映栄杉さん家はお侍

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元くノ一主婦vs配膳ロボ(脚本)

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〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「外食ってのは、いくつになっても心が踊るねぇ」
映栄杉蔵之介「後でデザートもどうでござるか?」
映栄杉しのぶ「そうだね、たまの贅沢だし。今日は存分に楽しむとするよ」
ロボ 「オマタセ イタシマシタ~」
映栄杉しのぶ「うわっ、何だい! ここの店員は変わり身の術を使うのかい!?」
映栄杉ともえ「母上、これは配膳ロボットでございます」
映栄杉しのぶ「ロボ?」
映栄杉太郎丸「安定した労働力の確保と、人件費削減に一躍かう」
映栄杉太郎丸「近頃では必要不可欠な存在でござる」
映栄杉しのぶ「呑気に突っ立ってる、これが?」
映栄杉しのぶ「まあ、愛嬌はあるけどさ」
ロボ「ゴユックリ~」
映栄杉蔵之介「おっと、拙者はお替りに行って来るでござる」
映栄杉しのぶ「待ちな。それもロボに頼めばいいじゃないか」
映栄杉蔵之介「うむ、ドリンクバーはセルフサービスでござるな」
映栄杉しのぶ「あのゴミ、気になるねぇ。ロボを呼んで片付けさせようじゃないか」
映栄杉ともえ「掃除はあの子たちの担当外でございます」
映栄杉しのぶ「じゃあ、諜報活動はどうだい」
映栄杉しのぶ「せっかくテーブルを回るんだ。せめて話題の美容情報くらい、集めて来れるんだろうねぇ」
映栄杉太郎丸「あくまでも配膳要員でござる。母上の為の便利ロボではありませぬ」
映栄杉しのぶ「何だい、大したことないじゃないか」
映栄杉しのぶ「ロボの手でも借りれば、あたしも少しはのんびりできると思ったのに」
映栄杉太郎丸「ふむ、ロボ一体で母上が腑抜けくれれば、吾輩も気ままに・・・」
映栄杉太郎丸「では母上。もし我が家にロボットが来るとしたら、どのようなロボがよいでござるか?」
映栄杉しのぶ「そうだねぇ。まあ最低限、あたしと同じ仕事がこなせないと」
映栄杉しのぶ「あんた達と違って、主婦には休日がないんだから」
映栄杉蔵之介「また、始まったでござる」
映栄杉ともえ「父上、母上に聞こえますよ」

〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「まずは誰よりも早く起きて朝食、弁当の準備。その間にゴミ出し」
映栄杉しのぶ「皆を送り出したら洗濯と掃除。買い物は特売品を求めて数軒はしご」
映栄杉太郎丸「ふむ、なるほど」

〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「一息つく間もなく家計簿をつけ、アイロンがけ。直ぐさま夕飯の準備にとりかかる」
映栄杉太郎丸「それなら、このシステムで・・・」

〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「時にはPTA活動で旗を振り、読み聞かせ、花壇の植え替え」
映栄杉しのぶ「自治会の当番が回ってくれば、公園の掃除と廃品回収」
映栄杉太郎丸「となると、ここを変換して・・・」

〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「上げりゃあキリがないね。おかげで毎日クタクタさ」
映栄杉蔵之介「かたじけない。たまには肩もみでも・・・」
映栄杉しのぶ「専業主婦は三食昼寝付きなんて、誰が言い出したんだか」
映栄杉蔵之介「な、何たる不届き者! 拙者が成敗してくれよう!」
映栄杉しのぶ「あたし達の仕事ってのは、一見楽そうに見えたって、実は──」
映栄杉太郎丸「繋がったでござる!」
映栄杉太郎丸「母上の代わりとなれるロボ、吾輩にお任せ下され」
映栄杉蔵之介「何と、作れるのか!!」
映栄杉太郎丸「勿論でござる」
映栄杉しのぶ「嬉しいねぇ。じゃああたしは余った時間でエステにでも行ってくるよ」
映栄杉蔵之介「疲れ知らずで家事をこなし、愚痴一つ言わぬロボ・・・」
映栄杉蔵之介「悪くない。いや、むしろよい」
映栄杉しのぶ「ん? 何か言ったかい?」
映栄杉蔵之介「ゴホンゴホン!」
映栄杉蔵之介「いや、ちょいと喉の調子が」
映栄杉ともえ「しかし、そうとなると──」
映栄杉ともえ「母上はもう、お役御免でございますか?」
映栄杉しのぶ「え?」
映栄杉蔵之介「うむ、これまでご苦労であった。暇を楽しむが良いぞ」
映栄杉しのぶ「あんたまで何を・・・」
映栄杉太郎丸「母上、ご恩は決して忘れません」
映栄杉しのぶ「どうしてそうなるんだい!」
映栄杉太郎丸「致し方ござらぬ。ロボの前ならば、ゲームもやり放題できますゆえ」

〇ファミリーレストランの店内
映栄杉しのぶ「じょ、冗談じゃないよ!」
映栄杉しのぶ「あたしの代わりがロボなんかに務まるもんかい!」
映栄杉しのぶ「お前さん! あんたが酔いつぶれた時の介抱と、お茶漬けの準備は誰がやるんだい!」
映栄杉蔵之介「たしかにあれは、しのぶの塩梅でござるな」
映栄杉しのぶ「ともえ! ギリギリ先生に怒られない程度の化粧を、ロボが教えてくれるってのかい!?」
映栄杉ともえ「うっ!? あの絶妙なナチュラルメイクは、まだ母上なしには・・・」
映栄杉しのぶ「太郎丸! こっそり付いてってやった真夜中のトイレ」
映栄杉しのぶ「もう一人で大丈夫ってことだね?」
映栄杉太郎丸「それは・・・」
映栄杉しのぶ「ほら、あたしが忍術を使えば」
映栄杉しのぶ「ドリンクだって!」
映栄杉しのぶ「掃除だって!」
映栄杉しのぶ「何にせよ、ロボに負けることなんてないんだよ!!」
店員「お客様! お静かに願います」
映栄杉しのぶ「あ・・・」
映栄杉しのぶ「スミマセンデシタ~」
映栄杉太郎丸「・・・配膳ロボが秀逸なのは、きっと」
映栄杉太郎丸「プライドや羞恥心などという感情が、備わってない点でござりますな」

次のエピソード:恐怖の蛙化現象

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