エピソード1(脚本)
〇黒背景
「はぁ・・・!はぁ・・・・・・!」
「(なんで・・・どうして・・・!)」
「どうして部屋の中に聞こえるのよ・・・!?」
「・・・ぁあ・・・・・・」
「聞こえる・・・・・・ 鈴の音といっしょに・・・・・・」
「心を締め付ける様な歌声が・・・」
「嫌・・・近づいてる・・・」
「助けて・・・・・・」
「お父さん・・・お母さん・・・・・・」
ややご みろうて いくひ よいや よきて
「た、たすけ」
「いやぁァァァ!!!」
メリ・・・メリメリ・・・
ギギギ・・・・・・
グヂャ・・・・・・
〇教室
数ヶ月前
女学生「えー、それマジー?」
「本当にマジみたいだよ!」
女学生「たまたまじゃないの? タイミング的にさー」
「その可能性もあるけどさー でもお願い事した次の日に 見つかったってヤバくない?」
女学生「確かにそうだけどさー でもやっぱ信じらんないよねー」
「それじゃーさー! 今日行ってみない?」
女学生「えー!なんかカミサマとか? 信じてないからムリ系じゃね〜?」
「モノは試しってね♪ それで叶ったらラッキーじゃん」
女学生「う〜・・・ん・・・ どうしようかなー」
「ふふふ・・・」
「その後、UMAYケーキで新作パンケーキなんてどうですかな?お嬢様」
女学生「・・・乗った」
「そっちがメインだったし〜✨」
女学生「・・・おヌシも悪よのぅ」
「いやいや・・・ お嬢様の足下にも及びませぬ・・・」
女学生「ふふふ・・・!」
「あはは・・・!」
女学生「何ノリだよ!アタシら!」
「マシケンの時代劇見といて良かったわ😆」
女学生「マジそれ〜!」
「それじゃ!放課後速攻ね!」
女学生「オッケー!」
〇ゆるやかな坂道
「もう少し先だっけ?」
女学生「うん〜。もうちょっとで着くよ」
「ナニゲ遠い〜」
女学生「私は毎日通ってるからもう慣れちゃったよ」
「ウチは無理だなー!1日でギブだよ〜・・・」
女学生「何それ!たるんでるなぁ〜!」
「自分で言っといて何だけど 今しっかり後悔真っ只中💦」
女学生「最初からUMAYケーキにしとけば良かったのに・・・」
「マジそれ〜! 放課後の自分に言ってやりたいわ〜」
女学生「なんて、くっだらないやり取りしてたら見えてきたってね!」
「ところでさー、なんか願い事考えたー?」
女学生「うーん・・・実はなんもー・・・」
「だよねー」
「とりあえずお金とかカレシとかが無難?」
女学生「とりあえずって・・・」
「どうせ叶うわけないしー?」
「テキトーでよくない?」
女学生「まーねー・・・」
「ところでさー 普通神社って管理してる人がいるじゃん?」
女学生「いるねー」
「ここにもいるの?」
女学生「えー? そんなコト知らないしー」
「それじゃー 掃除とかは近所の人がやってる感じかー」
女学生「そうだよー 昔から近所のおばーちゃんとかがやってるみたい」
「ふーん」
女学生「どうかした?」
「いやさー それならお賽銭が貯まってるかなーってね」
女学生「はぁ!?マジこすいしー!」
「あはは!ジョーダン!ジョーキィー!」
女学生「・・・ツマンナ」
「それじゃ! さっさとお願い事してUMAYいこー!」
女学生「・・・はいはい」
こうして・・・
わたし達は境内に入って行った
中学とかの修学旅行や家族旅行で
色々な神社やお寺にはそれなりに行ってるけど
この神社の造りは見たことが無い
鳥居を潜ると”箱部屋”のような物が
左右に建っていて
なんとか神社と書いてある物が見当たらない
神社自体もボロボロで中が見えそうな状態・・・
ここにはどんな神様が居るのだろうか
そう言った事が一切わからない
近所のおばーちゃんに聞いても
「昔から有るけど、誰も知らない」と言っていた
誰が、何の神様のために建てたのだろう
凄く不思議だ
女学生(今度、歴史のセンセーに聞いてみようかな)
〇古びた神社
微妙な時間だからか
境内にはわたし達だけだった
車の音も鳥の鳴き声も聞こえない
静か過ぎて少し不安な気分になる
「とーちゃくっと!」
女学生「近所だけど、来たの初めてだー」
「近所ほど行かないよねー」
女学生「そだねー 初詣とかはおじーちゃん達と行くから 向こうでやってるし」
「それーじゃ! さっさと済ませてしまいましょー!」
女学生「おけー!」
わたし達はパンパン!と両手を鳴らし
手を合わせて目をつぶる
(・・・)
「ヨシッ!かんりょー!」
女学生「・・・」
「まだ終わってないのー?」
女学生(えぇーい・・・気が散るなぁ〜・・・)
女学生(うーん・・・何にしようかな・・・ お金とかは違うと思うし・・・)
女学生(カレシも神頼みって・・・なんかなー・・・)
女学生(あ!これにしよ!)
