〇ファミリーレストランの店内
如月天音「へぇ夜月くんこの街に引っ越してきたばっかなんだ」
影野夜月「はい、訳あって・・・」
影野夜月「明日から新しい学校にも通う予定で」
如月天音「そかそか、頑張ってね（適当）」
如月天音「店員さんモッツァレラピザ１つー」
赤城（こいつらいつの間に仲良くなったんだ）
赤城（しかもなぜわざわざこの店に？）
赤城（さては俺とも話す為じゃ・・・）
如月天音「え、君ここで働いてたんだ」
如月天音「なんか食欲失せるなー」
赤城「は？」
如月天音「冗談冗談笑」
赤城「今の絶対本音だろ」
如月天音「血以外じゃ大して栄養にならないのに」
如月天音「つい食べに来ちゃうほど美味しいんだよね、サミゼリア」
如月天音「だから不器用な店員がいると不安だなぁ」
如月天音「せいぜい不味くしないよう頼むよ？」
赤城「・・・激辛ハバネロピザ承りました」
如月天音「あっちょっと頼んでない！」

〇ファミリーレストランの店内
影野夜月「それで僕上手くやれるか不安で・・・」
影野夜月「人生の先輩である天音さんにアドバイスを頂けたらなと」
如月天音「んーやっぱり第一印象が肝心だね」
如月天音「緊張せず明るく自己紹介すれば後は大丈夫だよ」
如月天音「流れに身を任せとけば何事もなんとかなるから」
影野夜月「天音さん・・・！」
如月天音「まぁ僕の場合、自己紹介する間も無く」
如月天音「女子から取り囲まれて大変だったけどね〜」
影野夜月「天音さん・・・泣」
影野夜月「僕は根が暗いので」
影野夜月「天音さんみたいに明るくはなれません・・・」
如月天音「声大きくすれば明るくなるんじゃない？」
影野夜月「あっ確かに！」
　　※ツッコミ不在
如月天音「じゃあ僕が見ててあげるから練習してみよっか」
如月天音「はいせーのっ」
影野夜月「かっ、影野夜月と申しますですっ」
影野夜月「不束者ですが何卒宜しく奉り候・・・」
如月天音「あー色々と変」
如月天音「まず敬語やめちゃおっか」
影野夜月「え、初手タメ口ですか？」
如月天音「その方親しみやすいでしょ」
如月天音「あとノリ良くイキった感じで」
影野夜月「パ、パリピですか？」
如月天音「パリピになるに越したことはないからね」
如月天音「気持ち強くもう一回、せーのっ」
影野夜月「お、俺は影野夜月だぜ!!」
影野夜月「友達欲しいぜ!!」
影野夜月「あとは・・・えっと・・・」
影野夜月「盛り上がっていこうぜえええ!!」
如月天音「おー良い感じ（適当）」
影野夜月「えへへ、俄然自信が湧いてきました！」
赤城「おい・・・店内ではお静かに願えるか・・・？」
赤城「サミゼリアの名を汚してるのはお前だろ・・・」
如月天音「あ、丁度いいところに」
如月天音「君もなんかアドバイスしてあげなよ」
赤城「え？えっと・・・」
赤城「手の平に人を３回書いて」
如月天音「あーうんOK」
如月天音「やっぱ君じゃ参考にならないから下がって良し」
赤城「客じゃなきゃ殴り飛ばせたんだがな」

〇教室
花園清香「皆さんビッグニュースよ！」
花園清香「今日このクラスに転校生が来てくれました〜！」
生徒「おぉ〜美少女かイケメンがいいな！」
生徒「も〜ハードル上げんなって！」
生徒「まぁでも転校生らしいミステリアスさは欲しいかも？」
生徒「転校生らしさって何だよw」
藍原しずく（必要以上に騒ぎ立てて鬱陶しい）
藍原しずく（転校生のプレッシャーになるって分からないのかな）
花園清香「ではどうぞ入っておいで〜」
影野夜月「ヒイィ、イケメンでもミステリアスでもなくてすみません・・・」
影野夜月「無能のちんちくりんですがどうかお許しを・・・」
生徒「なんかあいつブツブツ喋ってね？」
生徒「気色悪w」
影野夜月「アッ、意識が・・・」
　　バタッ
花園清香「キャーッ影野くん大丈夫!?」
　　シーン・・・
花園清香「返事がないわ、保健室に運ばなきゃ！」
藍原しずく「あ、保健委員なので付き添います」
藍原しずく（授業サボるチャンス）

