2 孤児院(脚本)
〇教室
長谷川花音「あ〜終わった終わった・・・」
北川歩美「花音!お疲れ!」
長谷川花音「あ!お疲れ歩美!」
北川歩美「ねぇ、今日もあの孤児院に行くの?」
長谷川花音「うん、そのつもりだよ・・・」
北川歩美「そっか・・・ねぇ、今日はあたしも一緒して良いかな?孤児院の子達がどんな感じか気になっちゃって・・・」
長谷川花音「あ、良いよ!最近劇の練習してるから、今日もやってると思うよ!」
北川歩美「そうなんだ!それならますます気になって来たから、早く行こう!」
長谷川花音「えぇ!」
兄が他界してから3年が経った。あたしはこれから大学受験を控えており、兄が逝った後、毎日の様に孤児院へと足を運んでいた。
〇ディベート会場
北川歩美「へぇ、ここが例の孤児院なのね・・・」
長谷川花音「そうだよ・・・ちっちゃい子達は・・・」
長谷川花音「あ、やってるやってる!」
少女「遂に現れたわね遊星!」
少女「吸血鬼に賢者に河童・・・ついでに人形使いをよくもやってくれたな・・・」
少女「おやおや、四人とも遊星さんを守ると言って邪魔して来たから・・・」
少女「確かに四人とも私を守る為に戦ってくれた・・・でも、私の友人達でもある・・・傷付けられるのは余り見たく無い・・・」
北川歩美「おぉ!やってるやってる!ねぇ、この子達のやってる劇ってもしかして・・・」
長谷川花音「あ、やっぱ分かるよね!歩美の思ってる通り、守りの四天王よ!」
北川歩美「そっかそっか!子供のやる劇で採用されるなんて夢にも思わなかったわ!」
高橋真由美「あらあら、花音ちゃんとお友達の方、今日は良く来てくれたわね・・・」
長谷川花音「あ、高橋先生!ご無沙汰してます!」
北川歩美「初めまして!あたしは北川歩美です!気軽に歩美と呼んで下さい!」
高橋真由美「えぇ、大した物は無いけど、ゆっくりしてってね・・・」
長谷川花音「はい・・・劇の方はどんな感じですか?」
高橋真由美「順調よ!1週間後の発表会が今から待ち遠しいわ!」
北川歩美「わぁ、本番は絶対フルで見たいですね!」
長谷川花音「本当!あの子達の頑張る姿、是非見たいわ!」
高橋真由美「そうよね・・・拓人君にも、是非見て欲しかったわ・・・」
長谷川花音「・・・そうですよね・・・ここにいる子達に守りの四天王を教えたの、兄さんでしたもんね・・・」
高橋真由美「・・・そうね・・・拓人君は本当に優しくて・・・責任感が強くて・・・孤児院の先生になるの、私も楽しみだったよ・・・」
高橋真由美「拓人君が死んだと聞いて、子供達皆大泣きしたのは今でも良く覚えてる・・・人生何が起こるか分かったもんじゃ無いね・・・」
北川歩美「・・・あの、高橋先生・・・花音のお兄さんって、ここではそんなに凄い人だったんですか?」
高橋真由美「そうだね・・・物を作るのが大好きな子で、ここにいる子達にロボットの作り方とか教えてくれたりしてたよ・・・」
高橋真由美「今は別の人が教えてるけど、それでも、拓人君の事を忘れられない子もいるから・・・」
北川歩美「そうですか・・・神様って意地悪ですね・・・」
少年「あ!花音姉ちゃん!今日も来てくれたんだ!」
長谷川花音「あ、君達か・・・今何してるの?女の子達は劇の練習してるけど・・・」
少年「花音姉ちゃんも知ってるだろ?守りの四天王ってあんまり男いないし・・・いても怪獣だし・・・今回やる奴、」
少年「先ず喋る怪獣出ないから・・・」
長谷川花音「あ、そう言えばそうだったね・・・」
少年「だから俺ら、今皆で新しいロボット作ってるんだ・・・」
少年「まだ完成して無いけど、花音姉ちゃんも見る?」
長谷川花音「え?良いの?なら見せてもらおうかな?」
少年「分かった!ならこっちこっち!」
長谷川花音「ちょっとちょっと!そんな慌てて走らなくても大丈夫だよ!」
北川歩美「何だか良い感じですね・・・」
高橋真由美「そうだね・・・ロボット作りは前は拓人君が教えてくれてたけど、今では夏目工房のタケルさんが教えてくれてるから・・・」
高橋真由美「最新機材とか、テクノロジーとか良くは分からないけど、あの子達が夢に向かって歩ける様に、私も頑張らないとって」
高橋真由美「思うよ・・・」
北川歩美「子供達の成長・・・楽しみですね!」
ロボット「・・・・・・」
長谷川花音「わぁ、本当に動いてる・・・これ自分達で作ったんでしょ?凄いね!」
少年「そりゃそうだよ!拓人兄ちゃんに教えてもらった事、今でも忘れてないからさ!」
少年「タケル先生が教えてくれるのも良いんだけどさ・・・やっぱり僕、拓人兄ちゃんに教わりたかった・・・」
少年「おい・・・そんな事言っても、もう拓人兄ちゃんは戻って来ないんだぜ?贅沢言うなよ・・・」
長谷川花音「まぁまぁ二人とも喧嘩しないで・・・そんな風に喧嘩してたら、兄さんに怒られちゃうよ?」
少年「あ・・・ごめん・・・」
長谷川花音「大丈夫だよ!兄さんはもう帰って来ないけど、皆が忘れないでいてくれれば、皆の中に兄さんはいるよ!」
少年「・・・!うん、そうだよね!僕、絶対拓人兄ちゃんの事忘れない!」
少年「俺も!」
長谷川花音「うん!だから大丈夫だよ!」