事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

5月28日 落とし物 #シナリオ(脚本)

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〇中規模マンション

〇高層マンションの一室
妹「お兄ちゃん、洗濯ものはちゃんと洗濯機にいれておいてよ」
( ´∀`)「おう、頼むわ」
妹「頼むわじゃないよ、まったく」
妹「うちの兄は感性なくした甲斐性なし 今日も完成しない原稿、小説書く相性なし」
妹「ん?」
  兄の脱ぎ散らかした衣類に紛れて、見知らぬハンカチが落ちてました。年配の女性向けの派手な色合いのハンカチです
  私や兄のものではありません。うちに来るのはあとは編集長くらいですが、あの人はハンカチもってません
  つまりまた怪奇現象の類でしょう
妹「こういうのは見なかったふりをするに限る」
( ´∀`)「派手なハンカチだな。誰のだ?」
妹「って、なんでここで反応するの!?」
  せっかく私がスルーしたのを、兄がすかさず拾いました。普段動かないくせに、全力でオウンゴールを決めにかかりました
( ´∀`)「ずいぶん派手で樟脳臭いな」
妹「どこかの家の洗濯ものが紛れ込んだんじゃない? マンションの共用部に置いておいたほうが」
( ´∀`)「何か包んでるな」
妹「人の話聞いてる?」
  兄は気にせずハンカチを開きます。すると何やら白くて小さなものがたくさんありました。歪に尖ったそれは・・・
( ´∀`)「歯だ・・・!」
  それは人の奥歯でした。それも一二本じゃない。二三十本はありそうです。私も兄も、思わすのけぞりました
( ´∀`)「これはまさか・・・!」
妹「言っておくけど、入れ歯じゃないよ」
  このパターンはもう分かってます。先手をとって兄のボケを封じましたが
( ´∀`)「歯茎がないんだから当たり前だろ。これは差し歯と言うんだ」
妹「そういう問題じゃない!」
( ´∀`)「しかし、奥歯ばかりこんなに・・・。間違って同じところばかり買ったのか?」
妹「何巻買ったか覚えてなくて、同じ漫画買うのと違うから」
  そんなやり取りをしていると
  玄関のチャイムが鳴りました。このタイミングで、普段来ない来客です。嫌な予感がします

〇玄関内
  兄が玄関を開けると、背の丸まった老婆が佇んでいました。強烈な樟脳の臭いがうちに流れ込んできます
老婆「返せ・・・歯を返せ・・・!」
  老婆は恨めしさ溢れる低い声を震わせます。敵意に満ちたその声を聞くだけで、体温を奪われるようでした
( ´∀`)「あぁ、あんたのか。持ち主見つかってよかったよ」
  兄はそう言ってハンカチを差し出しますが、老婆は首を振って、受け取ろうとしませんでした
老婆「足りない」
( ´∀`)「え?」
老婆「足りない。お前の歯をよこせ!」
  突如、襲いかかる老婆を前に兄は──
  カウンターをお見舞いしました
老婆「げふぅっ!」
妹「老人相手になにやってるの?!」
( ´∀`)「こんな凶悪なババア、どう考えても妖怪だろ!」
妹「まあそうだろうけど」
妹(でも普通、老人を躊躇いなく殴らないのでは)
( ´∀`)「しかし、妖怪なんてどうしたものか。警察に送るわけにもいかないし」
妹「・・・あの世タクシーに頼もう」
( ´∀`)「おいおい、さすがにタクシーだって妖怪の留置場なんて知るわけ──」
妹「やってみて!」
( ´∀`)「お、おう・・・」
  兄が携帯電話で連絡すると、時間を置かずに一台の車の音が近づいてきました。マンションの最上階だというのにお構いなしです
  車のドアが開く音がすると、老婆の姿は一度陽炎のようにゆらめいてから、すっと消えました
  最期にドアが閉まる音。そして、車の走り去る音が聞こえました
( ´∀`)「まさかタクシーが妖怪まで送ってくれるとは思わなかったぜ」
妹「そういうタクシーもあるんだよ」
  そう、あれはお化けをあの世に送ってくれるタクシー。私は、兄が押した番号をしっかりと記憶に刻み込んだのでした

次のエピソード:5月29日 視界の端

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