3月22日 弟 #シナリオ(脚本)
〇中規模マンション
〇高層マンションの一室
夕食の準備をしているとき、チャイムが鳴りました
妹「こんな家に、誰だろ?」
私は待たせないように玄関へ向かいました
〇マンションの共用廊下
妹「はーい」
弟「姉ちゃん、久しぶり」
妹「え? あれ? なんで?」
そこにいたのは、中学生の弟でした。全寮制の学校のため、こんなところにくるはずがないのですが
( ´∀`)「おー、誰かと思ったら、お前だったか。って、学校はどうした?」
弟「おい」
弟「春休みに入るから、新学期までこっちに来るって連絡入れておいただろ」
( ´∀`)「そういえば、そうだったっけ?」
妹「私、聞いてないけど?」
( ´∀`)「言ってなかったっけ?」
妹「って、そんなことより」
私は大事なことを確認します。それはメモから読み解いた、あの情報
妹「もしかしてエレベーターに乗ってきた?」
弟「ああ、すげー美人のお姉さんがいてさ。寮に戻る日にまた会いましょうとか言われたよ」
妹「そうなんだ・・・」
初日にエレベーターに乗った私と兄は、いまのところ無事です。弟も同じなら、これは一安心と言っても良いのでしょうか?
その時、エレベーターが着いた時の音が聞こえました。すぐさまエレベーターに目を向けると、そこには──
妹(エレベーターが、開いてる?)
エレベーターから薄明るい光が漏れ、今は誰かが乗るのを、口を開いて待っていました
今まで、異世界に来た様子はないにしても、ずっと不安はまとわりついていました
むしろ、この異常な事故物件こそが異世界なのでは? もう一度。エレベーターに乗ったら元の世界に戻れるのでは?
頭の片隅ではそんな考えがずっとこびり付いていました
今までエレベーターが動いていなかった為、ただの妄想ですみましたが
扉が開いたエレベーターを見てしまったら、潜めていた疑惑が、都合のいい想像が、溢れだして止められませんでした
だから──
私はフラフラと、エレベーターに近づいて
足を一歩、踏み入れ
「ダメ!」
声とともに、誰かにスカートを引っ張られて、足を止まります
( ´∀`)「おいおい、何やってるんだよ」
妹「え?」
兄と弟が慌てた様子で、私の近くに駆け寄ってきました
妹「お兄ちゃん、今、エレベーターが・・・」
( ´∀`)「珍しく動いてるな」
そうこうしているうちに、エレベーターの扉は閉まってしまいました
妹「乗れなかった・・・」
( ´∀`)「いやいや、乗れるわけないだろ」
( ´∀`)「あんなぎゅうぎゅう詰めなのに」
〇エレベーターの中
〇マンションの共用廊下
弟「誰もいなくね?」
( ´∀`)「何言ってんだよ。目一杯乗り込んで、みんな青くなってただろ」
( ´∀`)「重量テストでもしてたんじゃね?」
あの時、誰かが止めてなかったら、今頃、私はどうなっていたのでしょうか?
無事に帰れたのでしょうか? それとも、今までの住人達と同じ運命に向かったのでしょうか?
ただ、言えるのは、ここでの生活はまだまだ続きそうだということです
それともう一つ
妹「エレベーターに入ろうとしたとき、誰か私のスカートの裾を掴んでなかった?」
( ´∀`)「いや?」
弟「自分で踏んだんじゃないの?」
妹「そう」
あれは、一体、誰だったのでしょうか?