5月19日 生霊 #シナリオ(脚本)
〇レトロ喫茶
妹「あそこにいるのは本当に幽霊なのか?」
妹「あのお姉さんは、幽霊にしてはやけにコミュニケーションしやすかったり、肌艶が生き生きしてたりするのだよ」
妹「だけど、普通の幽霊はこう! というのは分からない。そこで霊能力者の彼女にお越しいただきました」
妹「はい、拍手」
霊能力者「あくまで霊について教えるだけだからね。あのマンションには一切関わらないからね」
妹「それでいいから。お願い、分かることだけでいいから教えて。強い霊能力者のリアルな話が聞きたいの」
霊能力者「ま、まあ、頼られた以上、断る訳にもいかないからね」
妹(この子、やっぱりおだてに弱い!)
偽物はやたらと霊能力を自慢してましたから、自信家だと思ってました。こういうタイプは認めてくれる相手に弱いんですよね
霊能力者「そうね、まずはベーシックに怨霊」
霊能力者「強い感情で恨みなどの目的を達しようとし続けている霊。目的達成の過程で無関係の人に迷惑かける猪突猛進型」
妹「田中さん?は、恨みではないけど、指輪を探し続けていたよ」
霊能力者「その人、死んだとき婚約者から貰った指輪を失くして探し続けているね。現世を彷徨ってるうち、土地に引き寄せられたんだね」
妹「そうだったんだ」
梓(田中さん?って誰?)
霊能力者「悪霊 その名の如く、悪い霊。目的とかはなく、ただ悪意のままに振舞うことが生きがいのヤンキー。あなたの見た排水溝の幽霊ね」
妹「あれかー。どうりで嫌な感じするわけだ」
梓(だから、なんの話?)
霊能力者「地縛霊 死んだ場所に残り続ける霊。悪意ある霊だと、その土地を不浄の地に変えて、悪霊の吹き溜まりにしてしまうわ」
妹「それじゃ、あの事故物件の元凶は地縛霊?」
霊能力者「違うわ。地縛霊はいるけど、全員マンションで死んだ人ね。お隣さんとか、飛び降りる人とか、夜中に徘徊してる人とか」
霊能力者「彼らはいまだに魂を囚われてるのよ」
梓(だから、なんで話してもない幽霊のこと知ってるの?!)
霊能力者「動物霊 人間以外の動物の霊。人間より動物の霊の方が強いことが多いわ。夜中にマンションの外を何かはい回ってない?」
妹「ヴェノムって動物霊だったの?!」
霊能力者「あれは動物霊が何体もの悪霊を取り込んだものね。まあ、変にちょっかいかけなければ、何もしてこないわよ」
梓(幽霊取り込んでるのはスルーでいいの?)
霊能力者「守護霊 特定の人を守る善霊。守護してくれる霊なら人でも動物でも守護霊ね。過去の住人に、なにこれ? 神格に守護られてる?!」
妹「田中さんだね。なんか凄い強いのがいるって言われたって」
霊能力者「レベルが違いすぎる。自信失くすわー」
梓「・・・あのさ、人の姿を真似る幽霊は?」
霊能力者「霊聴 霊のメッセージを聞くこと。神格からのメッセージならいいけど、大抵は浮遊霊の悪戯や、悪霊が他人に成りすましよ」
妹「停電のときのあれか」
霊能力者「でも、大抵は声だけよ。それが姿を真似て、コミュニケーションまでとれる? なんなの、あれ?」
霊能力者「あんな複雑で空っぽな生霊、見たことない!」
妹「生霊?」
生霊
確か、それは生きている人の霊・・・というか思念。本人の意志とは関係なく、本人の願いを叶えようとする厄介な働き者
無意識から生まれた存在ゆえ、善悪の基準がなく、悪霊よりたちが悪いとも
霊能力者「ごめん、調子悪いから、今日はここまでにして」
妹「あ、うん。色々教えてくれて、ありがとね」
〇中規模マンション
霊感のある彼女の視たもの、感情を色として視る梓が視たもの
そして複雑で空っぽな生霊
あの事故物件の正体に、少し近づいた気がしました