〇保健室
　　キーンコーンカーンコーン
影野夜月「んん・・・ここは・・・？」
藍原しずく「あ、やっと起きた」
影野夜月「ヒイィッ人!?」
影野夜月「びっくりしたぁ!!」
藍原しずく「こっちの方がびっくりした」
影野夜月「あっですよね、すみません」
影野夜月「ええと、この状況は一体？」
藍原しずく「あなたは教室に入るなり気絶して」
藍原しずく「花園先生にお姫様抱っこで運ばれた」
藍原しずく「先生が言うには貧血だって」
影野夜月「そ、そんな・・・!!」
　　ガクリ
影野夜月「自己紹介あんなに練習したのに・・・」
影野夜月「僕ってなんでいつもこうなんだろう・・・」
影野夜月「あぁ絶対皆にヤバい奴だと思われた!!」
影野夜月「クラス全員に嫌われた!!」
影野夜月「もうお終いだぁぁ!!」
藍原しずく「・・・・・・」
藍原しずく「別に嫌われてもいいんじゃない」
影野夜月「へ？なんでそんなこと・・・」
影野夜月「というかずっと付き添って下さったみたいですが」
影野夜月「授業の方は大丈夫ですか？」
藍原しずく「知らない」
影野夜月「知らない!?」
藍原しずく「何回も保健室の先生に注意されたけど無視した」
影野夜月「無視した!?」
影野夜月「結構度胸？のある方なんですね・・・？」
藍原しずく「まぁね」
影野夜月（褒めてはないんだけど・・・）
　　ちゅーーー
藍原しずく「ぷはぁっ、美味しい〜」
影野夜月（あとずっとトマトジュース飲んでるの何!?）
藍原しずく「そんなことより夕方だけど帰らなくていいの？」
影野夜月「あ、ほんとだ・・・」
影野夜月「えっまさか朝からサボってたんですか!?」
藍原しずく「まあね」
影野夜月「褒めてないですから!!」

〇通学路
藍原しずく「・・・・・・」
影野夜月「・・・・・・」
影野夜月「あの、まだ何か？」
藍原しずく「偶然帰り道が被ってるだけ」
影野夜月「あっすみません・・・」
藍原しずく「さっきからすみませんって言いすぎ」
藍原しずく「謝罪の価値が軽くなるよ」
影野夜月「ですよね、すみません・・・」
藍原しずく「きりがない」
藍原しずく「代わりの言葉使おう」
藍原しずく「例えば『知りません』とか」
影野夜月「あぁ良いかもしれませんね」
藍原しずく「私のトマトジュース勝手に飲んだでしょ」
影野夜月「知りません」
藍原しずく「飲んだでしょ（圧）」
影野夜月「知りません」
藍原しずく「飲んだでしょ（殺意）」
影野夜月「知りませ」
影野夜月「駄目そうですね」
影野夜月「余計謝罪が必要になります」
藍原しずく「いいと思うよ」
藍原しずく「私もいつも『知らない』で通してるし」
影野夜月「駄目じゃないですか!!」
藍原しずく「夜に大声出さない、近所迷惑」
影野夜月「あっすみませ・・・」
影野夜月「・・・・・・」
影野夜月「知りません」
藍原しずく「良い調子だね」
影野夜月「絶不調ですよ・・・」
影野夜月「あ、ここを曲がれば僕の家なので」
影野夜月「色々とありがとうございました」
藍原しずく「別に何もしてない」
影野夜月「ふふ、意外とツンデレなんですね」
藍原しずく「ツンデレじゃない」
影野夜月「それじゃあまた来週話しかけてもいいですか？」
藍原しずく「いいけど」
影野夜月「時間経って話し方忘れてもいいですか？」
藍原しずく「いいんじゃない」
影野夜月「うわぁやったぁ！」
影野夜月「ようやく僕にも友達が・・・」
影野夜月「ヴッ」
　　バタッ
藍原しずく「ん、まだ貧血なの？」
藍原しずく「立てないなら家まで這っていったら？」
影野夜月「ウゥ、血が・・・」
影野夜月「血が飲みたいよぉ・・・」
藍原しずく「血？」
藍原しずく（あ、よく見たらこの顔）
藍原しずく（こないだの暴走吸血鬼か）
影野夜月「あ、あれ？僕何を口走って・・・」
影野夜月「頭が上手く動かない・・・」
藍原しずく（このままだとまた暴走しかねない）
藍原しずく（場を収めるのは血しかない）
藍原しずく（あの傲慢吸血鬼達と違ってやたら謙虚みたいだし）
藍原しずく「血、吸っていいよ」
影野夜月「え・・・」
影野夜月「えええそんなの駄目に決まってます!!」
藍原しずく「だから大声」
影野夜月「気持ち強くないんですか!?後悔しませんか!?」
藍原しずく「前に吸われたことあるけど」
藍原しずく「トマトジュース依存症になれたから良かった」
影野夜月「それはよく分かりませんが・・・」
影野夜月「血を吸われて良かったなんてないと思います・・・」
藍原しずく「怖くて吸えないの？」
藍原しずく「吸血鬼の血に対する思いってその程度なんだ」
影野夜月「ち、違います!!」
影野夜月「吸血鬼は気が狂うほど血が大好きですよ!!」
影野夜月「煽るような真似したらほんとに吸いますからね!?」
影野夜月「ほんとに吸いますよ!?」
影野夜月「なるべく優しく噛むようにはしますけどね!?」
藍原しずく「キレるか確認するかどっちかにしたら」
影野夜月「僕もどっちかにしたいです」
影野夜月「ではお言葉に甘えて、いただきます・・・」
　　ガブッ
藍原しずく（優しくと言いつつ普通に痛い）
藍原しずく（無駄にゆっくりだから）
藍原しずく（注射と同じように一瞬で刺した方が逆に痛くないのかもしれない）
藍原しずく（そう教えたいけど）
影野夜月「うわぁ美味しい!!めちゃくちゃ美味しい!!」
　　ゴクゴク
藍原しずく（今は放っておいてあげよう）
藍原しずく（餌付けもなかなか悪くないかも）

