事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

6月8日 空想の屍体 #シナリオ(脚本)

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〇中規模マンション
  桜の樹の下には屍体が埋まっている
  桜の神秘的な美しさは、屍体という養分が作り出している
  幸せの下にも屍体が埋まっている
  目の眩むほどの幸せを支えるのは、たくさんの不幸なのだから
  そんな歪な妄想が引き寄せたのがエレベーターのお姉さんと、パッチワークの子
  舞台装置の屍体は、たくさんの不幸を映してきました
  けど、私はこう考えてしまうのです。行き場のない彼女たちもまた、不幸な存在だと

〇マンションの共用廊下
妹「それでね、色々と聞いて回ったんだけど、あなた達は現象?に近いんだって」
  私は編集長や霊能者の子に教えてもらった情報を、お姉さんに教えます
妹「昔はそういうのに名前と形を与えて、理解できるものに落とし込めていたんだって」
女性「妖怪と同じ、抽象から具象のプロセスね。確かにそれなら私も形を得る事ができるわ。でも──」
妹「長い時間とたくさんの人の認知が必要 ・・・でしょ?」
女性「そうよ。それにね、もしその認知が悪意に傾いたら」
女性「私は悪意ある死神に変わってしまうわよ」
妹「そうしたらきっと、致死率666%の事故物件とかになりそう」
  私はお姉さんにからかいの笑みを向けます。でもお姉さんは変わらぬ微笑を浮かべるだけでした
女性「あなたの優しさだけで満足よ」
  彼女はそう言って身をひるがえすと、エレベーターの扉が開きます。中からは湿り気のある冷たい風が吹き抜けました
女性「私はどこから来たかもしれない屍体。事故物件を動かす舞台装置」
女性「このままが美しいのよ」
  彼女の最期の言葉が、切なげに聞こえたのは、私の思い込みだったのでしょうか?

〇女性の部屋
妹「まあ普通にやれば、失敗するのは目に見えているものね」
梓「今までが今までだからね。認知を集めたところで悪いのしかでないでしょ」
妹「お姉さんは事故物件の看板娘だし。難しいのは分かってるよ」
梓「じゃあ、何もしないの?」
妹「そんなわけないでしょ」
  悪いイメージが蔓延するなら、新しく良いイメージで上書きしてしまえばいいのです
  私は懐から、瓶に入れた絵の具を取り出します
妹「まず彼女たちの魂を定着させる方法は解決済み。これを使えばいいんだって」
梓「トリックアートから作った絵の具か」
  兄を助ける為、曰く付きのトリックアートから作った絵の具です
妹「これを使って絵を描けば、短時間で魂が定着する器になるんだって」
妹「ただし、色んな人から一筆ずつ、良い感情を込めて塗ってもらうことが絶対条件」
梓「悪いのが混ざったら?」
妹「いつかの九相図みたいになっちゃう」
妹「結局、みんなの気持ちを変えないとならんのかい!」
梓「なにか、手はあるの?」
妹「まあ、正直使いたくはなかったけど。背に腹は代えられぬ」
妹「と、いうわけでお兄ちゃん!」
( ´∀`)「呼んだか?」
妹「こちらが生霊すら強引に論破した兄です」
梓「結局、そこに行きつくんだね」
  生霊を論破した兄は、住人の潜在意識にダイレクトに働きかけるそうです。つまり今なら一時的にでも悪いイメージを払拭できるそう
妹「住人の説得はお兄ちゃんに任せるよ」
( ´∀`)「俺は退去の準備で忙しいんだが・・・」
妹「私はお姉さんの絵を頑張るよ」
( ´∀`)「いや、お前も引っ越しの準備を頑張れよ」
  こうして私達はロンダリングバイト、最後の仕上げに取り掛かるのでした

次のエピソード:6月9日 退去 #シナリオ

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