事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

6月9日 退去 #シナリオ(脚本)

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〇中規模マンション

〇部屋の前
妹「誰も協力してくれなかったの?」
  梓は疲れた顔で、小さく頷きました
梓「まともにとりあってもらえなかったよ」
  目論見は失敗しました
妹「そりゃ事故物件の印象は最悪かもだけど、それをなんとかしようっていうんだよ? 全く相手にされないなんて」
梓「そのさ・・・事故物件を何とかしようっていうこと自体は耳を傾けてくれる人もいたんだよ。でも」
妹「でも?」
梓「みんな、お兄さんを見た途端、凄い嫌な顔して追い返してきた」
妹「うちの兄がなにか粗相でも・・・?」
妹(思い当たる節が多すぎる)
梓「それが・・・急に生理的に無理になったとか、妙にむかつくとか、ウザいとかで」
妹「なにゆえ?!」
梓「編集長さんの見解だと、生霊を無理やり論破したことが住人たちの潜在意識に苦手意識を植え付けたとかで」
妹「兄がなんか申し訳ない!」
  まさか他所様の潜在意識にまで迷惑をかけているとは思いませんでした
妹「こうなると、この作戦は失敗・・・?」
梓「友達に頼む?」
妹「ダメだよ。このマンションに近い人のイメージが変わらないと、いずれ悪い方へ変質しちゃうんだって」
妹「どうしよう?」
  何も出来なくても、時間はすぐに過ぎてしまいます
( ´∀`)「引っ越し業者が来たぞー」
妹「間に合わなかった・・・」
  あっという間に退去の時が訪れました
妹「ここに来た時はすぐにでも出ていきたかったのに、今はやり残したことがあって残りたいなんてね」
( ´∀`)「なんだ、お前も残りたかったのか。そうだよな、住んでるだけで金を貰えるなんて、おいしいバイトだったものな」
  兄もまた残りたいと言ってます。この人の場合はただ無神経ですけど
妹「はぁ・・・じゃあ、いこうか」

〇マンションの共用廊下
  廊下にでると、狙ったようにエレベーターの到着を知らせる音が聞こえました
( ´∀`)「俺は業者の立ち合いがあるから、先に行っててくれ」
妹「了解」

〇エレベーターの中
  エレベーターの扉が開くと、ひんやりとした空気が流れてきます。中ではお姉さんが微笑んで待っていました
  私はエレベーターに乗り、梓は階段で一階へ向かいます
妹「パッチワークの子は?」
女性「ずっと眠っているわ。動かす人がいなければ、舞台装置は働かないもの」
妹「つまり事故物件のイメージがすごく弱まっているってこと?」
女性「ええ。私もあなた達を送ったら、次の入居者が来るまで眠るわ」
妹「そっか」
  私の胸はチクンと痛みました
  彼女たちもあるべき場所へ送ってあげたい。あの子のように・・・
  気付けば、そんな思いが溢れていたから
妹「色々あったけど、今はお化けも少し怖くなくなったよ」
女性「命を脅かすのに?」
妹「そういうのは人間とかお化けとか関係なく怖いよ」
  お姉さんの悪戯な問いかけに、私は笑って答えました
  それから少しの沈黙があって、エレベーターは一階へ着きました
女性「ご退去おめでとうございます」
妹「ありがとう」

〇マンションのエントランス
  梓が着いてから、私達はマンションの外へ出ました
  いつもより眩しい光が目に入ります
  最後にマンションを振り返れば、たくさんの人が、物珍しそうに私を見ていました
妹「あんなにじろじろ見て。そんなに退去が珍しいか」
梓「・・・見るって? 誰もいないけど?」
  梓は青ざめた顔で聞き返してきました。本当に誰もいなさそう
妹「じゃあ、あれ全部お化けか」
梓「ちょっ! そういうの言わなくていいから」
妹「まさか、まだあんなにマンションにいたとは。と、いうか梓は何も視えないの?」
梓「お化けなんて見えるわけないじゃん!」
妹「いや、お化けの出す黒いモヤとか」
梓「このところ消えてるよ。小さいぼんやりしたのはたまに見かけるけど」
妹「じゃあ、害のないお化けが残ってるだけか」
  ざっと見回しても、マンションの住人と同じくらいいるんじゃないでしょうか
妹「ふむ・・・?」
  その時、私の頭の中で色々なものが繋がった気がしました
妹「これだ!」
梓「きゅ、急に叫んでどうしたの?」
妹「お化けに協力してもらおう!」
梓「・・・え?」
妹「まあ、あの人たちもマンションの住人みたいなものだから」
妹「そして、彼らと会話できる人も、うちにはいるわけだからね」

〇マンションの非常階段
  私は階段を駆け上り、兄の元へと急ぎました

〇マンションの共用廊下
妹「お兄ちゃん、手伝って!」

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