フリーダム放課後会話コメディ しゃべるちゃん

結城れもん

エピソード10(脚本)

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〇林道
アイリ「バカ迷ってるんですけど」
アイリ「スマホ電源切れたし・・・詰んだか?」
  ──話は2時間前にまで遡る。

〇教室
アイリ「ちょっとお花摘みに」
レナ「いってらっしゃい」

〇林道
アイリ「あ〜〜〜〜もうっ 本当にお花摘みに行ったのが間違いだった」
アイリ「ゼッタイウケると思ったんだよ・・・ 何やってんだよウチは・・・・・・」
「もし、そこのお方」
アイリ「!? 誰?」
???「そこの。金髪の方」
アイリ「ホンマに誰やねん」
モエカ「わたくしモエカと申します」
アイリ「アッ、ご丁寧に・・・ども・・・ ウチはアイリです・・・」
モエカ「アイリさん、ふふっ、かわいらしいお名前」
アイリ(あれ・・・急だったからビビっちゃったけど、この子もしかしてイイ子?)
モエカ「何やらお困りごとのようでしたのでお声掛けさせていただきましたが」
モエカ「何かお心苦しいことでもございましたか?」
アイリ「んや、それがその・・・恥ずかしい話、道に迷っちゃって」
モエカ「まあまあ大変 この山はとても広いですものね 道を失えばジ・エンドですわ」
アイリ「でもモエカさんに会えて良かった! 良かったらさ、帰り道教えてくれない?」
モエカ「それはできません」
  ────バサバサと遠くの林から鳥が飛び立った。
  木々の隙間から入り込む太陽の断末魔が、
  これから訪れる闇の恐怖を掻き立てる。
  アイリはその背にうっすらと冷や汗が噴き出すのを感じた。
  純粋な恐怖からだった。
  彼女は処女の色欲魔だが、一応人並みの感性は持ち合わせているし、理解力はある。
アイリ「・・・・・・おかしい」
  『たまたま入った山で』
  『たまたま迷い』
  『たまたま、人に会った』
アイリ「・・・・・・」
  偶然が重なりすぎではないか?
アイリ「一応聞くけど」
アイリ「なんでウチに、帰り道教えてくんないの?」
モエカ「それは簡単なこと なぜならわたくしは────」
モエカ「迷子だから、ですわ」
アイリ「・・・・・・」
アイリ「────!!」
アイリ「〜〜〜〜〜〜ちゃあっ、」
モエカ「どうしたのです、奇声などお上げになって」
アイリ「ううん何でもない、めっちゃビビってチビりそうだっただけ」
モエカ「あらあら。アイリさんはビビリでございますのね」
アイリ「否定はせんけど・・・でもどうしよう、森の中で迷子ふたりはヤバいっしょ」
モエカ「そうですわね・・・ このままですと夜になってしまいますわ」
モエカ「ひとまず、お互いの持ち物を整理いたしましょう」
モエカ「まだ外部への通信手段が残されているかも」
アイリ「おお、モエカさん冷静 分かった、持ってるもの全部出すね」
モエカ「わたくしは────これ」
アイリ「・・・・・・・・・?」
モエカ「それから────これ」
アイリ「────────」
モエカ「あとは、これですわ」
アイリ「やっ、ちょ、やだも〜」
アイリ「いや待って待って待って」
アイリ「何で??」
モエカ「何で、と申されますと?」
アイリ「なんでJKが札束と金の延べ棒持ってんの??????????」
モエカ「・・・持ち歩きません? ふつう」
アイリ「普通じゃないよ・・・ そして3つ全部いまは役に立たないよ・・・」
モエカ「そうなのですか」
アイリ「とはいえ、ウチが持ってるのもバッテリー切れのスマホと、小銭が数百円」
アイリ「いよいよもって詰んだくさいぞ」
モエカ「どうしましょう、日がどんどん傾いて・・・」
アイリ「仕方ない、お母さんには禁止されちゃったけど────ごめん、ちょっと今から妄想するから、離れてて」
モエカ「もうそ────え?」
アイリ「・・・・・・変身完了」
モエカ「あらあらあら! アイリさまがロボットに!」
アイリ「ウチの肩に掴まって。 時間がない、速く」
モエカ「わかりました。 よいしょ・・・と」
アイリ「この姿でいられるのは8分が限界──その8分で、この山を下るッ」
モエカ「なんだかよくわかりませんが、すごいですわ〜〜!!」

