吸血鬼との共存を頑張ろう

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3話 まともじゃない(脚本)

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〇住宅街の道
如月天音「もし吸血鬼が滅びたとしても」
如月天音「社会にも生態系にも何ら影響を及ぼさない」
如月天音「何のデメリットもない」
如月天音「その分メリットもない」
如月天音「人間も似たようなものだよ」
如月天音「生きる意味も死ぬ意味も存在しない」
如月天音「それでも吸血鬼は吸血が生きる意味だと信じて」
如月天音「血に命を懸けてるんだ」
如月天音「こんな健気な生き物見捨てられるわけないでしょ?」
如月天音「ねぇ、常人なら分かってくれるでしょ?」
藍原しずく(・・・もう追い払うのも面倒になってきた)
藍原しずく「生態系に影響を及ぼさない生き物なんて」
藍原しずく「この世に一つも存在しないと思うけど」
如月天音「ん?じゃあ吸血鬼のこと助けてくれるんだね?」
如月天音「血全部くれるんだね!?」
藍原しずく(話が通じない)
藍原しずく(そうだ、寝れば噛まれても痛くないかも)
藍原しずく(羊の代わりにトマトを数えてみよう)
  (脳内のトマト)
藍原しずく「トマトが1個ー、トマトが2個ー」
如月天音「な、何やってるのかな?」
如月天音「人がこんなに真剣に話してる最中に?」
藍原しずく「人じゃないけどね」
藍原しずく「トマトが3・・・」
花園清香「オラアァァ!!」
如月天音「ウグッ・・・」
  バタッ
花園清香「私の大事な生徒に手を出すなんて断じて許さないわ!!」
花園清香「二度と動けないように全身の骨へし折ってやりたいくらいよ!!」
花園清香「恥を知りなさい恥を!!」
藍原しずく「なんかデジャヴだけど」
藍原しずく「ラリアットか、先生もなかなかやるな」
花園清香「藍原さん大丈夫?このイカれた輩は知り合い?」
藍原しずく「赤の他人です」
花園清香「なら邪魔だから道路脇に退かしておきましょう、よいしょっと」
  (ヒールで蹴り飛ばす)
花園清香「翌朝ゴミと間違えて回収されないといいわね〜」
藍原しずく「ゴミといえば先生」
藍原しずく「そのビニール袋に入った大量のビールの空き缶は?」
花園清香「う・・・」
藍原しずく「飲むのプロテインだけじゃないんですね」
花園清香「だってぇ、ようやく捕まえた彼氏がね」
花園清香「『か弱そうだから付き合ってやったのに』」
花園清香「『趣味筋トレの怪力モンスターとかありえねー』なんてほざくんだもの」
花園清香「ヤケ酒するしかなくなっちゃったわ」
藍原しずく「そのクズ野郎はどうしたんですか」
花園清香「勿論振ったわ。精神的にも物理的にもね」
藍原しずく「物理的というのは」
花園清香「プロテインの粉を混ぜる様をイメージしてもらうと分かりやすいかしら」
花園清香「怪力で何が悪いのか問い詰めながら」
花園清香「彼を上下に振り続けたの」
花園清香「おもちゃで遊んでるみたいで童心に帰れて楽しかったわ〜♪」
花園清香「・・・あっ教師ともあろうものが」
花園清香「不適切な言動ばかりでごめんなさいね?」
藍原しずく「別にいいと思いますよ(適当)」
花園清香「フフッそうよね!(開き直り)」
花園清香「それじゃ明日も元気に力を見せつけていきましょ〜!」
花園清香「暴力万歳いえ〜い☆」
花園清香「ほら藍原さんも一緒にっ!」
藍原しずく「いえーい(棒)」
藍原しずく(本当に怖いのは吸血鬼より人間かもしれない)
藍原しずく(私は優しい人間だけど)

