99クレージー

山本律磨

無用の時(4)(脚本)

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〇黒
  99クレージー『無用の時』第四話
  世歴1924年6月1日
  午前10時45分
  青龍部隊戦闘車両第3号車内

〇渋滞した高速道路
「いや~和泉君。絶好の戦闘日和じゃないか」
「そうですね~九十九さ~ん」
「逢魔が時だけでなく午前中にも出て来るなんて最近の妖怪も随分と様変わりしたねえ」
「そうですね~九十九さ~ん」
「君はあれかい?上京組って聞いたけど集団就職のクチかい?」
「そうですね~九十九さ~ん」
「友達なんかと一緒に東京に出て来たんなら心強いだろう」
「そうですね~九十九さ~ん」
「田舎から花の大都会に出て来たんなら見るもの聞くものみな楽しいんじゃないかい?いや~若いって素晴らしいよね~」
「そうですね~九十九さ~ん」
「ところで親御さんは元気」
九十九「よおし車止めろ!」
九十九「なんだ君はさっきから!この僕が甲斐甲斐しく話題を提供してるのに!右から左左から右に受け流し続けやがって!」
九十九「あとお前もだ作者!『そうですね~九十九さ~んコピペ』でタップ数を稼ぐんじゃないよ!セコイんだよやり方が!」
九十九「だいたいこういう何気ない世間話からさりげなく登場人物の背景や世界設定等を読者に分からせるのは作劇の基本だろう!」
九十九「どうせ興味のないのはお互い様なんだから君もちょっとは協力しなさいよね!」
九十九「あとそれって天パ?ナチュラルパーマ? どっち?」
和泉「天パです」
九十九「ほう・・・」

〇可愛い結婚式場
菅原「こちらです!こちらに退避して下さい!」
藤原「いえ、お嬢さん!ぜひこちらにどうぞ!」
菅原「いえいえ是非僕といっしょにこちらに!」
藤原「いやいや私と一緒ならこれから夜景の綺麗なフランス料理店に!」
杜屋副隊長「ええい!婚活は後にせんかい!」
「嗚呼、お嬢さ~ん・・・」
禍異物「ゴパァ!ゴパァーーーッ!」
九十九「いや~実に『悪魔』っぽい叫び声じゃない」
九十九「むしろ『超人』ぽくもあるし『あのお方』っぽいといっても過言ではないね」
九十九「・・・と誰も読んでないのをいいことに、ギリギリのツッコミを挿入したところで」
九十九「さあ、相手をしてやろう!」
九十九「この最強の戦士、和泉成がな!」
和泉「全く・・・一話から何も変わっちゃいない」
和泉「うおおおおおおッ!」
和泉「弾が通らないだと?」
和泉「クッ、乙級以上か。ならば本気で行くぞ」
和泉「この天才対魔師、九十九昭がな!」
九十九「いやあああああん!」
和泉「ばかあああああん!」

〇空
九十九「和泉君」
和泉「九十九さん」
九十九「まだだ。まだ終わっちゃいない」
和泉「そうですね。つまり・・・」
  『俺達の闘いはこれからだぜ!』
  『99クレージー、未完!』

〇可愛い結婚式場
杜屋副隊長「終わる前に始末書を書くか?ああ?」
和泉「す、すみません」
九十九「殺伐とした勤務状況にユーモアと潤いと『往年の車〇先生イズム』を・・・」
坂上隊長「全てもう結構です」
坂上隊長「あの禍異物、どう見ます?」
坂上隊長「物理が通らないということは、対魔師殿の仰られる『マガイモノ』ではないと?」
九十九「試してみましょう」
九十九「臨兵闘者皆陣列在前行!」
九十九「急急如律令!」
九十九「何っ?動きを封じられない?」
杜屋副隊長「全く!頼りにならん大先生だ!」
坂上隊長「杜屋。嫌味を吐いてばかりが副隊長の勤めかね?」
杜屋副隊長「も、申し訳ありません。ニッポン男子としてあるまじき言動でした。猛省致します」
坂上隊長「反省の前に考えよ。何が起こってるか」
藤原「ぐあああッ!」
菅原「センパイ!大丈夫ですか?」
菅原「くそ。手がつけられない暴れっぷりだ」
藤原「こっちの方もケタ違いってわけか!」
菅原「せめて吉備さんが生きていてくれたら」
藤原「バカ!いない人間を頼るな!」
菅原「は、はい・・・」
九十九「おかしいな。僕の見立てでは妖力の低い、マガイモノにしか見えないんだが」
坂上隊長「全く、奴らは進化しているとでもいうのか」
九十九「あるいは成長、発展・・・」
坂上隊長「ほう・・・面白い考えですな」
九十九「発展と成長には協力者が必要・・・」
九十九「・・・そうか」
九十九「術者だ。術者がいる!」
和泉「術者って・・・?」
九十九「奴らを作り出し奴らに力を与え続けている者がすぐ近くにいる!だから妖力が底上げされているんだ!」
坂上隊長「なんと・・・」
坂上隊長「禍異物を作り出している男がいるだと?」
杜屋副隊長「総員索敵!疾く、術者を見つけ出せい!」
  『ははっ。その必要はない』
  『こっちだよ。ヤオヨロズの番犬ども』
和泉「あそこだ・・・」
和泉「寿楽レストランの屋根・・・!」

〇開けた景色の屋上
S「ふん、いい眺めだぜ」
S「さんざんっぱら俺を見下してきた東京よ。今度はこっちが見下す番だ」
S「なんてな」
S「さあ、ゴミの逆襲だ。恐れおののけ都会人サマよ!」
S「ハハハッ・・・ハハハハハ!」
  つづく。

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