4月21日 落書き(脚本)
〇中規模マンション
〇女性の部屋
春にしては暑い昼に対し、今度は春にしては少し冷えた夜のことです
「ぎゃあああ!」
部屋の外から汚い悲鳴が響き渡りました
私は手にした人形をベッドに寝かせ、重い腰を持ち上げ、部屋を出て様子を見に行きました
〇部屋の前
妹「どうしたの?」
兄は顔面蒼白で、廊下の壁の下側、足元の方を指さしていました。そこにはクレヨンで書いた落書きがありました
妹「これは・・・」
妹「とても抽象的で、かつ大胆なタッチ。荒々しくも、迷いのない力強さがありますな。なかなか前衛的な作品だね」
( ´∀`)「そうじゃねぇだろ! どこのクソガキの仕業だよ」
この家には私と兄しかいないので、落書きは第三者のもので間違いありません
そして、この家での第三者とは、人間ではありません
妹「まあ、お化けなんだろうけど。描き方といい、低いところに描いてることといい、小さい子供のお化けだよね。可愛いもんだよ」
今までの殺意満々な面々に比べたら、大したことはありません
( ´∀`)「はぁ?! 極悪だろうが、こんな奴!」
いつもと逆に、兄が激しく狼狽えます
( ´∀`)「クレヨンの落書きって、なんでこんなに落ちないんだよ! 壁に跡が残ったらどうすんだ、ちくしょう」
妹「油性のオイルクレヨンなら、食器用洗剤で綺麗になるよ」
( ´∀`)「マジか?」
兄は雑巾を放り出し、台所でスポンジと食器用洗剤をとってきて、壁をゴシゴシと磨きます。すると落書きはすぐに消えました
妹「この程度の悪戯をするお化けなら、大して怖くないんだけど」
この時は、そう思ってました
〇部屋の前
しかし、翌日
( ´∀`)「また落書きが!」
また同じ場所に落書きがしてありました
兄はまた落書きを消しますが
〇部屋の前
そのまた次の日
( ´∀`)「くそが!」
また落書きがありました
( ´∀`)「くくくっ、俺を本気で怒らせたな。どうなっても知らねぇぞ!」
兄は負けイベントに入った悪役のような台詞をはくと、部屋から段ボール箱を持ってきました
その大きさは人一人なら何とか入れそうなほど
妹「まさか中に入る気?」
( ´∀`)「いや、さすがに俺は無理だよ」
妹「まあ、そうだよね」
( ´∀`)「だからお前が入ってくれ」
妹「嫌だけど?」
〇黒
「犯人を見たら、すぐにスマホにかけるんだぞ」
妹「むすー」
結局、私は段ボールに梱包されました
それからしばらくは何事もなく過ぎ
退屈していると・・・
ずずっ、ずずっ・・・ずずぅー!
何か、床を引きずる音が、段ボールの横を通りすぎました
外を見る為の穴は前にしかつけておらず、その姿を確認することは出来ません
ただ、なんというか、その音を聞いた瞬間、背中に冷水をかけられたような悪寒が走りました
ガリ、ガリ、ガリ・・・
壁にクレヨンで落書きをする音が聞こえます。でも、私はその姿は見れません
私はそのまま段ボールの中で、音が止むまで耳を塞いで震えていました
〇部屋の前
後日、廊下にマキビシが撒かれ、それからは落書きはされていません
( ´∀`)「やはりマキビシは万能だな。俺達も踏み入れないわけだが」
妹「そだねー」
低い場所に落書きをしてあったから、犯人は子供だと思ってました。けど、あれは、あの引きずる音は、もっと大きなものでした
妹(あれは何かが、這う音だった)
あの落書きを描いていたのは、一体、なんだったのでしょうか
ずっと酷暑でつらいですね!!
涼しくなりたくて読みに来ました!
恐怖だけでなく笑いが多いので、涼しむよりもホットになりますねww