〇学校の部室
　　──文芸部・部室──
るる「先週末、近所の神社に行ってきましたー」
るる「ちっちゃい神社だったけど、 何人も神様がいるみたいでした」
ぶちょー「神様を数えるときは ”人” じゃなくて ”柱” でしょ！」
ぶちょー「で、どんな神様がいらっしゃったの？」
るる「んー、名前むずかしくて覚えてないです」
るる「でも、前に聞いたことがある 神様がいたはず・・・」
ぶちょー「それなら、由緒ある神社だったのかな」
ぶちょー「有名な神様って、大抵は日本ができる前の かなり古い時代に出てくることが多いから」
るる「そんな古い時代の神様って 今でも生きているんですかー？」
ぶちょー「神社にいらっしゃるということは 生きているとは思うんだけど・・・」
ぶちょー「そういえば、神様の寿命って どれくらいなんだろ・・・？」
？？？「神様には寿命はない、とされているわよ」
せんせー「神様の中には、不慮の事故で 命を落とされた方は存在するのだけど、」
せんせー「寿命で亡くなった神様というのは 基本的にいらっしゃらないわよ」
るる「じゃあ、みんな生きてるんですねー！」
ぶちょー「ええと、基本的に・・・ってことは 例外も存在していたんですか？」
せんせー「ええ、己のヤラカシで 寿命を与えられた神様がいらっしゃるわよ」
ぶちょー「それ、何て名前の神様ですか？」
せんせー「ああ、ニニギノミコト（邇邇藝命）って 神様のことよ」
ぶちょー「ニニギって ”天孫降臨” で有名な あの神様ですよね!?」
せんせー「そうそう、そのニニギのこと」
るる「あのー、質問ですー」
るる「ニニギって誰ですか？」
るる「あと、”てんそんにゅーりん” って・・・？」
ぶちょー「”にゅーりん” じゃなくて ”降臨” !!」
るる「ふぇぇ・・・」
せんせー「だったら、イチから話したほうがいいわね」
せんせー「ニニギというのは 天界の最高神たるアマテラス（天照大神） の孫である御方でね、」
せんせー「アマテラスから地上の統治者になるように 命じられて、天界から降臨されたのよ」
るる「なるほど、マゴが地上に降臨したから、」
ぶちょー「”天孫降臨” と言われるってことね」
るる「なっとくですっ！」
ぶちょー「でも、”天孫降臨” のエピソードには 寿命うんぬんの話は無かったはずですが」
せんせー「そう、ニニギが永遠の命を失う ヤラカシは、”天孫降臨” の後の話なのよ」
せんせー「地上に降臨されたニニギは、 とある国津神の娘に一目惚れするの」
るる「くにつかみ・・・？」
せんせー「地上にいらっしゃった神様のことね」
るる「地元民、っていう感じですか？」
せんせー「まぁ、そんな感じね」
せんせー「ちなみに、アマテラスを筆頭に 高天原におわす神様は天津神と言うわよ」
るる「ほぇ～！」
せんせー「で、ニニギの一目惚れの相手は オオヤマツミ（大山津見神）という 国津神の娘で、」
せんせー「名前をカムアタツヒメ（神阿多都比売） 別名をコノハナノサクヤヒメ（木花之佐久夜毘売）という女神なの」
せんせー「面倒だから、以降はサクヤヒメと呼ぶわよ」
ぶちょー「異なる環境で育ったお二方の出会い、 ステキな恋愛展開になりそうですね！」
ぶちょー「それで、そのサクヤヒメって 一目惚れされるくらいですから すごく美しい神様だったのですよね!?」
せんせー「そう、余りにも美しかったために ニニギはその場でプロポーズしているわよ」
ぶちょー「ラブロマンス展開ですね！」
ぶちょー「それで、２人・・・じゃなく２柱は 結ばれたのですか？」
せんせー「サクヤヒメは、父親のオオヤマツミに この件を報告すると、パパさん大喜び」
せんせー「地元の特産物をたっぷり用意して、」
せんせー「サクヤヒメだけでなく 彼女の姉のイワナガヒメ（石長比売）も 一緒にニニギに嫁がせているわよ」
ぶちょー「姉も一緒にですかっ!?」
るる「姉妹どーん、３ぴ・・・」
せんせー「残念ながら、そんなプレイはしていないわ」
せんせー「ニニギは、イワナガヒメを一目見ると すぐに実家に帰しているから」
ぶちょー「えっ、どうしてですか!?」