映栄杉さん家はお侍

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お侍とWeb会議(脚本)

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〇映栄杉太郎丸の部屋
映栄杉蔵之介「太郎丸ぅぅ!!」
映栄杉太郎丸「な、何事です父上っ!?」
映栄杉蔵之介「Web会議のサポートをお頼み申す!!」
映栄杉太郎丸「な、何ですと・・・!?」

〇映栄杉家の外観

〇映栄杉太郎丸の部屋
映栄杉蔵之介「後生でござる太郎丸!」
映栄杉太郎丸「嫌でござるよ! そんな面倒な!」
映栄杉蔵之介「せ、殺生な! 拙者に会社員として恥をかけと申すのか!」
映栄杉太郎丸「当日になって助けを求められても困ります!」
映栄杉蔵之介「ぐ、ぐぅの音も出ん・・・!」
映栄杉蔵之介「しかしこんな事、映栄杉家随一の頭脳を持つお主にしか頼めぬ!!」
映栄杉太郎丸「ば、映栄杉家随一・・・?」
映栄杉蔵之介「・・・だが、天才のお主でも流石に難しい話でござったか・・・。やはり自分で何とか──」
映栄杉太郎丸「お待ちくだされ父上」
映栄杉蔵之介「む?」
映栄杉太郎丸「ふっふっふ。天才の我輩に難しい? 笑止千万!!」
映栄杉太郎丸「良いでしょう! 我輩が父上を完璧にサポートするでござる!」

〇映栄杉家の居間
映栄杉太郎丸「これで最低限の準備はできたでござる」
映栄杉太郎丸「それでは父上、共に参りましょう!」
映栄杉蔵之介「感謝するぞ太郎丸!」
映栄杉蔵之介「いざ──」
「戦場へ!!」
  そう意気込んだお侍の親子であったが、ぶっつけ本番だったために・・・

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「皆の者! す、少しの間待つでござる!」
映栄杉蔵之介「まずいまずいまずい・・・!」
映栄杉太郎丸「早速困り事でござるな?」
映栄杉蔵之介「プレゼンで使う画像ファイルが見つからぬ!!」
映栄杉太郎丸「ファイル名は覚えているでござるか?」
映栄杉蔵之介「覚えておらぬ・・・。この間、開いたはずだが・・・」
映栄杉太郎丸「では、最近使ったファイルで検索いたしましょう」
映栄杉太郎丸「Baesugi1、Baesugi2って、見事に全部同じファイル名でござるな・・・」
映栄杉蔵之介「ハッハッハ! めんどくさいから統一したでござる!」
映栄杉太郎丸「ハッハッハ、ではござらぬ!」
映栄杉太郎丸「ぐぬぅ! 致し方ない。片っ端から開くでござるよ!」
映栄杉太郎丸「お、お酒!? なぜお酒の画像ファイルが!?」
映栄杉蔵之介「この前飲んだ高めの酒にござる! 記念に撮ってファイルに入れておいたのだ!」
映栄杉太郎丸「今度は刀!?」
映栄杉蔵之介「これも記念に撮った拙者の愛刀! カッコよく撮れておるでござろう?」
映栄杉太郎丸「こ、これは・・・!?」
映栄杉蔵之介「太郎丸の昔の写真・・・。そういえば最近眺めておったな」
映栄杉蔵之介「いやはや懐かしいでござるなぁ」
映栄杉太郎丸「って父上! 全部会社とは関係ないでござる!!」

〇映栄杉家の居間
  30分後・・・
映栄杉太郎丸(まさかこんなに時間が掛かるとは・・・)
映栄杉蔵之介「太郎丸!!」
映栄杉太郎丸「今度は何事でござる!?」
映栄杉蔵之介「マイクが機能せぬ!」
映栄杉太郎丸「オンオフの切り替えを忘れたのでは?」
映栄杉蔵之介「それはもうやっておる!」
映栄杉太郎丸「むむ? それはおかしいでござるな」
映栄杉蔵之介「もしや故障ではないか!?」
映栄杉太郎丸「父上!? お気を確かに! 昔のテレビじゃないんですから──」
映栄杉太郎丸「そ、そうか! パソコンが古いからでござる!」
映栄杉蔵之介「な、なんと!?」
映栄杉太郎丸「我輩が作ったこのマイクは、最新のパソコン対応の物でござる!」
映栄杉蔵之介「くっ。つまりこのパソコンでは駄目なのか・・・!」
映栄杉太郎丸「このパソコン自体に罪はござらん。軽くて丈夫で使いやすい名機にござる」
映栄杉太郎丸「しかし技術とは進化するもの。古いものは淘汰されてゆくのでござる!」
映栄杉蔵之介「と、時の流れが残酷すぎるでござる!」
映栄杉太郎丸「今から替えのマイク持って来ますゆえ! 父上は大人しくお待ちくだされ!」

〇映栄杉太郎丸の部屋
映栄杉太郎丸「我輩としたことがとんだ凡ミスを・・・。戦場、恐るべし──」
映栄杉蔵之介「大変じゃ大変じゃあ!!」
映栄杉太郎丸「どわぁ!? 脅かさないでください父上!」
映栄杉蔵之介「妖術じゃっ! パソコンが妖術にかかったんじゃあ!」
映栄杉太郎丸「よ、妖術ですと!?」

〇映栄杉家の居間
映栄杉蔵之介「同僚はみな画面が綺麗なのに、拙者の画面だけぼやけておる!」
映栄杉太郎丸「何だそんなことでござるか・・・。フィルター機能を使っているのですよ父上」
映栄杉蔵之介「ふぃ、ふぃるたー? 何者でござるかそれは?」
映栄杉太郎丸「百聞は一見にしかず。機能をお見せいたしましょう!」
映栄杉太郎丸「このフィルター機能を使えば・・・。ほれこの通り、父上が綺麗に映るでござるよ!」
映栄杉蔵之介「何だか妙に明るいでござる!?」
映栄杉太郎丸「更にこのフィルターを使えばイケメンに・・・!」
映栄杉蔵之介「むほほ! こりゃ凄い──」
映栄杉蔵之介「って待て太郎丸! パソコンが固まってしもうたぞ!?」
映栄杉太郎丸「へ?」
「あっ」
映栄杉太郎丸「パ、パソコンのスペックが低いせいで、強制終了したでござる・・・」
映栄杉蔵之介「くっ・・・戦場は思っていた以上に過酷でござる・・・!」
映栄杉太郎丸「父上・・・」
映栄杉太郎丸「どの戦場に行くにも、やはり準備が必要でござる・・・」
映栄杉蔵之介「む、無念・・・!」

次のエピソード:お侍と夜パフェ

コメント

  • Web会議にもすっかり慣れましたが、たまにミスっておかしな画面を共有したり、ミュートを忘れてよからぬ発言をしたりしてしまいますね。笑 油断大敵です…。

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