事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

5月22日 どこにいるの?(脚本)

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〇中規模マンション

〇女性の部屋
  今日はいつになく、騒がしい夜でした
  外の壁を、何かがガリッ・・・、ガリッ・・・と、爪で引っ掻く音が続いていました
  怖いので窓を閉めきっています。普段なら熱がこもって暑いのに、今日は妙に肌寒くさえありました
  よりによって兄が留守のときにこれです
妹(私一人のときは、もう少し手加減してもらいたいのに)
  ガリッ・・・ ガリッ・・・ ガガッ!
  時折、力強く変調を入れ、存在をアピールする爪の音。怖すぎです
  こんなのが朝まで続くのでしょうか? とてもじゃありませんが耐える自信はありません
妹「ああ、もう! お兄ちゃん、なんとかして!」
  私はたまらず、兄に電話をかけました
  数度の呼び出しの後、出たのは聞きなれた友人の声でした
電話「どうしたの?」
妹「あれ、梓?」
妹(間違えて梓にかけちゃった?)
電話「何かあったの?」
妹「あー、うん。いつもの怪奇現象。お兄ちゃんにかけたつもりが、間違えてかけちゃったみたい。ごめんね」
電話「お兄さん、留守なの? ちょっと待ってて、そっちに行くから!」
妹「ちょ、ちょちょっと! うちがどういう所か知ってるでしょ?」
  致死率150%の事故物件。訪問するだけなら問題ないらしいですが
  それでもお化けが苦手な梓にとってはハードルが高跳びくらいに高い難所です。なのに梓は「心配だから」と言い切りました
妹「ありがたや~」
電話「家はどこだっけ?」
妹「隣のマンションの最上階だよ。忘れたの?」
電話「ちゃんと聞いたこと無かったから」
妹(教えてなかったっけ?)
  事故物件を怖がるので、ちゃんと教えた覚えがないような気もします
電話「うん、見えた。今からいくから、ちょっと待ってて」
妹「見えた? 隣なのに?」
  彼女の言葉はどこか不自然に感じました
妹「どこかに出かけてるの?」
電話「今、四辻を越えたところ。もう少し待っててね」
妹「四辻? 旧道じゃん。なんでそんなところ通ってるの?」
電話「今、公園についたよ。あと少し、待ってて」
  マンションの前の公園。夜は人気がなく、梓は窓から見るのも怖いと言っていました
  私はぎゅっと心臓を掴まれたような痛みを感じました。乱れた呼吸を自然になるよう振る舞いんがら、彼女に問いかけます
妹「ねえ、今、マンションはどんなふうに見える?」
電話「特に変なところはないよ」
妹(違う。梓じゃない)
  梓はいつもマンションに黒いモヤがかかっているのを視ています。変なところがないなんていうわけありません
  私はそっと窓の外から下の様子を伺うと、人の形をした黒いモヤがこちらに向かって歩いているのが見えました
  それはこちらに気付いてか、大きく手を振っていました
  私は電話を切るが早いか、家中の鍵を全て締め、部屋に閉じこもりました
  電話はいつまでも鳴り響きます
  コツ、コツ・・・コツ! だんだんと足音が近づいてきます
「開けて! 中に入れて!」
  梓の声で、梓以外の何かが扉を叩きます
妹(怖い怖い怖い! 早く帰って!)
  ベッドに潜り、人形を抱いて、それが立ち去るのを待ち続けていると
「ねえ、開けてよ」
  窓から声がしました。ここマンションの最上階なのに
妹(怖いってば!)
  ガリッ・・・ガリッ!
「え?」
  不意に、今まで忘れていた壁を引っ掻く音が大きくなって
「がああぁぁぁ!! あ、開け! 開けて、助け・・・!」
  梓とは別の叫び声が響き渡りました。断末魔の絶叫
  壁を引っ掻いていた何かに襲われたのでしょうか?
  ガリッ・・・ガリッ・・・!
  壁を引っ掻く爪の音は、何事もなかったかのように響き続けました
妹「どっちにしても、私、怖いままなんだけど?!」

〇中規模マンション
  兄が帰ってきたのは、私が寝たあとでした

次のエピソード:5月23日 兄の一日

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