4月17日 不幸の手紙(脚本)
〇中規模マンション
〇高層マンションの一室
今日、届いた郵便物の中に、それは紛れていました
『受け取ってから四日以内に四十四人に同じ文面の手紙を出してください。出さないと不幸になります』
俗にいう不幸の手紙です
妹「うちにくるのだから、『四時間以内に九十九人に手紙を出せ』とか言うのかが来るかと思ったけど、案外普通だね」
( ´∀`)「全国制覇のタイムアタックでもしてるのかよ」
妹「一日で全国制覇出来そう」
( ´∀`)「残念ながら、その夢はここで断たれるがな」
兄はそういうと、手紙を破こうとします。それを見て、私は思わず手を伸ばしてしまいました
妹「あああー」
( ´∀`)「なんだ、全国制覇を諦められないか?」
妹「そういうわけじゃないけど」
ただの悪戯だと思うし、出すべきじゃないことも分かってます
でも、兄のようにまるっきり信じないこともできないのです
( ´∀`)「あのなぁ、よく考えてみろ」
( ´∀`)「お前が四十四人に手紙を送ったとして、それでお前は幸せか? お前は幸せになれないし、四十四人も不幸にするだけだろ?」
妹「わかってるよ」
頭で分かっています。でもやはり人に言われるとショックが違います。残念ながら、今回ばかりは兄が正しい──
( ´∀`)「手紙だって切ってだってタダじゃないんだ。四十四人に出したら、いくらになると思うんだよ」
妹「うん?」
( ´∀`)「いいか。この手紙を広めて喜ぶのは、全国制覇を狙うやつと、郵便局員だけだ。人の金で自分の懐潤すクソ野郎に加担するんじゃねぇ」
兄の言う事はやはり正しくない。たまにはいいこと言えないのかな
妹「でも、お兄ちゃんの言うことも一理あるといえなくもなくもないね」
これを出して喜ぶのは、犯人と郵便局員だけ。それに加担するのはいかがなものか? 答えは言うまでもありません
( ´∀`)「じゃあ破いて捨てるか」
妹「いやいやいや、こういうのはやっぱり、神社とかでお祓いしてもらったほうがいいんじゃないかな」
( ´∀`)「まあ別に構わないが」
兄は神社に、不幸の手紙のお祓いをお願いしました
( ´∀`)「五日後の午後に来てくれってさ」
妹「間に合わないけど? 期限は四日後だけど?」
( ´∀`)「塩漬けにすれば、期限を伸ばせるんじゃないか?」
妹「ナマモノじゃないんだからと言いたいけど、お祓い的には効果ありそう」
妹(なんか悔しいけど)
こうして不幸の手紙は塩漬けされました
〇中規模マンション
それから五日後──
〇神社の本殿
塩漬けされた手紙は、無事、神社に納められましたが
そこで私達は、不幸の手紙に隠された真実を知ってしまいました
神主「これ、差出人の名前が書いてありますね」
妹「え?」
妹「ええぇぇぇ?!」
不幸に意識がいって、全く気付きませんでした
〇中規模マンション
差出人は同じマンションに住む学生でした。怖くて、マンションの住人に手当たり次第にだしたそうです
幽霊が手紙を出す訳ないものね