4 兄さんの夢(脚本)
〇ディベート会場
3年前。
少年「拓人兄ちゃん!宿題終わったから答え合わせして!」
長谷川拓人「あ、終わったのか!待ってろ、直ぐ行くから!」
少年「拓人兄ちゃん!これが終わったらロボット作りの続きやろうぜ!」
長谷川拓人「勿論さ!宿題終わったら必ず!」
長谷川花音「御免下さい!」
高橋真由美「あら、花音ちゃん・・・今日はどうしたんだい?」
長谷川花音「こんにちは高橋先生!親から買い物に頼まれたから、後で兄さんにも手伝ってもらおうと思って・・・」
高橋真由美「そうなんだね・・・今拓人君、子供達にロボット作り教えてるから、少しだけ待っててくれるかい?」
長谷川花音「あ、大丈夫ですよ!そこまで急ぎの用じゃ無いですから・・・」
少年「ここ、どの部品を使うんだっけ?」
長谷川拓人「あぁ、ここはこの部品だな・・・あ、こっちは電池必要だな・・・」
少年「あ!そしたら僕取ってくるよ!」
長谷川花音「兄さん・・・やっぱ楽しそうだな・・・」
〇通学路
長谷川拓人「すまないな花音・・・こんな時間まで待たせちゃって・・・」
長谷川花音「大丈夫だよ!そもそもそんな大した用事じゃ無かったし・・・」
長谷川拓人「そっか・・・そう言ってくれるとありがたいよ・・・」
長谷川花音「ねぇ兄さん、前から気になってたんだけどさ・・・どうしてそこまでして子供と触れ合ってるのかなって・・・」
長谷川拓人「え?それ普通聞く?」
長谷川花音「だって気になるんだもん・・・」
長谷川拓人「・・・そうだな・・・花音は海外の子供が全員家族がいたり、学校行ったりしてると思うか?」
長谷川花音「え?急な質問ね・・・そうね・・・まぁ、テレビでも取り上げられてる程だし・・・厳しい所で生活してる見たいだし・・・」
長谷川拓人「そうだ・・・でもそれは海外だけの話じゃ無い、日本でもそうなんだ・・・」
長谷川拓人「学校には行きたくても行けない・・・自分の親に甘えたくても甘えられない・・・密かにだけど、俺、そう言うの見てたら、」
長谷川拓人「そう言う子達に対して、俺が心の支え見たいな感じになりたくてさ・・・自分達が産まれた事は、決して無駄じゃ無いって」
長谷川拓人「そう思って欲しいって言うか・・・ごめん、上手く説明できないや・・・」
長谷川花音「そっか・・・兄さん、人の痛みが分かる人になりたいんだね・・・」
長谷川拓人「ん?そうなのかな?」
長谷川花音「え?もしかして無自覚?」
長谷川拓人「いやいや・・・そもそも俺が勝手にやってる事だから・・・」
長谷川花音「そっか・・・やっぱ兄さんなんだね・・・ねぇ、兄さんは進路どうするか決めた?」
長谷川拓人「え?俺?そうだな・・・」
長谷川拓人「やっぱ俺、大学でもっと勉強して、教員免許が欲しいなって・・・だから、学校の先生になりたいって思ってるよ・・・」
長谷川花音「兄さんが学校の先生・・・何だろう・・・何か簡単に想像できちゃう!」
長谷川拓人「おいおい・・・嫌味か?」
長谷川花音「いやいや逆だよ!兄さんなら絶対良い先生になれるよ!あたしも楽しみにしてるよ!」
長谷川拓人「・・・ありがとう・・・」
〇女性の部屋
長谷川花音「・・・・・・兄さん・・・」
長谷川花音「あ、あれ?夢?あたし寝てたんだ・・・」
長谷川花音「あぁ・・・まるで兄さんが死んだなんて、嘘なんだって思える程だったな・・・でもこうして起きると兄さんが死んだのは」
長谷川花音「本当なんだって実感しちゃう・・・」
長谷川花音「さてと、あたしも準備しないと・・・タケルおじさんが言ってた日、今日だったな・・・」