5月17日 天井(脚本)
〇中規模マンション
〇高層マンションの一室
妹「天井裏から音がする」
小さくダダっと走る音は、小人とかでなく、小動物のものでしょう
妹「こんな事故物件にも住める野生の偉大さよ」
だからという訳ではありませんが、私はそれを特に気にかけませんでしたが
そんな甘いことを言ってられない事態はすぐ訪れるのでした
〇女性の部屋
ある夜、天井裏から聞こえる、運動会で目が覚めました
いつになく激しく、ドタドタ、バタバタ、ズルズルっと音が繰り替えされます
妹「ズルズル?」
かなり大きなものが這いずる音でした
ずっ・・・
ずるっ、ずるっ!
妹(天井の上を、何か這ってる?!)
天井がミシッ、ミシッと軋む音が、それの大きさを表しています
私は言葉もなくして、その夜は人形と一緒にベッドの下に避難するのでした
〇中規模マンション
翌朝
〇高層マンションの一室
( ´∀`)「でかい蛇?」
妹「ニュースとかでやってるでしょ! 大きな蛇が逃げ出したって。たぶん、あんなのがいるんだと思う」
昨日の這いずる音を、私は蛇だと断定し、兄に報告しました
( ´∀`)「まあ、なんか走り回るのは知ってるけど。いくらなんでも蛇って。せいぜい天井嘗じゃねぇの?」
妹「天井嘗のほうがレアだよ。普通、そんなのいないよ」
( ´∀`)「いや、ここならそういうのもいそうだし。なんなら、蛇も事故物件のパワーで勝手に駆除されるんじゃね?」
妹「屋根裏のお化けVSでかい蛇!」
蛇って妖怪要素もあるから、事故物件と激しい戦いを繰り広げそう。ちょっと見てみたい・・・
妹「いやいや、勝ったほうと、決勝戦やることになったらどうするの?!」
( ´∀`)「・・・実はこの前、冷蔵庫の中から、いつ買ったのか分からない卵が見つかってな」
妹「うん?」
( ´∀`)「勝者にこれを食わせて見たらどうだろう?」
妹「真面目な顔で馬鹿な事言ってないで、早く駆除業者を呼んでよ」
( ´∀`)「分かったよ。大家に頼んでおくよ」
〇中規模マンション
数日後──
〇高層マンションの一室
妹「何もしないで帰った?」
( ´∀`)「屋根裏を見るなり、血相変えてな。なんか自分達の仕事じゃないって言って」
( ´∀`)「で、代わりに警察が来た」
妹「またなんかやったの?」
( ´∀`)「俺じゃねぇよ!」
( ´∀`)「業者が呼んだらしい。で、警察が屋根裏を調べたらさ」
妹「調べたら?」
( ´∀`)「女のミイラが見つかった」
〇地下広場
ミイラは、推定二三年前に亡くなった四五十代の女性
浮浪者が屋根裏に住み着き、家人の留守の間に食料を盗んで、生活をしていたと思われる
足に酷い傷跡が残っており、生活する中で足を傷め、下に降りれなくなった可能性が高い
胃の内容物から小動物や昆虫を検出しており、足を傷めてからは、やむなく小動物を取って食べていた
そこから病に感染し、そのまま亡くなったというのが警察の見解だ
〇高層マンションの一室
妹「けど、最近の物音は? 二三年前に亡くなってるんでしょ?」
( ´∀`)「現場に残る小動物の死骸や、爪痕、這った跡は、最近のものだというんだ」
妹「それじゃあ、まさか・・・」
( ´∀`)「やはり、天井嘗がいたんじゃないか?!」
妹「あー、うん。それでいいや」
妖怪は、良く分からない現象を説明するための受け皿といいます。今回もその役割を担ってもらおうと思います
妹(ミイラが動くよりは、まだ可愛げがあるものね)