〇山中の川
モエカ「すごいですわ〜〜〜!!」

〇森の中
アイリ「────ぐっ、あと1分、もってくれ、ウチの性欲・・・・・・!!」

〇山中の坂道
アイリ「────くっそおおおおおっ」
アイリ「────ごめん、モエカさん。 ウチもう限界っぽい」
モエカ「アイリさんのためにできること、わたくしに何かありませんか?」
アイリ「どしたん急に」
モエカ「わたくしは運んでもらって楽してばかり。 不公平ですもの、何かアイリさんのためになることを、わたくしも」
アイリ「んー」
アイリ「じゃあさ、さっきの延べ棒ちょーだい!」
モエカ「ええ。はいどうぞ」
アイリ「うわっ、ちょっマジ!? 重っ、てか本当にくれるとか───」
アイリ「──ジョーダン、冗談だって 要らんよ、少なくとも今は」
モエカ「いいえ、もらってください。 わたくし他にあげられるものといえば、札束か、コンドームしか持ち合わせておりません」
アイリ「別に要らんし いやコンドームはちょっと興味あるけど・・・」
アイリ「フツーにハズいこと言うけどさ もしこの山下りれたら、友だちになろうよ」
モエカ「・・・・・・」
アイリ「そうしてほしい それがモエカさんが、ウチのためにできること」
モエカ「アイリさん──」
モエカ「それはできません」
アイリ「うわまたかよ〜」
アイリ「アレか? モエカさんは『それはできません』って言ったらBGM変えれる能力者か?」
モエカ「はい」
アイリ「あっ、そうなの」
アイリ「これ不安になるから止めてくんない・・・?」
モエカ「この能力を知っているということは、あなたも?」
アイリ「まあ一応。 何話か前に覚醒したんだよね」
モエカ「なぜ早く仰らないのですかッッッ」
アイリ「ぴええっ、ご、ごめんなさい?!」
モエカ「わたくしたちの力を合わせれば、助けを呼ぶことは可能です!」
アイリ「・・・・・・そうなの?」
モエカ「わたくしと息を合わせて。 同時にふたりのBGMを流すことにより、その音波は増大する────」
モエカ「能力者同士の『二重奏』。 これさえ起これば、必ず誰かの耳に音が届きますわ!」
アイリ「なんか分からんけど、なんか分かった」
モエカ「タイミングはわたくしに合わせて。 それじゃあいきますよ────」
モエカ「『それはできません』」

〇教室
キラ「・・・この音」
レナ「キラちゃんも聞こえる?」
キラ「この、いかにも「ヤバい」って感じの音」
レナ「もしかしてアイリちゃんが」
キラ「行こう、音のする方へ」
レナ「ちょっ、ちょっと待ってよぉ」

〇山中の坂道
モエカ「終電・・・なくなっちゃいましたわね」
アイリ「ごめ、もうツッコむ気力も無いわ」
モエカ「ちなみにあのコンドーム」
モエカ「実はアレ、カップ焼きそばのふりかけなのです」
アイリ「フフっ、確かにちょっと似てるわ」
アイリ「・・・・・・はぁ」
モエカ「────少しお花を摘みに行ってよろしくて?」
アイリ「お、本物のお嬢様言葉。 どうぞ、行ってらっしゃい」
モエカ「・・・・・・またお会いしましょうね」
「アイリーっ」
アイリ「・・・この聞き覚えのある声っ」
キラ「ドゥイイイイイン、ガシィン」
レナ「うわっととと」
アイリ「レナまで! どうしてここに!?」
キラ「音がしたんだ。 奇妙な音だった」
レナ「もしかしたらアイリちゃんの能力で出してるんじゃないかって、それで」
アイリ「うっ うぅ」
アイリ「来゛て゛く゛れ゛て゛ッ、あ゛り゛か゛と゛ぅ゛」
レナ「もう、泣かないでよ ほらキラちゃんに乗って帰ろ?」
レナ(──キラちゃんに乗って帰ろ?????)
アイリ「ああっ、待って 実はもうひとり一緒で」
アイリ「その子も迷子で でもその子のおかけで2人が来てくれたっていうか」
キラ「ビピピ── センサーに反応ナシ 我々以外の生命体反応はありません」
レナ「ここには・・・・・・うん、キラちゃんの言う通り、私達以外いないけど」
アイリ「あっそっか、お花摘みに行ってるんだった ちょっと待ってて。すぐ帰ってくるはずだから」

〇高い屋上
アイリ「・・・・・・」
アイリ(あのあと、いくら待ってもモエカさんは戻らなかった)
アイリ「結局ウチらだけで帰ってきちゃったけど、大丈夫だったのかな」
アイリ(警察にも話した 札束と金の延べ棒を持った女の子が遭難してるかも、って)
アイリ「札束と金の延べ棒って・・・・・・」
「すごいですわ〜〜〜!!」
アイリ「思い出しちゃうよなぁ、あの独特のキャラ」
アイリ「・・・元気だといいな」

〇林道
モエカ「────」
モエカ「・・・・・・」
モエカ「わたくしにお友達ができるなんて」
モエカ「なんだか、不思議ですわ〜」
  ────つづく?

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