4月25日 換気扇(脚本)
〇中規模マンション
〇おしゃれなキッチン
夕飯の準備のため、換気扇をつけると不思議な匂いが漂ってきました
ほのかで優しいけど主張の強い、甘酸っぱい匂い。何かの花に似ている気がします
( ´∀`)「なんか、いい匂いがするな。花でも飾ったのか?」
匂いにつられて、兄がキッチンへやって来ました
妹「換気扇つけたら匂ってきたの。逆流して外の空気を取り込んでない?」
( ´∀`)「んな馬鹿な」
しかし、換気扇を止めると匂いは収まります
妹「新手の心霊現象とか?」
( ´∀`)「それなら死体の臭いだろ。奴ら自己主張強いから、自分の体臭まき散らかすんだよ。中には線香の匂いで誤魔化すのもいるけど」
妹「じゃあ、この花の匂いは?」
( ´∀`)「換気扇に花でも引っかかってんのか?」
兄はそう言うと、近寄くの椅子を引っ張り出し、踏み台代わりに登って換気扇を外しにかかります
妹「どう?」
( ´∀`)「なんだ、外れないぞ」
換気扇をガタガタと動かしますが、一向に外れる気配はありません
妹「まさか、白い手が換気扇を押さえつけて?!」
( ´∀`)「植物のツルが巻きついてるな。ほら、朝顔とかあんな感じのが、びっしりと」
妹「ハサミ使う?」
( ´∀`)「いや、大家に頼もう。勝手にやって壊したらやばいからな」
後日、業者に取り除いてもらうことになりました
〇中規模マンション
〇おしゃれなキッチン
業者「こいつは危ないところでしたね」
妹「まさか、根が貪婪な蛸のように死体を抱え込んでいたんですか?」
( ´∀`)「なにその怖い発想」
業者「死体じゃなくて、配電盤にツタが絡んでショートの危険性があったんですよ。埃も溜まってたので、早く見つかってよかった」
妹「本当に危ないところだった」
( ´∀`)「でも、こんな植物、どこから来たんだ?」
妹「新手のクリーチャーが仕掛けていったとか?」
業者「妹さん、厨二病ってやつ?」
( ´∀`)「もう高校生になったのに。困ったものです」
妹「ここがそういう物件なだけなんだけど」
業者「動物の糞を種子があったんでしょうね。マンションの中は温かいので、野生動物が棲みついたりするんですよ」
妹「どうやら、今回は本当に幽霊関係ないっぽい?」
業者「はい、これで全部」
換気扇に纏わりついていた草は、山盛りになった緑一色のスパゲッティのようでした。草独特の強烈な青臭さが鼻につきます
換気扇からはもう匂いはしません
業者「では失礼します」
草を取り除いて業者は、帰ってゆきました
妹「ねぇ、あの草、青臭かったね。花もなかったし」
( ´∀`)「それがどうした?」
妹「ううん、なんでもない」