第3話(後編)「恐怖!タップギア狩りのオッチャン!!」(脚本)
〇川に架かる橋
──1時間前
野朗 仁太「よーし!今日も光星たちと エフェクトバトルだぁ!」
野朗 仁太「楽しみだなぁ! 最近はジャックもいるし・・」
野朗 仁太「オイラ、もしかしてすっごく 強くなってるかも?」
野朗 仁太「うへへ・・そうだといいなぁ」
獄亜久 飛童「おいゴルァ!クソガキィ!」
野朗 仁太「うひぃっ!?」
獄亜久 飛童「誰の背中にぶつかったと思ってんだ この野郎!おぅ?」
野朗 仁太「あ、うん オイラ野朗仁太(やろう じんた)って いうんだ」
獄亜久 飛童「なんだオマエ、野朗って苗字なのか 珍しいじゃねぇかこの野郎・・」
獄亜久 飛童「ってそうじゃねぇ!」
獄亜久 飛童「どう落とし前つけんだこの野朗!」
野朗 仁太「もしかして痛かった? ゴメンよオジちゃん」
獄亜久 飛童「オジっ・・!?」
獄亜久 飛童「ふざっけんな!オレはまだ10代だ!」
獄亜久 飛童「どう見てもお兄さんだろうがっ!?」
野朗 仁太「そうなんだ・・ 老けてるんだね!」
獄亜久 飛童「・・・良い度胸してんなこの野朗」
野朗 仁太「元気そうだし、オイラもう行くね! バイバイオジ・・お兄さん!」
獄亜久 飛童「待てコラガキィ!!」
野朗 仁太「な、なんだよぅ・・ 謝ったじゃんかぁ・・」
獄亜久 飛童「詫び入れんのは当たり前だこの野朗」
獄亜久 飛童「ぶつかった落とし前が まだっつってんだこの野朗!」
野朗 仁太「えぇ〜?オイラあんまり 時間ないんだけど・・」
獄亜久 飛童「とりあえずオマエ・・ エフェクトバトルしろよ」
獄亜久 飛童「エフェクター同士の 落とし前つったら・・」
獄亜久 飛童「“コレ”しかねぇだろ!!」
野朗 仁太「オジちゃんもやってるんだ!」
獄亜久 飛童「オジちゃんじゃねぇ! お兄さんだっ!」
獄亜久 飛童「この野朗っ! さっさと構えなぁ!」
獄亜久 飛童「いくぜっ! タップギア起動ッ!!」
野朗 仁太「よーしオイラも! タップギア起動!!」
「エフェクトオープン!!」
・・・
〇広い公園
野朗 仁太「──という訳で、オジちゃんと バトルしたんだけど」
野朗 仁太「オイラさ、最近強くなった気が してたから、勝てると思ったんだ」
野朗 仁太「でも・・何もできなかった」
野朗 仁太「せっかく光星やジャックが 色々教えてくれたのに・・オイラっ」
野朗 仁太「一瞬でっ!エフェクトひとつ出せずに 負けちゃったんだよぉ〜」
大禅師ジャック「エフェクトひとつも出せず負けた!?」
大禅師ジャック「仁太くんの話から推察するに・・」
大禅師ジャック「そのチンピラ、おそらく 『“超速攻”の獄亜久』だ!」
野朗 仁太「ちょうそっこうのごくあく?」
大禅師ジャック「黒スーツに品性の欠けた紫シャツ姿の エフェクターなんだろう?」
大禅師ジャック「なら十中八九で 獄亜久 飛童(ごくあく ひどう)だ」
大禅師ジャック「初手から無理矢理エフェクトを 3種以上重ねる超速攻が持ち味でね」
大禅師ジャック「ハマった時の爆発力は・・ おそらく光星くんを超える」
野朗 仁太「光星以上だって!?」
大禅師ジャック「・・けど、初手さえ凌げば すぐにエフェクト切れだ」
大禅師ジャック「ボクは正直、どうかと思うけどね 無鉄砲な特攻としか思えない・・」
壱天 光星「──ジャック、分析は後にしようぜ」
壱天 光星「オレたちはまだ・・肝心なことを 聞いていない」
壱天 光星「仁太!その獄・・ナントカって奴に タップギアを奪われたんだな!?」
野朗 仁太「う、うん・・ エフェクトバトルが終わった後・・」
〇川に架かる橋
野朗 仁太「うっうわああああああああ!?」
バタンッ
獄亜久 飛童「ハッハァ!どーだクソガキィ!」
獄亜久 飛童「曇り状態からの背景エフェクト 「青い雷」の威力!」
