〇中規模マンション

〇高層マンションの一室
( ´∀｀)「出来ることなら、こいつは使いたくなかったが・・・」
妹「もう諦めてよ。ここで使わなければ、もっと大変なことになるんだよ？」
　　どちらに転んでも痛手しかないシーソーゲーム。なら、選ぶべきはダメージの少ない方しかありません
( ´∀｀)「ちくしょうが！」
　　ウィーン！　と音をたて、エアコンが起動すると、冷たい風が吹き抜けます
妹「はぁ～、涼しい」
　　ここ数日、夏日が続いたこともあり、我が家のエアコンも稼働することになりました
( ´∀｀)「電気代が！　電気代が！」
妹「熱中症で倒れるよりはいいでしょ」
　　電気代を渋る兄のせいで、エアコンをつけるのがこんなにも遅くなってしまいました
　　しかし、それは今までエアコンをつけていなかったということで──
　　ガガガッ!!
　　急にエアコンから異音が響き、ガタガタと揺れ動きました。兄はすぐに電源を切ります
妹「何？　故障？」
( ´∀｀)「ちょっと見てみる」
　　兄は椅子を踏み台に、エアコンに手を伸ばしてカバーを外します。中には驚くべき光景が広がっていました
妹「うっ・・・」
　　フィルターに髪の毛が絡まっていました。色の悪い海苔が貼ってあるかのように、びっしりと、隙間なく絡まっています
妹「まさか、こんな・・・」
( ´∀｀)「どんだけ掃除してなかったんだよ」
妹「そういうのじゃないと思うけど？」
　　兄はフィルターから髪の毛を取り除こうと引っ張りますが、目に絡まってるのか、なかなか取れずにいます
( ´∀｀)「だぁー、面倒くせぇ！」
　　そうしていると、エアコンの方から、べちゃっ！　と、湿った何かが落ちる、嫌な音がしました
　　何かと思えば、エアコンの下に人の頭ほどもある髪の毛の塊が落ちていました。中に溜まってたのが落ちたのでしょうか？
( ´∀｀)「なんだこりゃ」
　　兄がフィルターから髪の毛がとってゆくと、中から別のモノが明らかになってゆきました
　　御札です。これまたびっしりとはりつけてあります
妹（これはつまり、御札でエアコンの中の何かを封印してた？　なのに、それを外しちゃった？）
　　おそらくは封印されていたものとは、エアコンの下に落ちたアレでしょうか
　　もぞもぞと蠢く姿はたくさんの芋虫が暴れているようで、髪の毛自体の気味悪さと相まって、ひどい生理的嫌悪感に襲われます
妹「お兄ちゃん、あれ・・・」
( ´∀｀)「あぁ、分かってる」
　　兄は困惑の表情を見せつつも、それに近づき──
　　掃除機で吸いました
( ´∀｀)「おお！　ちゃんと吸い込めたぞ。さすがの吸引力だ」
妹「掃除機で吸えるんだ、それ」
( ´∀｀)「フィルターに着いたのもこれで取れるぞ」
　　フィルターについた御札も、髪の毛も全部吸い取ります。あっという間に綺麗になりました
　　兄はそのままエアコン内部にも掃除機をかけて、綺麗にしました
( ´∀｀)「エアコン汚れすぎだろ。あやうく余計な電力使わされるところだったぜ」
妹「あー、うん。そういえば、ゴーストバスターズもお化けを吸引してるよね」
妹（深く考えるのはやめよう）
　　どうせ答えはでないわけですから
妹「ゴミ捨てパックは外に捨ててね」