〇住宅街の道
  〜翌朝 バス停前〜
赤城(はぁ、だるい・・・)
赤城(今日はなんとかバスに間に合ったが)
赤城(吸血鬼は夜行性だというのに)
赤城(朝から労働って意味が分からん、殺す気か)
赤城(しかも今にも血不足でぶっ倒れそうだ)
赤城(あぁ・・・あの生意気な女の血は)
赤城(舌がとろけるほど甘美だったな)
赤城(非常に癪だが、あれを飲んでしまったら)
赤城(もう他の血じゃ満足できないことは確かだ)
赤城(あまりの生意気さについ逃してしまったが)
赤城(やはりあの血は俺のものだ)
赤城(必ず専属契約まで漕ぎ着けてやる・・・!)
赤城「ん?ゴミでも蹴ったか?」
如月天音「いてて、もう朝だったんだ」
赤城「えっ人!?大丈夫か!?」
如月天音「大丈夫、ラリアットに比べれば」
赤城「酔って路上で寝てたのか?酒は程々にしておけよ」
赤城(飲みたくても飲めない人もいるんだからな、まったく)
如月天音「えへへ、まぁ色々あって・・・」
  (口元から牙が覗く)
赤城「!その牙」
赤城「もしやお前も吸血鬼か?」
如月天音「お前もということは君も?」
赤城「あぁ」
如月天音「わぁっ久々に正常な状態の仲間発見!」
如月天音「LIME交換しよ!」
赤城(何だこいつ馴れ馴れしいな)
赤城(俺が一番嫌いなタイプだ)
赤城「交換して何になるんだ」
如月天音「いや友達になる為でしょ」
如月天音「そんなことも分からないの?」
如月天音「さては君友達いないね?」
赤城「チッ交換すればいいんだろ!!」
赤城(ヒッ、アイコンが彼女とのツーショットだ)
赤城(どれだけ自己顕示欲が高いんだ・・・)
如月天音「あー昨日この子と別れたんだった」
如月天音「単独の自撮りに変えとこっと」
赤城(へぇ別れたのか、そうかそうか)
赤城(ん?固定メッセージも『毎日HAPPY☆』から)
赤城(『彼女募集中☆』に変わった)
如月天音「心配御無用、こうしとけば彼女なんて秒で寄ってくるから!」
如月天音「蜜に群がる蝶のようにね☆」
赤城(それは良かったな)
赤城「EDになれクソが」
如月天音「本音と建前が逆になってるよ」
暴走吸血鬼「あれ、僕はこんなところで何を・・・?」
赤城「何だもう一人いたのか」
如月天音「あっおはよ、やっぱ記憶ないか」
如月天音「君ね、暴走化して人を襲ってたんだ」
赤城「えっ暴走化?それは危険だな」
赤城「俺も襲う時は一応正気を保った状態だったぞ」
赤城「殺したら二つの意味で後味が悪いからな」
如月天音「うん、だから僕が華麗に止めてみせたんだ。凄いでしょ〜」
暴走吸血鬼「ヒッ、そんな・・・」
赤城「あまりのウザさに引いてるぞ」
如月天音「怯えてるだけだって!」
如月天音「君も血に困ってるんだよね?」
如月天音「その大変さよく分かるからさ」
如月天音「特別に僕の輸血パック分けてあげる」
如月天音「生き血と比べたら不味すぎて」
如月天音「カレーと泥レベルの差だけど」
如月天音「耐えて飲めばだいぶ楽になると思うよ」
如月天音「あ、カレーは飲み物じゃないかw」
暴走吸血鬼「あぁ、僕は何てことをしてしまったんだ・・・」
暴走吸血鬼「最低だ、今後一切外出禁止だ」
暴走吸血鬼「いや存在すること自体禁止なんだ・・・」
如月天音「ん、大丈夫そ?」
暴走吸血鬼「ごっごめんなさい!!」
暴走吸血鬼「お気持ちは有り難いのですが」
暴走吸血鬼「僕に血を吸う権利なんてありませんからぁぁ!!」
如月天音「あー行っちゃった」
如月天音「あの子とも仲良くなりたかったんだけどなぁ」
赤城「あいつ嫌がってたじゃないか」
赤城「むやみに話しかけるのも良くないぞ」
如月天音「は?そうやって誰にも話しかけられないから」
如月天音「君友達いないんでしょうが」
赤城「お、俺だってその気になれば友人の一人くらい・・・」
赤城「できる・・・多分・・・」
  ブーン・・・(バスが通り過ぎる)
如月天音「・・・・・・」
赤城「やめろ、蔑むような目で見るな!」
如月天音「いや、あのバスに乗らなくて良かったのかなーって」
赤城「え?」
赤城「ギャーッ俺のバス待ってくれー!!」
赤城「また遅刻したら今度こそクビにされるーッ!!」
如月天音「“また”ってことは遅刻常習犯なんだな」
如月天音「はぁ、まともな吸血鬼はいないものか・・・」
  つづく🍅

次のエピソード:4話 はじめての餌付け

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