4月6日 写真(脚本)
〇中規模マンション
〇女性の部屋
妹「朝昼晩で、激しい寒暖差 クローゼットの中身はなんなんだ お化けが出そうで散々さ」
暑かったり寒かったりする日が続いたため、私はクローゼットの整理をしました。冬物の服と春物の服を、半分くらい交換します
妹(まだまだ気温差の激しい日が続きそうだものね)
妹「ん?」
ふと、衣類の底から一枚の紙が出てきました。防虫剤ではありません。これはメモ?
妹「まさか、この家を脱出するためのヒントの書かれたメモが、私にも?」
この事故物件、唯一の生存者である田中さんは、守護霊の用意した一枚のメモによって危機を脱したと聞いています
私の元にも強力な守護霊が配置換えされてきたのでしょうか? これはその初仕事なのでしょうか?
妹「ごくり」
私は恐る恐る、メモに目を通します。なんと、そこには──
いけにえ、あとさんにん
妹「ハズレじゃん」
残念ながら、SSSレア守護霊は引けなかったみたいです
〇高層マンションの一室
妹「お兄ちゃん、生贄3人分用意して」
( ´∀`)「何を言ってるんだ、お前は」
兄に困惑されてしまいました。この家も長いのだから、少しは行間を読んで貰いたいとこです
妹「こんなのがクローゼットに入ってたの」
( ´∀`)「メモ?」
私がクローゼットから取り出したメモを差し出すと、兄はそれを受け取り、しげしげと眺めます
( ´∀`)「裏に写真? いや、逆か。写真の裏にメモを取ったのか」
兄に言われ、私もそれをのぞき込みます。メモの内容に気をとられ、よく確認してませんでしたが、確かにそれは写真でした
写真は茶色く色あせていましたが、情景ははっきりと見えます。人の顔みたいな岩肌が露になった丘を背にして、男性が立っています
男性は体格の良い40~50代、半袖の肌着に厚手のパンツという労働者スタイルで、にこやかな笑顔を見せています
脇には男性の肩くらいの質素な鳥居があります。彼の手作りでしょうか
足元には小さな看板があり『○○様(達筆過ぎて読めない)』と書いてありました
妹「なにこれ?」
( ´∀`)「土着信仰じゃねぇの? 手作りで鳥居を作って、生贄を置くみたいな」
妹「それであと三人、生贄が欲しかったと」
( ´∀`)「そんな感じだな。まあ、本当に生贄なんて用意するわけないだろうから」
そういうと、兄は台所へ向かい、冷蔵庫を開けて、何かをとって戻ってきました
( ´∀`)「サイズ的にもこれでいいだろ」
妹「この生贄、納豆臭いんだけど」
( ´∀`)「納豆の藁で作ったからな」
妹「神様に怒られそう」
( ´∀`)「これを写真と一緒にクローゼットに入れればOKだ」
妹「ちょっとやめて! クローゼットが納豆臭くなるでしょ」
私の猛反対により、写真と生贄はベランダに設置することになりました
〇中規模マンション
──数日後
〇高層マンションの一室
ニュースで、あの写真と同じ場所が映し出されました
顔みたいな岩肌は、写真と変わりありません。間違いなく写真の場所です
ただ一つ、違うことは
妹「あの鳥居、ミニチュアじゃなかったの?」
鳥居は、見上げるほど大きかったです。レポーターとの対比から考えると、二階建ての家より大きいでしょうか
( ´∀`)「あのおっさん、デカかったんだな」
妹「いや、大きすぎるでしょ」
( ´∀`)「何喰えば、あんなになれるんだ?」
妹「納豆・・・じゃないかな」
〇中規模マンション
翌日、ベランダを確認すると、藁人形と写真はなくなっていました
風に飛ばされたのでしょうか。それとも・・・