獄亜久 飛童「怖いオジッ・・お兄さんに 舐めた態度とるからこうなんだよ!」
獄亜久 飛童「さて・・・落とし前の時間だ」
野朗 仁太「うぐぐ・・オイラのタップギア・・・」
獄亜久 飛童「ハハッ!慰謝料兼戦利品だ! コイツは貰ってくぜ!」
野朗 仁太「そっ、そんなぁ〜〜!」
獄亜久 飛童「しっかし喰い応えのない ザコガキだったなぁ!」
獄亜久 飛童「返して欲しけりゃ俺様より強い お友達を連れて来な!」
獄亜久 飛童「まぁもっとも・・・」
獄亜久 飛童「そんなガキ・・・この世に いねぇだろうがな!!」
「ハハハハハハハハハ!!」
野朗 仁太「うぐっ・・・うわぁぁ〜〜ん!」
???「・・・」
クロサビ「・・にゃん」
???「うん、そうだねクロサビ」
???「でもその前に・・・」
???「うるさいの、消しちゃおっか」
???「──エフェクトリセット」
〇川に架かる橋
???「よし、消えた」
クロサビ「にゃおん」
???「──行くよ、クロサビ」
クロサビ「うにゃーご!」
〇広い公園
野朗 仁太「・・という感じで オイラとられちゃったんだ」
大禅師ジャック「なるほど、慰謝料と戦利品か」
大禅師ジャック「獄亜久 飛童!噂通りのチンピラだね!」
大禅師ジャック「仁太くん、安心すると良い なにせこのボクがいるからね」
大禅師ジャック「獄亜久ごとき三流エフェクター・・ ボクがエフェクトバトルで 打ち負かしてあげよう」
野朗 仁太「ホントかい!?」
大禅師ジャック「ああ!すぐに仁太くんの タップギアも取り戻せるさ!」
大禅師ジャック「大船に乗ったつもりで・・」
大禅師ジャック「・・ところで、光星くんはどこに?」
野朗 仁太「え?あれっ!?」
野朗 仁太「ホントだ! 光星いつの間にかいなくなっ・・」
「まさかっ!?」
〇ゆるやかな坂道
壱天 光星「──許さねぇ!」
壱天 光星「命より大事なタップギアを 奪うなんて・・・」
壱天 光星「ぜっっっってぇ許さねぇ!!」
壱天 光星「うおおおおおおっ! どこだぁあ!獄っ・・」
壱天 光星「えーっと名前なんだっけ? えーっと、え〜〜っと・・」
壱天 光星「なんでもいいか! どこだ獄ナントカオッチャン!?︎」
「仁太のタップギア返せええええ! オレと勝負だああああ!!」
〇線路沿いの道
壱天 光星「ここかっ!?」
〇川に架かる橋
壱天 光星「こっ・・ここかっ!?」
〇海岸線の道路
壱天 光星「ぜえっ・・はぁっ・・」
壱天 光星「こ、ここかっ・・?」
壱天 光星「ダメだ、見つからねぇ・・」
壱天 光星「・・いやっ! 諦めてたまるか!」
壱天 光星「ぜったい取り返して・・」
クロサビ「にゃん」
壱天 光星「なんだ?野良猫か?」
クロサビ「にゃにゃんがにゃん♪」
壱天 光星「・・? なんだあの猫?」
壱天 光星「もしかして・・ ついて来いってことなのか?」
クロサビ「な〜ご」
壱天 光星「やっぱそうなんだな! よーし・・・」
壱天 光星「待ってろよ 獄ナントカオッチャン!」
〇廃墟の倉庫
クロサビ「なーお にゃんにゃん」
壱天 光星「あ、待てって!」
壱天 光星(ネコの後を追いかけてみたけど・・)
壱天 光星(なんかヤバそうな所に 着いちゃったぜ・・)
壱天 光星「獄ナントカオッチャン・・いるかな?」
「ぐわああああああああっ!」
壱天 光星「今のはカテゴリ「画面効果」の 「ガラスが割れる」エフェクトッ!?」
壱天 光星「獄ナントカオッチャンだなっ!!」
「仁太のタップギア返しやがれえええ!」
〇廃墟の倉庫
獄亜久 飛童「・・・」
壱天 光星「見つけたぞ、獄オッチャン!」
壱天 光星「タップギアを出せ!! オレとエフェクトバトルだッ!!」
壱天 光星「ギタギタにぶっ潰してやる・・」
獄亜久 飛童「クッ・・ククク・・」
獄亜久 飛童「つっ・・つえぇなクソガ・・・・」
獄亜久 飛童「キ──・・」
壱天 光星(──今のは「文字エフェクト」!?)
