・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「そ、そうだよね。宝石って、高いもんね・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「じゃ、じゃあこれなら? 本当はこの宝石、10万円で売っているんだけど、叶真君は3万でいいから・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「一つで、いいの。今日じゃなくても、今月中なら大丈夫だから・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「叶真君・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「さ、3万円ですか、なら・・・」
恋のキューピット クレア「ねぇ、あなた。うちの叶真になにしてんの?」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「えっ・・・!?」
小山 叶真(こやま とうま)「く、クレアっ!?」
恋のキューピット クレア「私、あなたみたいな最低な人は許せないの」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「最低って、急になんですか!? 私は・・・」
恋のキューピット クレア「じゃあ、これでもどうぞ」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「あ、あれ。私、何をしてたんだろ・・・」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「あー、小山さん。もう、この話は大丈夫です。なんか、面倒な事になりそうなので」
雪乃 香奈(ゆきの かな)「また、別のカモを探すかぁ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「え、えっ・・・」
恋のキューピット クレア「行こ、叶真」
小山 叶真(こやま とうま)「う、うん・・・」
〇センター街
小山 叶真(こやま とうま)「く、クレア様。これは、どういう・・・」
恋のキューピット クレア「詐欺だよ、あれ」
小山 叶真(こやま とうま)「詐欺・・・」
恋のキューピット クレア「そ、恋愛詐欺の典型例」
恋のキューピット クレア「だって、ありえないでしょ。会っていきなり宝石を買えって言うなんて」
恋のキューピット クレア「いるんだよね、恋愛感情を利用して金を貪る奴が。私、本当にそういうの許せなくて」
小山 叶真(こやま とうま)「確かに、3万円ならいいかなって気持ちになっておりましたよ」
小山 叶真(こやま とうま)「じゃあ、いきなり矢を引き絞ったのは、僕を守るため?」
恋のキューピット クレア「そ。キューピットの『鉛の矢』を打ち込んだの」
恋のキューピット クレア「この矢に射られたら、どんな相手でもたちまち嫌悪感を抱くようになる」
小山 叶真(こやま とうま)「あー、だから急に愛想が悪くなったわけだ」
恋のキューピット クレア「本当はこんな矢、使いたくないんだけどね」
小山 叶真(こやま とうま)「まぁ、その矢のおかげで一人の男が助けられたわけで、感謝を禁じ得ない」
小山 叶真(こやま とうま)「でも、良かった。矢を射った時に、嫉妬のあまりあの女性を殺めるつもりだったのかと思った」
恋のキューピット クレア「キューピットがそんな事、するかいっ!!」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・・・・」
恋のキューピット クレア「と、叶真?」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・情けない話なんだけどさ」
小山 叶真(こやま とうま)「詐欺って言われても、僕はこのデートを期待していたわけで」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・正直、ショックだ」
恋のキューピット クレア「・・・そう、だよね。初めてのデートが、えっと、その・・・」
恋のキューピット クレア「・・・ごめん」
小山 叶真(こやま とうま)「クレアが謝る事ではないでしょ」
恋のキューピット クレア「いや、いきなり会うってなった時にもっと注意していれば。っていうか、無理に恋愛を勧めたのは私だし・・・」
恋のキューピット クレア「・・・・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・クレア」
小山 叶真(こやま とうま)「この後、ちょっと付き合ってよ」
恋のキューピット クレア「えっ・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「クレアとデートしたいなぁって。せっかくの今日をマイナスで終わらせたくないし」
恋のキューピット クレア「え、あ、いや、私はあくまでサポートで、そんないきなり・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「嫌なの?」
恋のキューピット クレア「・・・・・・」
恋のキューピット クレア「・・・私、お洒落してない」
小山 叶真(こやま とうま)「気にしないよ、十分可愛いでしょ」
恋のキューピット クレア「っ///」
小山 叶真(こやま とうま)「やっぱり、クレアと一緒にいる方が安心するな」
小山 叶真(こやま とうま)「裏表、絶対に無いし」
恋のキューピット クレア「ちょっと、それ、褒めてるっ!?」
小山 叶真(こやま とうま)「褒め言葉、ですよ」
恋のキューピット クレア「ならば、許す」
小山 叶真(こやま とうま)「じゃあ、レストラン予約しているから、行こっか」
恋のキューピット クレア「うん、行くっ!」
小山 叶真(こやま とうま)(・・・クレア、ありがと)
恋のキューピット クレア「叶真、早く行くよっ!」
小山 叶真(こやま とうま)「はいはい、わかってますよ」
〇黒
ここからおまけ
〇レストランの個室
恋のキューピット クレア「ここ、すっごい良いお店なんじゃない!?」
恋のキューピット クレア「大丈夫? 高くなかった?」
小山 叶真(こやま とうま)「まぁ、断腸の思いで」
恋のキューピット クレア「大丈夫じゃ、ないじゃん・・・」
恋のキューピット クレア「でも、初デートでここまで凄いお店を選ぶなんて、気合入ってたんだね」
小山 叶真(こやま とうま)「いや、高級レストランにしておけば粗相をしてもプラマイゼロになるかなと」
恋のキューピット クレア「失礼な自覚、あるんじゃん」
小山 叶真(こやま とうま)「まぁ、僕は会話が苦手だし、このぐらいは男として頑張らないと思って」
恋のキューピット クレア「やっぱり、叶真は優しいね。次に出会う人は絶対に叶真の事、気に入ってくれると思うよ」
小山 叶真(こやま とうま)「次かぁ、心が折れてるんだけど・・・」
恋のキューピット クレア「まぁまぁ、思いっきり食べて、今日の事は忘れちゃお!」
恋のキューピット クレア「なに頼もうかな~♪」
小山 叶真(こやま とうま)「あ、クレア。クレアは当初、奢る予定の無かった相手なんだから」
小山 叶真(こやま とうま)「一番安い奴でお願いね」
恋のキューピット クレア「えー、ケチ! 今日のデート、私がいなかったら叶真は3万円も騙し取られてたんだよ!?」
小山 叶真(こやま とうま)「・・・・・・」
小山 叶真(こやま とうま)「3万円までなら、許します」
恋のキューピット クレア「やったー!」
小山 叶真(こやま とうま)「これも、詐欺なんじゃ・・・」
いつもおまけが面白いです!!
クレアも実は詐欺師ならビックリしますね💛
天使の姿をした小悪魔だったりして!?
徐々にクレアのおかげで、小山君もスキルを上げて
つきっきりの教師だから、彼は恵まれてますね!!
雪乃さんと交際スタートするかなと思いきや、まさかのデート商法。
クレアさんがその場に居なかったらどうなってた事やら……。
続きを楽しみにしてます。