私は、希望先への進学が上手くいくように願った
女学生「おまたせー終わったよ!」
「こーいうのは適当に浮かんだやつにしたほうがいいのにー!」
女学生「それがさー・・・ あんまりにも適当な事しか浮かばなくて 考えちゃった!」
「因みに何にしたの?」
女学生「えっと〜進学が上手くいくようにって」
「うわ!真面目かよ!?」
女学生「トーゼン真面目だよ!?」
「ぷ・・・!」
「あははは!!!」
「それじゃいこーか!」
女学生「うん!」
帰り際に鳥居を潜った時・・・
チリィィィィ・・・・・・・・・・・・ン
鈴の音が聞こえた気がした
〇住宅地の坂道
数日後
女学生「え〜っと・・・今日の1限目は〜・・・」
女学生「あ!歴史だ!」
女学生(そういえば、神社の事を聞けてなかったから 今日聞いてみようかな)
「おはようございます」
女学生「あ、おはようございますー!」
近所のお姉さん「何か考え事?」
女学生「・・・動きが止まってました・・・?」
近所のお姉さん「道端で立ち止まってたわね」
女学生「変なとこを見つかっちゃいましたね・・・ あはは・・・」
近所のお姉さん「ふふっ 私も考え事すると動きが止まる事があるからわかるわ」
そう微笑んだ女性は、近所に住んでいるお姉さん
通勤時間が被っているのか
割と良く顔をあわせて挨拶している
キリッとした印象で、仕事の出来る女性!って感じ
女学生(私もお姉さんみたいな仕事出来るウーマンに憧れるなぁ・・・!)
女学生(きっとバリバリ仕事をこなして、 男性社員からも人気があるんだろうなぁ・・・)
女学生(女の私から見ても、 溢れ出る仕事できますオーラで好感バリ盛りだし)
近所のお姉さん「また考え事?」
女学生「あ!いえ!?そうじゃ・・・・・・」
女学生「やっぱそうです💦」
近所のお姉さん「ふふふっ 若いうちは沢山考える事も大切だけれど」
近所のお姉さん「考え過ぎて石に躓いたりする事もあるから、気をつけてね」
女学生「あ・・・はい・・・ 気を付けたいと思います・・・」
近所のお姉さん「それじゃ、電車に遅れそうだからお先に」
女学生「はい!いってらっしゃーい」
お姉さんは片手をひらひらと振って
早足に駅へと向かって行った
女学生(全ての動作がカッコいい・・・!)
女学生(私も、あんなカッコいい女性になるんだ!)
私はそう、心に固い決意をした
女学生「うっ・・・・・・わ!!! 時間やべえーー!!!!」
その後、全速力で学校に向かった事が功を奏し
ギリギリ遅刻にはならなかった
〇教室
キーンコーンカーンコーン・・・
歴史の授業が終了すると、私は先生の所へ向かった
女学生「センセー!チョットいいですか?」
「はい?何か質問?」
女学生「あ、いえ・・・ 授業の事では無いんですけど・・・」
女学生「『やつくびじんじゃ』ってあるじゃないですか?」
女学生「あの神社の歴史みたいなのって、あるのかなーって」
「ん〜・・・」
「あまり詳しく調べた事はないから わからないかなぁ」
女学生「そうですか・・・」
「それじゃあ 空いた時間に軽く調べておくから」
「放課後、職員室に来てもらっても良いかな?」
女学生「あ!はい! ありがとうございます!」
「それでは、放課後に」
女学生「はい!ありがとうございます!!」
その後の授業はテキトーに受けて、遂に放課後になった
「ねー 今日どっか行かない?」
女学生「あ、ごめん! ちょっち職員室に行くんだ」
- このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です! - 会員登録する(無料)
無音であるからこそ、平易な台詞回しだからこそ
作中世界に引き込まれる感覚を覚えました
名作の予感……