壱天 光星(ハ行の「バタン」だ・・! 倒れる擬音を追加して 確実に倒しやがったっ!!)
壱天 光星(獄オジを倒したエフェクターが・・ この近くにいるっ!?)
壱天 光星「いるんだろっ! 隠れてないで出て来いっ!!」
「・・・声が大きい」
???「・・言われなくても出るつもりだった」
壱天 光星「オマエが獄オジを倒したのか?」
???「それ、答えなきゃダメ?」
???「用があるのはコレ・・でしょ」
壱天 光星「仁太のタップギア!」
壱天 光星「サンキュー!! オマエが取り返してくれたのか!!」
壱天 光星「ちっさいのに強いんだな!」
???「ちっさいは余計・・」
???「とりあえず返す あの大きい子に渡してあげて」
壱天 光星「おう!ありがとな・・」
クロサビ「フシャーッ!!」
壱天 光星「うわっ!?なんだよこのネコ!!」
???「──クロサビ」
壱天 光星「ん?オマエのネコなのか?」
クロサビ「にゃにゃんにゃ・・にゃおん!!」
壱天 光星「なんかすっげー鳴くネコだな・・」
???「・・わかったよ、クロサビ」
???「今、試すんだね 壱天光星の素質を」
クロサビ「にゃっ!」
壱天 光星「な〜オマエらだけで喋ってないで はやく仁太のタップギアを・・」
???「──タップギア起動!」
壱天 光星「なっ!?おい!!」
壱天 光星「なんだよ! 返してくんねーのか!?」
???「・・気が変わった」
???「倒せたら返す 倒せなかったら・・」
???「・・・・・・どうしよ 別にいらないし・・」
???「・・・たぶん捨てる?」
壱天 光星「そんなことさせてたまるか! いいぜ、その勝負受けたっ!」
壱天 光星「タップギア起動!」
壱天 光星「・・・へへ」
???「なにか面白いの?」
壱天 光星「仁太のを取り返したいってのも あるけどさ・・・」
壱天 光星「獄オジ倒した強いエフェクターと バトルできるってのも・・」
壱天 光星「オレ、すっげぇワクワクしてんだぜ!」
壱天 光星「・・仁太には悪いけどな!」
???「・・・じゃ、始めるね」
壱天 光星「スルーかよっ! なんか言えよぉ!」
壱天 光星「ま、いいや! ──行くぜ!」
「エフェクトオープン!!」
老け顔のお兄さんは野朗呼びに付き合ってくれる憎めない奴でした。仁太と漢字のやり取りが成立していたのはきっとエフェクター同士なら字幕が見えたからに違いないですね。
いつも読後感のいい、安心安全設計で素晴らしいです。
思いがけない展開に吹きました
オッチャ…お兄さん😭
さんざん謎をあおっておいてサブタイトルで秒で全部バレちゃう伝統的な次回予告あるある、最高です 笑
本作屈指の人気キャラ(予定)の謎の子供とのバトルが早くも見られるとは思っていなかったので、次回も楽しみです!
今日は1話だけ読もうと思っていたのに、面白くてクリックが止まらず結局最後まで読んでしまいました。
発想は勿論のこと、会話のテンポ、そして回またぎのクリフハンガーが素晴らしいです。