兄が残した宝

夏目心 KOKORONATSUME

1 突然の別れ(脚本)

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〇通学路
長谷川花音「な、何!?この近くで爆発だなんて・・・」
長谷川花音「一体何が起こってるの?あたしも調べて見ないと!!」
  あたしの名前は長谷川花音。これから受験が控えた中学3年生。帰る道中で大きな爆発音が聞こえて何事かと足を運んでいた。
長谷川花音「こ、ここは・・・!?」
長谷川花音「すみません!ここで何があったんですか!?」
男性警官「あ、はい・・・先程、ここで突然爆発が起きたと通報を受けて、これから消火活動を行う所です・・・」
長谷川花音「爆発が起きて火災って・・・ここ、あたしの兄がボランティアで通ってる孤児院じゃない!!あの、中に誰かいませんよね!?」
男性警官「何とも言えません・・・この状況では中に入れないし・・・」
長谷川花音「そ、そんな・・・」
長谷川花音「(この時間帯なら兄さんは家にいる筈・・・お願い、誰も死なないで・・・)」
  兄が通っていた孤児院が火事になっていると言う衝撃の自体に、あたしはどうして良いか分からなかった。
  誰も死んで欲しく無い。そう願いながら火が消えるのを待ったが、あたしを待っていたのは、恐れていた事実だった。

〇病院の診察室
長谷川母「先生・・・何かの間違いですよね・・・拓人が死んだなんて・・・」
医者「ご家族方・・・我々は全力を尽くしました・・・ですが・・・」
長谷川父「嘘だと言って下さい!拓人はこれから大学生になるんです!成人式はおろか、まだお嫁さんも紹介してもらってない!!」
医者「長谷川さん!気持ちはお察しします!ですが、これが現実です・・・拓人君はもう・・・」
長谷川母「ちょっと!ふざけないでよ!私達は拓人がこれから大人になるの楽しみにしてたのよ!そもそもどうしてこうなったのよ!!」
長谷川父「そうだ・・・一体何があったと言うのだ!説明しろ!何故拓人がこんな事に!!」
医者「長谷川さん・・・堪えて下さい・・・!!」
長谷川花音「・・・・・・」
長谷川拓人「・・・・・・」
長谷川花音「嘘だよね・・・兄さんが死んだなんて・・・兄さん・・・まだ高校卒業して無いんだよ?孤児院の皆が待ってるんだよ?」
長谷川花音「皆兄さんの事大好きなんだよ!兄さんが本物の先生になるの、皆楽しみにしてたんだよ!明日帰って来る皆に、」
長谷川花音「何て言い訳したら良いのよ!!!」
  消火活動が終わった後、火災現場から兄が生き埋めになっていた事が分かった。医者達の力も虚しく消え去り、
  兄はこの世を去った。残されたあたし達は、行き場の無い感情を当たり散らす事しかできなかった。

次のエピソード:2 孤児院

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