4月22日 仏壇(脚本)
〇中規模マンション
〇おしゃれなキッチン
妹「今日のご飯はトンカツ熱々 お兄ちゃんのお財布いつもカツカツ それでも食費はケチるな、キャベツの千切りザクザク──」
夕食の準備をしているときのことです。足元で板の割れる音がしたと思えば、私はバランスを崩しその場に尻もちをつきました
( ´∀`)「どうした?!」
大きな音に気付いて、兄が居間から顔を見せます
( ´∀`)「何か凄い嫌な音がしたんだが」
妹「まあ、その、そうなんだけど」
私が床板に目を向けると、そこには大きな穴が開いていました。ヒビとかじゃなく、穴。手のひらサイズの穴が開いています
( ´∀`)「おまっ・・・!」
穴を見た兄は、顔色が一気に蒼白になり、何十歳か老けたかのようでした
( ´∀`)「一体、何キロあるんだ、お前は」
妹「失敬な。床板が腐ってたんだよ、きっと」
( ´∀`)「いや、どうみても新しいぞ、その板は」
兄の言う通り、床板は新しいものでした。と、いうより、ここだけ他よりも鮮やかな色をしています
妹「ここだけ違う板で張り替えてない?」
( ´∀`)「言われてみれば、そうだな」
妹「これって、つまり・・・」
( ´∀`)「あぁ、そうだ。これは」
( ´∀`)「手抜き工事だ。うちの責任じゃないぞ」
妹「そういうのじゃなくて、何か張り替える理由があったってことじゃないの?」
人食い冷蔵庫があった場所とは離れていますから、ここでも別の事件もあったのでしょう
排水溝
冷蔵庫
床下 ←New!!
妹(無駄に事件が多いな、このキッチン)
( ´∀`)「穴の中に、何か見えるな」
妹「ちょ、ちょっと、そういうのはそっとしておいたほうが」
( ´∀`)「これは、仏壇?」
兄が床板に手を触れると、またバキッ! と、床板が割れました
穴はたちまち手に平サイズから、腕一本サイズに広がり、中からは強烈な線香の臭いが漂ってきました
穴の中には、黒い光沢のある仏壇が、横倒しになっているのが見えます
( ´∀`)「こここれは、俺の責任じゃなくて、施工業者の手抜きで間違いないよな?」
妹「そだねー」
今日はこれ以上、穴を広げないように板を置いておきました
〇中規模マンション
兄は、大家さんに穴のことを話したところ、大家は業者の手抜き工事だと認めてくれたそうです。翌日には、業者が訪れました
〇おしゃれなキッチン
業者が床板を剥がすと、床下収納がでてきました。そこへ仏壇を横倒しに入れて、床板で塞いでいたのです
妹「なんでこんなところに仏壇を・・・」
( ´∀`)「都会の収納事情ってやつだろ。都会の人間は狭い土地をいかに有効活用するか、必死だからな」
妹「絶対違うよ?」
業者は仏壇を収納していることに何ら疑問を見せず、黙々と作業をこなしてゆきます
彼らとまともに話したのは三回だけ。作業を始めるときと、帰る時の挨拶。そして、作業を終えた時
業者「これでまた一年は大丈夫ですよ」
これだけでした
妹(一年か・・・)
私は昨日、塞いでおいた板を眺めます
そこには何かの爪痕がびっしりとついていました
妹(一年、もつのかな?)