そこに手が届くなら

夏目心 KOKORONATSUME

2 500万円(脚本)

そこに手が届くなら

夏目心 KOKORONATSUME

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〇おしゃれなリビングダイニング
江崎拓郎「あれ?ミツルの奴どうしたんだ?」
江崎春奈「赤ちゃんは夜中に起きて泣いちゃうのは知ってたけど・・・」
江崎拓郎「眠れないのか?大丈夫だ、パパ達が一緒だからな!」
江崎春奈「ほらほら落ち着いて、ママが抱っこしてあげるから・・・って・・・」
江崎春奈「ちょ!何これ!?何でこんなに熱いの!?」
江崎拓郎「え!?もしかして、インフルか何かに掛かったと言うのか!?」
江崎春奈「私にも良く分からないけど、これは放って良い状況じゃ無いわ!」
江崎拓郎「わ、分かった・・・直ぐに車を用意する・・・いつでも出れる様にしてくれ・・・」
  ミツルが夜中に起きて泣き喚く事は何度もあったが、妻が抱いたらどう言う訳かミツルの身体が熱くなっていた。
  嫌な予感がしながらも、我々は病院に電話して、ミツルを連れて行くのだった。

〇病院の診察室
  車を出して数分、我々はミツルの容態を聞いて驚愕した。
江崎拓郎「先生・・・今何と仰いましたか!?」
医者「ですから、冷静になって聞いて下さい・・・ミツル君のこの病気は簡単には治せない物です!このままでいれば、」
医者「持って半年と言った所です・・・」
江崎春奈「何かの冗談でしょ!?治療方は無いんですか!?」
医者「無くは無いです!ですが、この病気に対する治療費は500万円で、我々にも手の施し様が無いんです!!」
江崎拓郎「そ、そんな馬鹿な!!そんな金、日本政府でも無ければ絶対に手に入らないじゃないですか!!何で私達の息子がこんな目に!!」
医者「あぁ、落ち着いて下さい!!」
江崎春奈「これが落ち着いていられる物ですか!!私達の所にできた初めての子供なのに!!」
医者「江崎さん・・・500万円以外に、方法は無いんです・・・」
  医者から宣告された事は信じられない事実だった。我々の息子の余命が半年である事。しかも、それを治すには
  500万円が必要である事。一生掛けても貯め切れない金と、どうにかしたくてもどうにもできない事実に、只々怒りを
  まき散らす事しかできなかった。

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