〇ファミリーレストランの店内
如月天音「へぇーそれは災難だったね（適当）」
影野夜月「はい、次からどんな顔で登校すればいいのか・・・」
如月天音「いっそ鬼の仮面付けてウケ狙ったら？吸血鬼だけに！」
影野夜月「教室静まり返りますよ!!」
影野夜月「あ、でも嫌なことだけじゃなくてですね」
影野夜月「なんと女神のような方が血を恵んで下さったんです！」
如月天音「えっ凄いじゃん！」
如月天音「夜月くんにしてはなかなかやるねぇ！」
影野夜月「吸血鬼だと分かった上で優しくしてもらえたのは初めてで」
影野夜月「僕とっても幸せで！」
如月天音「それどんな子？」
如月天音「外見は？名前は？吸血鬼への理解度は？」
影野夜月「取る気満々じゃないですか・・・」
如月天音「ん、んなことないよ〜」
影野夜月「まぁ天音さんなら取ってもいいですけど」
影野夜月「何せ僕の師匠ですから」
如月天音「僕いつの間に師匠になったの？」
如月天音「慕われて悪い気はしないけどさ」
影野夜月「僕も悪い気はしないです」
如月天音「君が悪い気してたらおかしいでしょ笑」
如月天音「では弟子くん、女神の名を述べたまえ！」
影野夜月「御意！」
影野夜月「確か藍原しずくさんって名前でした」
影野夜月「何でも吸血鬼に噛まれた際」
影野夜月「トマトジュース依存症になったらしくて」
如月天音「何それ、聞いたことないんだけど」
如月天音「特異体質かな？」
　　ガシャンッ
如月天音「あれ、ボード落としたよ店員さん」
赤城「・・・・・・」
如月天音「おーい不器用店員？」
赤城「藍原しずくか・・・良いことを知った」
如月天音「何、気色悪」
影野夜月「藍原さんともっと仲良くなりたいなぁ」
影野夜月「でも今後どうやって話しかければ・・・」
赤城「俺がアドバイスしてやろう」
如月天音「え、君にできるわけ」
影野夜月「わぁいいんですか!?」
赤城「あぁ、ただし条件がある。呑むか？」
如月天音「で、弟子くん、知らない人からの条件は呑まない方が・・・」
影野夜月「呑みます！」
赤城「よろしい」
如月天音「弟子くーん!!」
　　つづく🍅