兄が残した宝

夏目心 KOKORONATSUME

3 タケルおじさん(脚本)

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〇通学路
長谷川花音「歩美、孤児院に来て見てどうだった?」
北川歩美「えぇ!皆可愛かったわ!ロボット作りに劇の練習に一生懸命で何だか応援したくなったよ!」
長谷川花音「喜んでもらえて良かった!また見学したくなったら言ってね!」
北川歩美「えぇ!受験の息抜きとかにそうさせてもらうわ!」
滝本龍一「あれ?花音ちゃん・・・久し振りだね・・・」
長谷川花音「え?あなたは・・・刑事さん!?」
滝本龍一「あ、俺の事覚えててくれてたのか・・・あぁ、あの時の刑事さんだ・・・」
長谷川花音「刑事さん・・・急にどうしたんですか!?何かあったんです!?」
滝本龍一「久し振りだね・・・あの時より大きくなってるな・・・」
北川歩美「あの、花音に何か用事ですか?」
滝本龍一「あぁ・・・ここでヨタ話しに来たんじゃ無いんだ・・・話して置かない事があってな・・・」
長谷川花音「・・・?何です?」
滝本龍一「3年前、花音ちゃんのお兄さんが火事で死ぬ前に、通り掛かった人からあの孤児院の中でデカい口喧嘩が聞こえたって話を」
滝本龍一「聞いてな・・・その時物が壊れるとかのデカい音が聞こえたって話もあってな・・・その時お兄さんは誰かと一緒に」
滝本龍一「いた可能性が高くてな・・・その時花音ちゃんは、お兄さんから何か聞いて無いか?」
長谷川花音「いえ、何も・・・」
滝本龍一「そうか・・・後もう一つ・・・あの爆発が起きた直後、裏口辺りから人が出たって話も仕入れてな・・・お兄さんは」
滝本龍一「殺された可能性が高いと判断されて、当時の事を今再調査してる所だ・・・」
長谷川花音「・・・・・・!?」
滝本龍一「もし何か思い当たる節があったら、100当番でも何でも良い・・・直ぐに教えてくれよ?」
長谷川花音「・・・はい・・・」
滝本龍一「まぁそんな所だ・・・邪魔して済まなかったな・・・君達も、早めに帰れよ?念の為言うが、犯人が分かっても、」
滝本龍一「敵討ちなんて事はしない様にな?」
北川歩美「お兄さんが殺されたって・・・花音、大丈夫!?」
長谷川花音「心配してくれてありがとう・・・あたしは大丈夫だよ・・・」
北川歩美「うん・・・でも、何かあったら一人で解決しようとしないでね!あたしは味方だから!」
長谷川花音「ありがとう・・・」

〇おしゃれなリビングダイニング
長谷川花音「ただいまぁ!」
クチナシタケル「お帰り花音ちゃん!暫く見ない間にまた大きくなったなぁ!」
長谷川花音「あれ?タケルおじさん・・・?そっか・・・今日来る日だったの忘れてた・・・」
  クチナシタケル。あたしのお父さんの弟さんで、あたしのおじに当たる人だ。兄さんが他界した後、孤児院でロボット作りを
  子供達に教えてる人でもある。
クチナシタケル「さっきお母さんが買い物行ったけど、そろそろ帰る頃だと思うよ・・・」
長谷川花音「あ、そうなんだね・・・あたしも色々片付けないと・・・」
  その後、お母さんが帰って来て、あたしはその前に宿題を終らせて、夕飯の手伝いをするのだった。

〇おしゃれなリビングダイニング
  その日の夜。
クチナシタケル「義姉さん、兄さんは今日は遅いのかい?」
長谷川母「そうね・・・今日は忙しいって・・・」
クチナシタケル「そっか・・・」
クチナシタケル「花音ちゃんは進路考えてる時期だろ?どうするか決めたのかい?」
長谷川花音「そうだね・・・あたし、夏目大学の教育学部に行きたいって今でも思ってるよ・・・小学校の先生、」
長谷川花音「今も憧れてるから・・・」
クチナシタケル「そっかそっか!それまで頑張れよ!おじさんも応援してるからな!」
長谷川母「本当・・・子供の成長って早いわよね・・・本当なら、今頃拓人も・・・」
クチナシタケル「本当だよな・・・今頃だったら、拓人君も夢を叶えて社会に出た頃だってのに・・・」
長谷川母「えぇ・・・今でも凄く悔しいわ・・・」
長谷川母「そう言えばタケル君・・・あの火事があった後、あなた夏目工房に入社したのよね?仕事は順調なの?」
クチナシタケル「あ!そこはもう順調以上に順調だよ!やり甲斐もあるし給料も悪くない!何より孤児院にボランティアに行ける程だから、」
クチナシタケル「順風満帆と言うか・・・!」
長谷川母「・・・そっか・・・夫もあなたの事心配してたから・・・」
長谷川花音「・・・・・・」
クチナシタケル「ん?どうしたんだい?花音ちゃん・・・」
長谷川花音「あ、いや、その・・・タケルおじさん、そう言えば夏目工房で働いてたよね・・・」
クチナシタケル「あぁ!夏目工房はロボット業界の中でもトップクラスの業績だからな!3年前に入れたのが今でも不思議だよ!」
長谷川花音「そうだよね・・・兄さんもロボット作り頑張って覚えてたし・・・」
クチナシタケル「・・・なぁ、花音ちゃん・・・」
長谷川花音「はい?」
クチナシタケル「花音ちゃんには花音ちゃんの人生がある・・・もう拓人君の事なんか忘れて、前を向いたらどうだ?」
長谷川花音「はぁ!?おじさん、それ本気で言ってるの!?」
クチナシタケル「本気も何も無い・・・ 拓人君はもう昔の人なんだ・・・拓人君の事を考えてできる事なんて何があるんだ?」
クチナシタケル「あってもお祈りとかお供え物位だろ?」
クチナシタケル「ほら!あいつどこか融通の効かない所とかあったし!一度決めたら聞かないし!」
長谷川母「タケル君!言って良い事と悪い事があるでしょ!!少しはこっちの身にもなりなさい!!」
クチナシタケル「あ〜!ごめんごめん!ちょっとしたジョークだって!!」
長谷川母「全く・・・浮かれるのは勝手だけど少しは考えなさいね・・・」
クチナシタケル「は、はい・・・」
長谷川花音「・・・あの、タケルおじさんは兄さんに対して何か不満とかあったの?一時期兄さんと一緒にロボット作り」
長谷川花音「子供達に教えてたよね?」
クチナシタケル「え?あぁ!そんな時期もあったな!仕事が楽し過ぎて忘れてたよ!」
クチナシタケル「それはそうと!今度の休みに孤児院で夏目工房の最新ロボットをお披露目する事になったから、花音ちゃんもどうだい?」
クチナシタケル「見に行かないか?」
長谷川花音「・・・まぁ、折角だから・・・」
クチナシタケル「そっかそっか!楽しみにしててくれよ!」
  何だか兄に対してどこか冷たい感じがしたけど、おじさんに当たっても何もならなかった。
  今日の帰りに刑事さんが話してくれた事と、おじさんの態度が何か引っ掛かったけど、今は気にしないで置いた。

次のエピソード:4 兄さんの夢

コメント

  • お世話になってます。
    孤児院とロボットと兄の死の謎・・・様々なものが絡み合って複雑そうな話ですね‼
    妹の兄への熱い想いや、怪しい叔父など。
    色々と複雑なドラマとミステリーが期待できます。先が楽しみですね!

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