3月26日 停電(脚本)
〇中規模マンション
〇女性の部屋
〇女性の部屋
妹「へ?」
最悪の事態は唐突に起こりました
夜中に停電です
部屋の中は真っ暗、雨で月明かりもありません
スマホがあれば電灯代わりになりますが、現在は居間で充電中です。他に灯りになるものもなく、危機的状況に陥りました
妹「お兄ちゃーん、懐中電灯お願い」
私はベッドの上の人形を抱きしめて、兄か弟が来るのをじっと待ちます
こういう時は下手に動くのは絶対にNG。死にます。ここはそういう物件ですから
「ちょっと待ってろ。どこかに懐中電灯があるはずなんだ」
「蝋燭は?」
「もってねぇよ」
「SMプレイ用に常備しとけよ」
「そんなプレイしないわ、ボケ!」
妹「二人ともスマホはどうしたの?」
「どこかにある」
「電池が切れた」
妹「こんなのばっか」
「こんな時、人魂でも出てくれりゃ助かるんだがな」
妹「やめてよ、怖いよ」
「お、これならいけるんじゃね?」
妹「何かあったの?」
ヒュードロドロ・・・ 兄のいるほうから、気味の悪いメロディが響いてきます
妹「何鳴らしてんの?!」
「いや、これで人魂召喚出来ないかな」
妹「そんなの召喚しなくていいから、早く電灯探してよ」
「つーか、そんな音源、どこで仕入れたんだよ」
「これか? これは録音した覚えがないが、いつ間にか入っていたもので」
妹「やーめーてー」
ッン、カッン・・・カツン!
廊下から、こちらに近づく靴音がしました
家の中で、誰が靴を履くでしょうか? いるわけありません
妹「おおお兄ちゃん、廊下を何かが歩いてる」
「泥棒か?! 待ってろ、今、マキビシをまくから。えーと、どこやったっけ」
妹「そんなのいいから、早く灯りを──」
ちゃ、ぴちゃ・・・ぴちゃん!
台所から、水が滴る音が、こちらに近づいてきます
妹「台所から、何か水音が!」
「ごめん、それ私。暗くて、タオルが見つからなくて」
妹「紛らわしいよ」
思わずツッコミましたが、そこで違和感に気付きます
妹「今の声、誰?」
「俺じゃないぞ」
「俺じゃないよ」
「俺じゃない! 私じゃない! 僕じゃない! 自分じゃない! あなたじゃない! あいつじゃない! お前じゃないか?」
部屋の外から、叫び声がこだまします。何人も、何人も、何人も──
「おい、誰だ。勝手に家に入ってる奴がいるぞ!」
妹「違うよ?!」
カッ、カツ・・・カツッ!
たくさんの声が響く中、靴音は一気に部屋の前に来て──
扉が明けられました
〇女性の部屋
( ´∀`)「大丈夫か?」
妹「え?」
入ってきたのは、おばけではなく兄でした。辺りも明るくなっています。停電から復旧したようです
明るくなると同時に、あれだけこだましていた声は嘘のように掻き消え、居間で流れるニュースの音声だけが聞こえてきます
妹「助かった・・・」
弟「俺も大丈夫だ」
( ´∀`)「集団泥棒は、すぐに逃げたみたいだな」
妹「・・・そうだねー」
もうツッコむ余裕もありません
( ´∀`)「なにはともあれ、大事なくてよかったよ」
( ´∀`)「家に帰ったら、なんか真っ暗な上、見知らぬ声がするからさ、靴のまま、ここまで来ちまったぜ」
妹「え?」
( ´∀`)「どうした?」
妹「停電してからずっと、家にいたんじゃ・・・」
( ´∀`)「停電? なんのことだ? さっき帰った時は、外はどこも電気ついてたぞ」
兄がいうことが本当なら、あの暗闇は、そしてあの兄の声は・・・
最後にゾッとしました!!
これは怖いですね~。
集団泥棒なんて、いつもの兄のボケに油断してると実は・・・
今回は正統派ホラーでしたね!😱(いつもか💦)