〇おしゃれな受付
村瀬氷華「・・・・・・」
ナルオシズム「おっはよ〜氷華ちゃん！今日も綺麗だね〜！」
村瀬氷華「あ、お早うございます・・・」
ナルオシズム「ねぇねぇ！今日こそは２人で食事に行かない？僕ちゃん良い店知ってるんだ！氷華ちゃんもきっと気に入るよ！」
村瀬氷華「申し訳ありません、私今日の夜予定がありますので・・・」
ナルオシズム「良いじゃんかよ〜！そんな風に功を詰め過ぎてると身が持たないよ〜！」
氷室聡「・・・またこの光景か・・・女の子口説くのって、そんなに楽しいのかね・・・」
　　俺は氷室聡。株式会社夏目に所属している会社員だ。朝っぱらから先輩のナルオさんが、受付嬢を口説いてる光景を見て、
　　俺は只々呆れていた。言うも何も、ナルオさんが口説いてる相手はこの会社のマドンナ、村瀬氷華さんだ。彼女は仕事一筋で、
　　容姿端麗の為に良く男に言い寄られているが、彼女は全てスルーしている。その光景を何度も見せられてるので、
　　俺は彼女には必要最低限しか話した事が無い。
氷室聡「ナルオさん、ここに来る意味分かってるのかね・・・」
氷室聡「あの、お早うございます・・・」
ナルオシズム「あん？何だお前か、僕ちゃんは今取込み中だ・・・邪魔をするな！」
氷室聡「ナルオさん、今何時だと思ってるんですか？遅刻したら、部長達に怒られますよ？」
ナルオシズム「ああん？部長達が怖くて会社になんて行くかよ！」
氷室聡「はいはい分かりました・・・こんな所で油売って無いで、行きますよ？」
ナルオシズム「おい待てって！あぁ！氷華ちゃん！食事の事考えてね！」
村瀬氷華「・・・やっとうるさいのがいなくなった・・・」

〇オフィスのフロア
氷室聡「さて、到着と・・・」
ナルオシズム「氷室、お前後で覚えとけよ？」
氷室聡「え？何をです？」
ナルオシズム「僕ちゃんと氷華ちゃんの時間を台無しにした事だよ！僕ちゃんがここに来る唯一の楽しみだってのに！」
氷室聡「いやいや・・・相手にだって事情はありますし、何より、俺が言うのも難ですが、」
氷室聡「しつこい奴は嫌われるし、優しさや正義の押し売りは良く無いですよ？」
ナルオシズム「はっ、勝手に言ってろ・・・」
崎守ほのか「皆お早う・・・って、一体何の騒ぎ？」
氷室聡「あ、お早うございます、崎守部長・・・」
ナルオシズム「部長、聞いて下さいよ！氷室の奴がまた僕ちゃんの朝のルーティーン邪魔しやがったんですよ！」
崎守ほのか「え？また受付の子を口説いてたの？あなたも懲りないわね・・・今日は落とせたの？」
ナルオシズム「えぇ！今日こそは誘いに乗ってくれそうで！」
氷室聡「（どっからどう見ても失敗する未来しか見えないな・・・）」
崎守ほのか「まぁ口説く口説かないは勝手だけど、ここに来る者として、確り業務には専念してもらうからね・・・もう直ぐプレゼンやるから、」
崎守ほのか「皆何をどうするか確り考えてね・・・」
ナルオシズム「任せて下さい！何てったって僕ちゃんは社長の息子で一流大学の出ですからね！できない事なんて何も無いです！」
氷室聡「はい、良く考えます・・・」
氷室聡「（プレゼンか・・・何しようか全然分からねぇな・・・）」

〇通学路
　　今日の仕事帰り、俺は何をプレゼンしようか考えながら帰路に着いていた。
氷室聡「あれでも無い・・・これでも無い・・・」
氷室聡「あぁ・・・幾ら考えても良いのが思い付かない・・・こう言う時は漫画か何かに手を出すに限るな・・・」
氷室聡「ん？」
村瀬氷華「あれがあぁなるから・・・そしたらこれをこうして・・・」
氷室聡「（あれ？村瀬さん帰り道こっちだったのか？こんな風に帰り道被る事ってあるんだな・・・何をブツブツ言ってるのかな・・・）」
村瀬氷華「そうなるとあっちはパソコンで何とかなるから、その後で・・・」
氷室聡「（あれ？何だあの車？こんな所であんなにスピード出して・・・って！）」
氷室聡「村瀬さん！危ない!!」
村瀬氷華「え？わ、わぁ!!?」
　　突然猛スピードで走って来た車は減速する気配が全く無く、村瀬さんにぶつかると判断した俺はすかさず村瀬さんを庇い、
　　車の突進を避けた。車は壁に激突して燃えている。
氷室聡「あぁ危なかった・・・」
氷室聡「ってマジかよ・・・壁に激突して大惨事じゃねぇか・・・酔っ払い運転でもしてたのか？ともあれ警察と救急車・・・」
氷室聡「後消防隊も呼ばなきゃ・・・」
村瀬氷華「あ、あの・・・」
氷室聡「え？あぁごめん、立てる？」
村瀬氷華「は、はい・・・」
氷室聡「怪我は無い？取り合えず警察と救急車とか呼ぶから、少しだけ付き合って・・・」
　　何がともあれ、俺は立ち上がって彼女の手を取った。幸い怪我こそしなかったが、こうなってしまえば他人のフリはできなかった。
氷室聡「全く何てこった・・・取り合えず電話・・・」
　　目の前の悲惨な状況を目にしながら、俺は警察、救急車、消防隊に連絡を入れてこの場所に来てもらう様に手配する。
氷室聡「全く・・・飲酒運転するならくたばれって話だぜ・・・」
村瀬氷華「あ、あの・・・氷室さん・・・でしたよね？」
氷室聡「え？そうだけど・・・」
村瀬氷華「本当に・・・本当にありがとうございました・・・あなたがいてくれなかったら、私・・・」
氷室聡「お、おう！そりゃ怖かったよな！でもこうして俺ら無事だったから！救急車も時期に来てくれるから、」
氷室聡「村瀬さんも見てもらえ！な!?」
村瀬氷華「う、うわ〜〜!!」
　　その後、警察、救急車、消防隊が到着して事なきを得た。警察からは事情聴取をされ、暫くして開放された。
　　村瀬さんの事は救急隊の人達に任せる事として、俺は自宅へ帰るのだった。
　　尚、あの車の運転手からアルコールの匂いが検知された為、運転手は警察病院に搬送される事となった。